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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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#アメリカ

今年必読の1冊。『台湾のデモクラシー メディア、選挙、アメリカ』渡辺将人

今年は台湾の選挙イヤー。そのおかげか、昨年、一昨年と台湾関連の良書がたくさん出版されて、…

夕遊
2か月前
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ファンタジーと歴史とSFと。ケン・リュウ『母の記憶に』古沢嘉通他訳

有名すぎるくらい有名なケン・リュウの小説。これまで、なかなか時間とタイミングがなかったで…

夕遊
4か月前
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旧日本軍から公安警察、内閣調査室、NSC(国家安全保障会議)まで『日本インテリジェ…

帯のキャッチコピーは「「国家の知性」の暗闇でたどる戦後75年の秘史」。インテリジェンスと…

夕遊
1年前
25

日本人はずっとアメリカが好き。『戦前昭和の社会 1926-1945』井上寿一

大正デモクラシーが終わった後の暗い時代。それが、戦前の昭和に対する私たちのイメージです。…

夕遊
2年前
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イメージ戦略が「事実」として歓迎された話。『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』吉田…

京都や奈良が文化都市だったから、空襲がほとんどなかったという話は、たまに聞きます。昔ほど…

夕遊
2年前
20

海を超えた一億四千万冊の本『戦地の図書館』モリー・グプティル・マニング

戦争は、攻める側と攻められる側がある。「戦地の図書館」というと、攻められている側が、苦労…

夕遊
2年前
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アメリカ人記者の中国大冒険。『モルモットをやめた中国人』カール・クロウ

清朝末期から1937年までの約30年といえば、中国も日本も、そして世界も激動の時代。中国に住んで、各地を旅したアメリカ人ジャーナリストのクロウが書いた『CHINA TAKES HER PLACE』(1944)の翻訳が本書。現在読んでも、とてもおもしろいです。 なんせ、同時代の新聞記者の目で見た中国と、中国に住む人たちの心情が活き活きと表現されているんです。第二次世界大戦がどう決着するかもわからないし、中国で社会主義革命が起きることもまだ知らない。だから、読者の一般的な中国史

香港青春グラフィティ。『I AM JACKIE CHAN 僕はジャッキー・チェン』

香港の映画の歴史を少し知りたくて、読んだジャッキーの自伝です。分厚い本の大部分が、ジャッ…

夕遊
2年前
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数奇な運命を歩んだ、幸運な才能。『エリック・ホッファー自伝』

エリック・ホッファー(1902-1983)は、アメリカの社会哲学者で、もと港湾労働者。NYのブロ…

夕遊
3年前
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ユダヤ教の文化とミステリーの組み合わせがうまい。『水の戒律』フェイ・ケラーマン

本書の事件は、アメリカの閉鎖的なユダヤ教正統派のコミュニティで起こります。 私はこの本を…

夕遊
3年前
8

こんなハイジャックがあるなんて!?『シャドー81』ルシアン・ネイハム

ロサンゼルスからハワイに向かっていたジャンボ旅客機が、無線で驚きの通告を受けます。なんと…

夕遊
3年前
14

猫&ミステリー小説のパイオニア。『猫は手がかりを読む』(ココ&ヤムヤムシリーズ)リ…

猫好きには超おなじみのシリーズ。古典的な名作といってもいいかもしれません。その後、猫がか…

夕遊
3年前
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イギリス小説と映画から読む「階級」。『不機嫌なメアリー・ポピンズ』新井潤美

「○○から読む映画」、もしくは、「○○から読むイギリス」(アメリカ、日本...etc.)ってい…

夕遊
3年前
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20世紀最大の稀覯本盗難事件。『古書泥棒という職業の男たち』トラヴィス・マクデード

稀覯本とは、珍しかったり貴重だったりする本のこと。本書は、アメリカの1920年代から30年代にかけて、図書館と稀覯本泥棒がくりひろげたイタチごっこの物語。一番驚いたのは、多くの場合、古書店経営者が泥棒して稀覯本を入手していること。 この本を読むと、図書館でカード忘れたときに、しつこいくらい免許証とかの身分証明書を確認されたりする理由がわかります。図書館は、市民にどうやって本の貸し出しを広めるかを考える業務の他に、どうやったら市民に蔵書を盗まれないか追求する業務もあったのです