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いいことも、悪いことも、すべて人生。映画『テイラー 人生の仕立て屋』ギリシャ、2020年

ラジオのチケットプレゼントで、夫が見事当選。仕事が一段落ついたので、2人で観に行ってきました。予備知識がゼロだったので、最初はイタリア映画かと思って見ていました(恥)。早めに、アテネが舞台とわかってよかったです。

主人公は、父親の代から続くアテネの老舗テーラー。紳士服の仕立て屋ニコスです。過去には将軍や政治家の御用達だったらしく、顧客たちの型紙が店内に吊るされていますが、現在使われているのものはありません。銀行にも見放され、ショックで父親は入院してしまいます。

困ったニコスは、屋台をつくって青空市場で新しい顧客の獲得を思いつきます。でも、スカートやシャツ、ワンピースは売れても値切られるし、スーツはとても売れません。時間もかかるし、お値段も高いオーダーメードのスーツは、市場に顧客はいません。

でも、移動式のお店にしていたのがきっかけで、お店に行く余裕のない、忙しい人達の注文を受けることになります。なんと、ウエディングドレス。職場まで出かけて、休み時間に採寸したり、最初はいろいろとまどいますが、ニコスの家のお隣の奥さんが洋裁上手で、手を貸してもらってドレスを作り、娘さんの協力でスカートやワンピースも売れるようになります。

このお隣のご夫婦と娘さんは、ニコスと言葉が違うようで、何語かずっと気になっていましたが、ロシアからの移民という設定だったようです。娘さんは、ギリシャ語の勉強がきらいで、お隣のニコスが好きで、毎晩、糸電話みたいな遊びをしてくれていましたが、ママもニコスに好意を持っているのに気づいて、ヤキモチを焼きだします。

ニコスと奥さんのとってもいい仕事仲間ぶりと、かわいい女の子のライバル。そして、なんとなく感づいているダンナさんも含めた、ロマンチックなのに不穏な空気。悲恋はいつも、つらいです。

結局、お店は銀行に差し押さえられ、お隣の奥さん&女の子の協力も得られなくなりましたが、それでもニコスはウエディングドレスを作るために、バイクの移動式店舗でがんばります。

ニコスの未来が明るいのか、やっぱり限界があるのかはわかりませんが、とりあえず、がんばっているところでエンディング。結婚前のギリシャの娘さんたちの、とっても幸せそうな華やかな笑顔と、ステキなオーダーメードドレス、そして、何があってもほぼ無表情で律儀に仕事をこなすニコスの一貫したコントラストがよかったです。

邦題:テーラー 人生の仕立て屋(英題:Tailor)
監督・脚本:ソニア・リザ・ケンターマン
主演:ディミトリ・イメロス、タミラ・クリエバほか
製作:ギリシャ、ドイツ、ベルギー(2020年)101分

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