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デザイン思考の4th step:プロトタイプ(Prototyping)

デザイン思考プロセスの4段階目であるプロトタイプについてです。

プロトタイプ?

プロトタイプは、対象(ユーザーや、チームやデザイナーなど)が体験、対話できるモノを作り、早くにイメージを伝え、学びを得るフェーズです。
体験できるものであれば、壁一面にポストイットを並べたものでも、スケッチでも、ロールプレイングでも、物体でも、どんなものでも構いません。
デザイン思考でいうプロトタイプは、「学び」の位置付けで、非常に初期の段階から実施します。実現性を表明するためや、アイデアの素晴らしさを主張するためのものではありません。

プロトタイプにより、さらにユーザーへの共感を深め、インサイトを得て、ソリューションの解像度を高めるためにあります。

そのため、(特に初期の)プロトタイプはできる限りお金と時間をかけず、解像度は高すぎない方が良いです。早く学び、より良い方向に持っていくのです。

プロトタイプの例

こちらの動画は、クイックプロトタイプとして非常に良い例です。
IDEO Play Labというデザイン思考の本場IDEOのチームが作った、Elmo’s Monster Makerという子ども向けアプリのプロトタイプです。


動画をご覧いただけたら分かるとおり、人(実際には子どもが作ったモンスター)をタップすると踊りが変わるアプリのイメージを表現しています。
子どもが使うアプリをイメージしていただきたいのですが、

例えば、文章で
「モンスターがタップすると踊りが変わる」
という機能を説明されても、「へー」だと思いますが、
動画を見て、子どもが実際にタップしてモンスターの踊りを変える姿を想像すると、「確かに子どもだったら楽しく遊ぶかも!」と思っていただけるのではないでしょうか。

実際にこのチーム(IDEO Play Lab)はこの動画を持って社長にプレゼンしたそうです。

そして、実際にできたアプリかこれです。
Parents’ Choiceという団体のSilver Honor Awardを獲ったそうです。(どれだけ凄いかは分かりません 汗)

また、このプロトタイプを子どもに体験してもらったら、きっと多くのフィードバックを得られるはずです。タップのされ方、踊りの動きの面白さなどがアプリを実際に作る前に分かります。

そして、非常に重要なポイントが、
このプロトタイプにかかったコストは、段ボールとiPadを模した絵、そして動画撮影時間の30分だけということです。
文章ではなかなか伝わらない面白さを、非常に小さいコストで表現し、そこから多くの学びを得て、実現させていることがわかると思います。

このように、安価に早く作り、チームで共通認識を作り、学びを早くに得ながら人間中心に実現に近づける方法がプロトタイプのフェーズです。

プロトタイプの環境

最後にプロトタイプの環境についてです。
デザイン思考を教えるStanford大学のd.schoolでは以下のように段ボールやモールなどの道具で簡単にものづくりができる環境があり、授業の中で皆が安価にプロトタイプをしています。NHKの「ノージーのひらめき工房」みたいな感じです。

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おそらくプロトタイプ環境には2段階あって、上記のようなガラクタレベルで作るプロトタイプ。そして、もう少しフェーズが進んだ後では、3Dプリンタやレーザーカッターなど、大掛かりな機材で作るプロトタイプです。
学びにはどっちも重要だと思います。

日本には、3Dプリンタなどを設置したものづくりラボみたいなものはよく見かけますが、意外に折り紙や段ボールが置いてある大人向けの場所ってないなーと思います。初期のデザインにはこんなにも有効な場所はないのになぁと思う次第です。

Done Is Better Than Perfect!!

是非、皆様の環境でも、プロトタイプ精神を持ってプロジェクトに取り組んでみていただけると幸いです。

IDEO Play Lab
http://www.ideotoylab.com/elmosmonstermaker

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