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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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2020年10月の記事一覧

読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選…

これは、パール・バックが『大地』の原稿を見せた出版社から受け取った不採用通知。信じられな…

夕遊
3年前
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妄想が日本を動かす。『偽史冒険世界 カルト本の百年』長山靖生

あきれたことに、近代日本は妄想の固まりだったのだ。 著者の長山さんは歯科医。趣味の延長で…

夕遊
3年前
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圧倒的なインテリジェンスの差。『太平洋戦争日本語諜報戦』武田珂代子

サブタイトルは「言語官の活躍と試練」 太平洋戦争中、アメリカ側が日系アメリカ人の青年たち…

夕遊
3年前
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猫たちが支えてくれた生活。『ワルシャワ猫物語』工藤久代

工藤久代さんが語るのは、ポーランドで飼った16匹の猫たちの話。そして、猫と暮らした社会主…

夕遊
3年前
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大好きだった翻訳家さんの想い出。『風景と自由 天野健太郎句集』

2008年夏、大好きだった翻訳家さんが亡くなった。彼の名前は、天野健太郎さん。年齢は私よ…

夕遊
3年前
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地産地消はこの時代から。『ナチスのキッチン』藤原辰史

タイトルが上手い。でも、ちょっと偽りあり。 実際の内容は、ドイツのワイマール時代からナチ…

夕遊
3年前
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ロシア語の罵倒言葉は世界一らしい。『オリガ・モリソヴナの反語法』米原万里

著者が少女時代にプラハで通った学校には、自称50歳の教師オリガがいた。オリガは70歳を優に超えてみえたが、プロポーションは抜群で「200人足らずの学校の先生とは信じられないほど」踊りがうまかった。オリガの服装は1920年代のディートリヒ風だし、態度は超然としている。そして、辞書にも載っていないような貼り雑言を生徒に浴びせかける。 オリガ先生が、「そこの驚くべき天才!」といえば、うすのろって事だし、自分の意見を言おうとするものなら、「七面鳥も考えたけど、結局スープのダシになっ

通訳から見る政治の世界。『日・中・台 視えざる絆』本田善彦

サブタイトルは、中国首脳通訳のみた外交秘録。 中国の周恩来首相の通訳だった神戸華僑の林麗…

夕遊
3年前
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千年生きる書物の世界『和本入門』橋口侯之介

一時期、新しい仕事を担当していたときに読みました。知らなくても仕事に支障はないだろうけど…

夕遊
3年前
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アジア人のハリウッド映画。『クレイジー・リッチ』アメリカ、2018年

ミシェール・ヨー(楊紫瓊)のファンなので楽しみにしていた映画。娘と二人で見てきました。期…

夕遊
3年前
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不安なときは、元気をもらう。『ヴィオラ母さん』ヤマザキマリ

今朝、Twitterのトレンドにヤマザキマリさんの名前があってびっくり。一体どうしたのかと思っ…

夕遊
3年前
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見えない日本の留学日記。『わが盲想』モハメド・オマル・アブディン

19歳のとき、スーダンからやってきた目の見えない青年モハメドの日本体験記。内戦で大学が閉…

夕遊
3年前
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反撃するプログラマ。『ビッグデータ・コネクト』藤井太洋

表紙を見ると、なんとなく『バチスタ』シリーズを思い出すデザインです。西尾維新さんが海堂尊…

夕遊
3年前
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星の世界とプログラムがつながる。『オービタル・クラウド』藤井太洋

最初の宇宙の話がちょっとわかりにくくて、読むのに時間がかかったけれど、明利という女性の登場人物が動き出したら理解できるようになりました。明利は、主人公よりも魅力的。というか、この作品はあまり主人公が魅力的じゃないけれど、周りのいろんな人間がそれぞれ個性があるので補って、バランスとっているみたい。 登場人物が多いので、慣れるまでちょっと時間がかかりましたが、群像劇で、大勢の登場人物がストーリーの終わりに向かって、まとまっていくのが心地いいです。エンジンがかかったら、途中からは