好みすぎる中国古代史ミステリー。『蘭亭序之謎』唐隠著、立原透耶監訳
中国の長い歴史の中でも、一番華やかな時代のイメージがある「唐」。7世紀から10世紀まで、日本でいえばざっくり奈良・平安時代です。このミステリーの舞台は、めちゃくちゃ栄えていた唐が、楊貴妃を愛したことで有名な玄宗皇帝の時代に起きた安史の乱の後、だんだん力が弱まって、帝国としてのまとまりが崩れていく時代です。
そして、この本の謎の中心になる「蘭亭序」は、有名な書聖・王羲之の作品。王羲之は4世紀前半の人なので、日本でいうと大和朝廷の頃。前方後円墳が作られていた時代です。王羲之の死