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ダンスはイデオロギーを超える。映画『スウィング・キッズ』韓国、2018年


予告編をひと目見たときから、絶対見に来ると決めていた。きっと楽しくて、スカッとする青春&ダンス映画なんだろうなと思っていたら…韓国映画を侮っていました。全然、違った。

朝鮮戦争の頃、実際にあった最大の巨済捕虜収容所。北朝鮮人15万と中国人2万人が収容されていた、ものすごい大きな規模の収容所で、内部でも対立が起きたとか。

映画の主人公は北朝鮮出身の男の子。そして、バディになるのはブロードウェイでも踊ったことのある元ダンサーの黒人兵士。脇をかためるのは、家族のためにお金がほしい女の子。奥さんと離れ離れになって、探しているうちに間違って捉えられた民間人のおじさん。そして、踊れる中国人。国籍も立場もみんな違う登場人物が、同じリズムでタップダンスを踊る。

仲間集め。仲違い。誰かのピンチ。みんなで助け、それぞれの抱える事情を知るうちに、少しづつ心が通っていく黄金パターン。何よりも音楽とダンスが好きなメンバーたち。ただ、踊りたいだけなのに、政治状況がそれを邪魔する。

映画全体に散りばめられたダンスシーンが1つ1つ圧巻で、You Tubeにある細切れの動画を何度もたどってしまいます。そして、予想もしなかった悲しいラストが辛い。余韻がずっと抜けません。

印象的なシーンの音楽はデヴィッド・ボウイ『modernlove』でした。
確か、先日見たナチ時代の映画『ジョジョ・ラビット』の印象的なラストシーンもデヴィッド・ボウイ『heroes』だったっけ。私は洋楽に詳しくないけど、デヴィッド・ボウイは監督たちの世代にとって、自由の象徴的な存在なのかな。それとも、それ以外の要素があるのか。

追記:ときどき、ミュージカル映画をまとめてリバイバル&爆音上映してくれる映画館での上映が決まりました。早速、予約しました。楽しみ!

邦題:スウィング・キッズ (原題:Swing Kids)
監督: カン・ヒョンチョル
主演:D.O. ジャレッド・グライムス、パク・ヘスほか
製作:韓国(133分)

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