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アニー・ドギーバッグ

トイレだ。向かって右が男性用、左が女性用。ハイヒールをカツンと鳴らし、迷わず右へ。
「おい姉ちゃん、こっちは違」POW!小便中の酔っぱらいを黙らせ、一番奥の個室の前へ。
POWPOWPOWPOWPOW!「ギャッ!?」ドアも開けず蜂の巣。クソしながら死んでろ。五人目。

宵闇。中華街の袋小路。追い詰めた。
「見つけたよ、ゲドン。ゴミにまみれて死ね」
「誤解だよ、アニー。君の妹を」
POW!銃弾がにやつくゲドンの右眼を貫く。そこにいない。
「君の妹を殺したのは、私じゃない。いいか、アニー」
すぐ右に出現した奴に、狙いを定める。そこにいない。

「いいか、『トオル・シンジ』だ。彼が君の妹、レミを―――」
耳を貸すな。後ろ蹴り!
「ばッ」
ヒールに仕込んだ刃が、背後で銃を構えるゲドンの手首を飛ばす。
血が流れ、ゲドンが踞る。振り向きざま、脳天にPOW
「イカサマのタネは割れてンだよ。六人目」

死体をゴミバケツに突っ込む。次。

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