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企業と業種の壁を超えた新結合Fusionイベントをやってみた

業種や組織の壁を超えて新規事業担当者が集まる新結合イベントを企画し実施したので、イベントで使ったワークシートも共有しながら振り返りをしてみます。

はじめに

伊藤が考える面白い企画の考え方については前回書いた通りで、企画の「種」はとにかく妄想思考で発散・収束させていく、フレームワークやロジックでは面白い「種」は生まれにくいって話を書きました。

その「種」の考え方をベースに過去に自社サービスを色々と作ったり潰したりしてきましたが、結論、自社単独でできる事業はたかが知れているというのが伊藤の現在のスタンスです。

背景など詳細は後述しますが、今回は「企業間の新結合」を生み出せないか、イベントをやってみたのでそのイベントの内容と振り返りをしてみます。

時代の要請:融合社会(Society 5.0)

日本政府が策定した「第5期科学技術基本計画」によると狩猟社会(Society 1.0)農耕社会(Society 2.0)工業社会(Society 3.0)情報社会(Society 4.0)といった人類が歩んできた社会に次ぐ新しい未来社会をSociety 5.0として提唱されています。

融合社会とでもいうのか、高度に融合されたシステムにより経済発展と社会課題解決を両立する社会です。この社会を実現するための要素技術として
IoT ビッグデータ 人工知能 ロボットがあげられていることからも高度な技術を産業間で融合し新たな価値を生み出すことを意図していることが読み取れます。

実際にX-Techと呼ばれる潮流も2010年頃のFinTechから始まっており既に業界や会社の垣根を超えて新しいサービス/ビジネスの再定義が進んでいます。

リテールテック、ロジテック、HRテック、エドテック、ヘルステック、アグリテック、フードテック…あげるとキリがないくらいに、既存産業が技術により再定義されています。

時代の要請としてこの流れに抗うことは難しく、自前主義から共創志向へのシフトが企業にとっては急務なのだろうと考えます。

伊藤も色々な企業や団体とお話をしていますが、この1~2年、各企業(特に老舗の大手企業)の志向が急速に変わってきていると感じています。

「新しいことやってよ」というプレッシャー

一方で、急速な志向の変化により各社の経営層と現場担当者のギャップが顕著になっているように思います。

経営層「何か新しいことをやっていかなくては」
経営層「新しい事業を考えてほしい」
現場「承知しました(お、おうふ…どうすっか)」

経営層の方々は、経営の一線で前述の潮流をおそらくビンビンに感じており、何かしなければいけないと焦燥感が募っている、が、実行案に落とし込むのが難しい。なので、現場のメンバーに対し「新規事業」というテーマで提案を求めるというケースなのではないかと推察しています。

現場としても「何かしなければいけないが何をすればいいのか」と迷われてセミナー等に参加してとりあえず情報を収集して、というケースが多いように思います。とりあえずインプットと、セミナー等に積極的に行く行動力は称賛に価しますが、セミナー等に参加する場合はある程度自分の中でスコープを決めておかないと適切な情報は得られないですし、自身でスコープを決めた時点で、自身と関係のない領域からの示唆を得ることは困難です。

現在各企業が置かれている潮流の中で求められるインプットの場とは
1対Nのセミナーではなく、N対Nのネットワーキングのような形式と考えます。

自身が何者であるかをアウトプットし、相手が何者であるかをインプットし
インプットを受けて自身の既存の情報と融合し、アウトプットし、の繰り返し。アウトプットとインプットをその場で行い自身が置かれた状況の解像度をあげて企画の「種」を見つけるための情報の引き出しを整理していく。

一方で、置かれた役割が異なる人同士だと共通項が少なすぎ表面的な話になりがちですし同業種同士だとある程度想定できるインプットしか得られません。一般的な異業種交流会などがそれにあたるケースが多い印象です(置かれている立場や役割が異なりすぎて対等に会話を深堀できない)

そういう背景があり、一般的な異業種交流会をもう少し効果的な場にできないかと「新規サービス・事業担当者」という役割は共通に、異業種企業を集めた場を企画しました。

それが今回開催したFusion meet upです。

イベント概要

ご案内文は以下

(前略)私たちは「新規事業を推進されているご担当者」が気軽に情報交換を行えるようなコミュニティとして、この度、新規事業担当者ミートアップ「Fusion」(フュージョン)を発足いたしました。
 本勉強会は、会社間、組織間の垣根を越えて、ご担当者同士が気軽に情報交換や異業種とのコラボレーションできるようなコミュニティを目指しており、みなさまの新しいアイデアとネットワークを得られる場としてお役に立つことができると考えております(後略)

経済学者のヨーゼフ・シュンペーター氏の
イノベーションとは新結合そのものである」という提唱から僕らは「新結合」を「Fusion」と解釈し業種や企業の壁を超えたネットワーキングを通じて企業間のFusion(新結合)を創出する場を企図しました。

フュージョンって、とある有名IP内で使われていたイメージが強く。合体して強くなる、ただ失敗するとポンコツに、みたいなイメージもビジネスの実態としてもぴったりだなと想いこの単語を選びました。

会場は弊社の社食スペースを間借りして、簡単な軽食とお酒を用意しました(やたら茶色いチョイスが多い気がしますが気にせず)

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会場のスペースもあり最終的に30人ほどの方にご参加いただきました。ご参加いただいた業種は本当にバラバラで小売、エネルギー、メーカー、印刷、人材、保険、通信等々の方がいらっしゃいました。

イベントがはじまってみて

18時から開始で簡単な乾杯とご挨拶をしまして、30分ほど自由に飲み食いしながら名刺交換のネットワーキングを行いました。事前に会の目的も伝えていたので、皆様積極的にお互いにお話をされておりこの時点でかなり盛り上がっていました。

18時半から、僕らが自社紹介や協業提案するときに使っている「To-Be Gap思考」を使ってちょっとしたワークショップをやりました。

前述のとおり、目指した姿はアウトプットとインプットの質を高めて思考を融合していく場であったので自社についてアウトプットしやすいよう、相手から新たなインプットを得られるよう、ネットワーキング時の名刺代わりに使えるシートを1枚作ろうという試みでした。発想目的ではなく、あくまで自社状況のアウトプット。

シートはこれです。

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ワークの流れとしては基本的には個人ワークなのですが以下の通りです。
①メガトレンドテーマの設定
②メガトレンドの具体化(To-Be)
③自社としてやりたいこと(Will)
④現状可視化(As-Is)
⑤自社ができること(Can)
⑥自社が欲しいこと(Want)
⑦マッチングディスカッション

抗うことのできない経済のマクロな動きをメガトレンドと定義し、そのメガトレンドを1つ定義した上で、その中で思考を深堀していきます。色々とメガトレンドありますが、今回は時間も限られていたので「テクノロジーの進歩」というメガトレンドの中で「5Gが当たり前になった世界」をテーマにしました。

その上で②~⑥でシートを埋めていきます。各社のセンシティブな情報もあるので具体的な話は書けないのが残念なのですが(生々しくて本当に示唆に富んだ内容ばかりでした)

例えばこんな感じでまとめます
②TOBE:5Gが当たり前になるとバーチャル空間が新たな事業機会の場になる
③WILL:バーチャル空間でのゲームビジネスをしたい
④ASIS:スマホゲーム、AR、VRコンテンツ開発実績はある
⑤CAN:ゲーム開発実績はあるのでコンテンツは作れる
⑥WANT:バーチャル空間と現実空間のハブとなるデバイスが欲しい

適宜ペアワークを挟んで他の会社がどんなことを考えてるか聞きながら
示唆を得ながら自分のアウトプットの解像度を上げていきます。

To-BeとAs-IsとそのGapを考えるのは事業戦略を考える際には一般的なやり方かと思いますが、改めてシートにして、業種が異なる人同士で話すと新たな発見がめちゃくちゃあります。

あとは⑦で自身で作ったシートをベースにみんなで自由に話をします。
自社のことについて解像度があがるため、課題ややりたいことのアウトプットも具体的になりますし、アウトプットが具体的だと、そこから会話の中で返されるインプットも具体的になりますし、CANとWANTが互いにハマるなら、お互いに強みを活かし弱みを補完する関係になりますので具体的な話に落とし込むベクトルができ濃度の濃いディスカッションも生まれました。

あと、置かれた環境同じこともあり普通に仲良くなりました。ホント楽しかった。

おわりに

初めての試みでしたが、結果として非常によい場になったのではないかと思ってます。ご参加いただいた方からも第2回の開催の話もでましたので、2回目の開催も具体的に計画しようと思ってます。

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今度はまた別のアプローチのディスカッションの場になればいいなと。

企業や業種の壁を超えた新結合(Fusion)により新たな価値体験創出が今後もより一層加速していく世の中にしていきたい。

エンターテインメントやゲーム領域との新結合を期待する企業様もしいれば伊藤までお気軽にご連絡ください。


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