親切or不親切な環境によって練習方法を変えるべき理由
以前ブックレビューで「RANGE」を紹介しました。本書は、専門知識を身につけるのもいいけど幅広い知識がある方が今後有利だよ!を説く良本であります。
本書の一節に、1万時間の練習は効果的な対象とそうじゃない対象があるから気をつけようぜ!という話がでてきます。そこで話題に上がった親切・不親切な環境というのがおもしろい説明だったので紹介します。
1万時間が役に立つ分野とそうじゃない分野
たとえば、1万時間の法則がどんな分野習得にも役立つとします。この前提があった場合、やるべきは早期教育です。早い段階から学んだ人が強く、成果が出せるでしょう。
しかし実際は30代から新しい学習を始めたにも関わらず、その分野の第一線に立つことも可能ですよね。20代から学んでいた人より優秀になるこの違いはなんでしょうか。
それはその分野の環境が関係しています。
親切な環境・不親切な環境
タイガー・ウッズは、早期教育を徹底して受けていた選手として有名です。世界中で有名になり、すばらしい結果を残しています。
では彼に習って、自分の子どもには早期からMBAを学ばせてビジネスを覚えさせたとしましょう。早期教育が優れているのであれば、早い段階から経営を学ばせておけば若いうちから富と名声を得られます。
1万時間がどんな分野にも適応されるなら、この理屈は正しいです。しかしゴルフとビジネスでは、決定的に違う点があります。それはその分野を取り巻く環境です。
ゴルフは、何がどうなれば良いのか、そのパターンが明確です。かつ結果の良し悪しもすぐにわかります。そしてゴルフ自体のルールも至ってシンプルでわかりやすい。
ビジネスは何がどうなれば良いのか、そのパターンは不明確。結果の良し悪しは数年後にわかるケースもあります。そしてビジネス自体のルールは複雑で常に変化しています。
1万時間の法則が役に立つのは、前者のような分野です。なぜならパターン学習が効果的であり、フィードバックも即時に得られるからです。あとは時間をかけて意識的な練習をしていけばスキルを順調に伸ばせるでしょう。
しかしビジネスで言えばパターン学習はあまり役に立たず、フィードバックもすぐには得られないため、長い時間学習したからと言って成果が出るわけではないのです。
ですから、1万時間を費やす対象は慎重に選ばなければいけいません。大事なのは、親切な環境か不親切な環境かを見極めることです。
読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。