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「全集中の呼吸」Inner MBA 体験記 #8

2 週連続で漫画ネタになってしまったが、今回の講義で呼吸のエクササイズが取り上げられたのでこんなタイトルとトップ画*に。映画流行ってるみたいですね。

講師はLinkedIn のマインドフルネス&コンパッション部門統括の Scott Shute。

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The Mastery of Me/ Practicing Presence 

マスタリーオブミー。自己の習得、もしくは自己啓発。そしてプレゼンスの練習。Presence というのは英語特有のニュアンスを含むワードで、ビジネスシーンでは「存在感」という意味で使われることが多い。マインドフルネス的には「いまを生きる/感じる」というような意味だ。

Scott の専門分野はコンパッション=思いやり。彼の主張は「他人を思いやる前に自分を思いやるのが大事だ。そのために自己を深く認識しよう」というものだ。そして、そのための練習法がある、と。

現代人はスマホを80-150回からチェックする。結果、金魚が集中力を維持する時間は平均 10 秒だが、人間の場合は 8 秒*まで縮まっている。働いていても、実に全体の 47% の時間は心ここに在らずな状態らしい。そしてその状態では幸福を感じることはできない、と。

一方、"いま"に集中したプレゼンスな状態に感じられる幸福度は平常時の 2 倍になるという。それも、ただ皿を洗っているような集中ではなく、何か好きなことをやっていてフルに集中している瞬間。Scott の場合はマウンテンバイクが趣味なので、岩避けながらダウンヒルしている時がとにかくFully Present な瞬間なのだそうだ。

「あなたにとってそれは何か?好きな人との初デートが盛り上がり、レストランの中で周りの風景が消えて世界に二人だけになったような感覚を覚えるような Fully Present ことは?」

やたらロマンチックだな Scott...と思いつつ、この問いは以降のエクササイズにつながる。

4-7-8 の呼吸 / 10-10の呼吸

呼吸は生命維持の基本のキであり、ストレスを回避するために、どこでもできる最もシンプルなテクニックとなる。そして何より、呼吸に意識を向けている瞬間は過去でも未来でもなく現在 (Present) を見ているのだ。

ここでも、鬼滅の刃よろしく 2 つのテクニックが紹介された。

4-7-8 の呼吸: 4秒で吸って、7秒止めて、8秒で吐き出す方法
10-10 の呼吸: 1から10まで呼吸を数えた後、10から1まで戻ってくる方法

これらは 2 分くらいから始めて、好きなだけ時間を延ばしていい。さあ今日から Fully present breathing を始めよう。

全集中の呼吸だ(これを書かずにいられるほどの自制心はなかった)。

リフレーミングとジャーナリングの力

とある実験で、「今から150人の前でカラオケを歌ってください」と被験者に伝える。一つのグループには「私は今緊張している」と言ってから歌ってもらい、もう片方には「私は今ワクワクしている」と言ってから歌ってもらう。両グループを採点すると、後者のグループは平均で 30pt もスコアが高かった。

これは、言葉にして認識する行為がいかにマインドに影響を与えるかという例だ。上記の例のように同じ現象に対して違う角度から観察し、違う言葉に直すことをリフレーミングという。今回はそれをマスターするための 3 つのジャーナルエクササイズ が紹介された。

ジャーナル、つまり日記のこと。手記といってもいいかもしれない。心で思ったことを書き留める手法である。特にnoteやTwitter が好きな日本人には相性がいいと思う。個人的には紙のノートに手書きが好きだ。

エクササイズ1.自分が集中できる3つのものは?

前述の幸福感に関連したジャーナル。自分が集中できるもの 3つを書き出してみる。その中で最もプレゼンスを感じられるのは何だろう?特定してみよう。

自分の場合はテニス、釣り、文章を書くことだった。note をやっていて正解だ笑。ただ、最も present なものはテニスだ。ボールが飛んでいる瞬間は、他のことを考える暇などない。

エクササイズ2.不安を飼い慣らすため

何か不安を感じた時に。

まずその気持ちに名前をつける「これって...締め切りが近いことへの焦燥感だな」など。

次に、今できることは何かを書く「とりあえず箇条書きだけならできる」「他の雑務ならすぐに終わらせられる」など。

そして、他に正しいと言えることは何か書く「それ以外のプロジェクトは順調」「今日の家事は済んでいる」「昨晩はよく寝れた」など。

こうやってだんだんとマクロな視点に上がっていき、不安を客観視できるようになってくる。自分がどこにいるかわかない時、人は不安を感じるからだ。

Name it to Tame it (名前をつければ飼い慣らせる)

エクササイズ3. 感謝する

ここでも3つ、今日よかったことを書き出してみる。そしてその理由も添えて、感謝する。

「久しぶりに両親に電話ができた」→「健康そうでほっとした、元気でいてくれてありがとう」など。

当たり前のように見えるしシンプルだが、これは強力なエクササイズとなる。

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以上、今回の講義をまとめると、思いやり → それは他者を認識すること → そのために自分を認識すること→ いま、を感じること → 呼吸に集中 → 考えを整理する → 良い部分を選択する → 感謝する → 環境や他人を思いやる

と正のサイクルで繋がることに気づいた。すべて当たり前のようだが、習慣づけてやるのが難しいエクササイズかもしれない。意識して続けてみよう。

次回 Inner MBA 体験記 #9 に続く。

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脚注 これはマイクロソフト社の調査なのだが、2000年段階での同調査では人間の集中力維持時間は 12 秒だった。SNSやスマホの登場で、現代人の注意力はどんどん散漫になっているのだ。


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