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きりえるのてけとぅ夜話

第四夜

この国は、人種差別同等の差別国家だと思う

あたしは、ネグレクト

だがDVは、無かった

むしろ母は、愛してくれていただろう

唯、子育て出来ない自由奔放で自己中なだけ

そんな母も好きじゃなかったが

母子家庭というだけで

周りの大人は、冷たく

その冷酷は、子に伝播する

何か違う環境の者は、差別される

それも始まりの一つか

外道を歩み始めた人で無し
狂気と快楽

最初の相手は、薬物中毒者だった

奇声を上げたり、棒を振り回したり

警察に連れていかれるが

何時の間にか戻ってくる

法律が、あてにならないと感じた

その頃 

蹂躙(じゅうりん)されるだけの己に

憎悪(ぞうお)憤怒(ふんぬ)激情(げきじょう)

どす黒い闇に侵食(しんしゅく)され

蹂躙(じゅうりん)する側、物理的な強さ

焦がれ求め、鬼堕(おにお)ちの門を開く

金なんぞ無く

図書館で格闘技関連の書を読み漁(あさ)り

役に立ちそうな気がして 

医学書から人体解剖図を頭に叩き込み

体を鍛え始めた

三ケ月頃、初めて吐血

消毒になるだろうと

47度のジンを流し込み 

嘔吐と吐血を繰り返す

心体(しんたい)が借り物にしか感じない

どんなに嬲(なぶ)っても意に介さず 

既に狂気の狭間(はざま)を

彷徨(さまよ)いながら 

半年程経ち手応え、力を得たと感じた

当然の様に試したくなる

獲物を求め歩いていると 

吸い寄せられる様に

中毒者の元に足が向く

奇声を発し棒を振り回す

奴がいた 

緊張感と得も言われぬ高揚感に包まれ

全力疾走から飛び蹴り

宣戦布告

よろけながら重たく響く声

何すんじゃ!!

吠える中毒者

初めて聞く奇声以外の声

一瞬、怯(ひる)んだが腹を据えて 

拳(けん)肘(ひじ)膝(ひざ)

脛(すね)踵(かかと)足先(あしさき)頭(あたま)

あらゆる部位を使い打撃を打ち込む

相手がラリっているからなのか

己(おのれ)の力が弱いのか

中毒者の攻撃が、棒が当たる回数増え 

投げ飛ばされ、殴られ、蹴られ 

次第に力が入らなくなり

意識も虚(うつ)ろう最中(さなか)

絶望と蹂躙(じゅうりん)される側にしか 

なれぬ哀しみ溢(あふ)れ

激情の叫びが、響く

その刹那(せつな)、視界が変わる

筋肉、内臓、骨

人体解剖図が、浮き上がり重なる

中毒者の急所その先

空きの部位から鮮明に視界に映る

迷わず全力で拳(こぶし)を叩き込む

初めて感じる確かな手応(てごた)え

血反吐を吐く中毒者

その血が顔にかかり異様な匂いするも

手を休めず視界に映る急所を攻撃し続ける 

どのくらい時が経ったのか

拳(こぶし)をだそうとした瞬間 

視界に景色だけが映り 

暫く呆然(ぼうぜん)とする

心体の感覚無く 

己の状態が、わからない

下に目を向けると

中毒者が虫の息で横たわる

その瞬間、快楽と恍惚感に満たされ

顔の緩みを微(かす)かに感じ

薄ら笑いを浮かべていたのだろう

魂から鬼が産まれた

あの日から獲物を求め彷徨(さまよ)い

嬲り(なぶり)蹂躙(じゅうりん)し 

快楽(かいらく)恍惚(こうこつ)餌(えさ)に

鬼が修羅へ、その修羅に

己が飲み込まれていく





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