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エシカル、サステナブル…ビューティートレンドの現在地

資生堂が「樹木との共生」をテーマにした新ブランド「BAUM」立ち上げを発表しました。持続可能な美しさを引き出すスキンケアなど、全27品目45品種が展開予定とのことです。現時点では5月30日、NEWoMan横浜にてショップがオープンする予定となっています。

資生堂は、BAUMの発表背景にて以下のように語っています。

当社は、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」を企業理念に掲げており、100年先も持続的に輝き成長し続ける企業として、社会課題の解決や環境負荷軽減などに取り組んでいます

具体的には、商品パッケージにアップサイクルの木材を使用したり、樹木由来の天然香料を使用するのだそう。また、BAUMは高級ラインの一部として取り扱われるようです。

20年代のビューティートレンドは「クリーン」

2020年代にやってくる新しい美しさのトレンドは、「クリーン・ビューティ」であると、WebメディアのMYLOHASが指摘しています。このトレンドのキーワードは、オーガニックやサスティナブル、エシカルなど。資生堂が提案する持続可能性とは、まさに「サステナブル」を指す言葉です。

SDGsの提唱などもあり、特に最近よく目にするこれらのワード。実際にはどういった内容を指すのでしょうか?

記事内で「クリーン・ビューティ」について語っているのは、米GLOSSY編集長のジル・マノフさん。GLOSSYは、テクノロジーやデジタルといった目線から、ファッション・美容などのイノベーションを取り上げている、2016年にニューヨークで発足したメディアです。

マノフさんによると「肌や髪に直接つけるものだから、できる限り安全なものを」という目線から、消費者にコスメが選ばれていくようになるのだそうです。これまでのトレンドの歩みや詳細内容は、記事をご覧ください。

これまでと何が違うのか?

ところで、これまでにも自然派コスメは多数存在してきました。ですが、今後のトレンドとして「安全でエコな美容」が改めて提案されているというのはどうしてなのでしょう? この答えとして考えられるのが、コスメティックのメインストリームにおいて「より実践的な意味合いで自然を意識した」ビジネスの増加なのではないでしょうか。

海外では、より早くこのトレンドが浮き彫りになっています。例えば、2019年CHANEL(シャネル)は最新テックを駆使したスタートアップを投資先として選んでいます。また、Dior(ディオール)は2000年の時点で、美容液『オー・ド・ヴィ』に詰め替え可能なリフィルを採用しているのだそう。

持続可能性があらためて現在のトレンドに浮上したことによって、日本国内においても、ラグジュアリーコスメブランドが環境問題やサステナブルに対する姿勢を改めていく動きが顕在化されてきているのが現状といえます。

サステナブルはそもそもマーケティング用語ではない

いっぽうで、「サステナブル」や「エコ」、「エシカル」が単なるマーケティング上のトレンドになってしまうことも懸念されています。

VOGUEでは、根拠のないマーケティングが広がっていく「グリーンウォッシング(製品やサービス、技術、企業活動の環境上のメリットについて、根拠がなく誤解を招くような主張をすること)」が指摘されています。ビジネスでキーワードを使用していく上で、「そもそも我々は、どうしてサステナブルであることが必要なのか?」ということを追求していく必要があるといえます。

SDGsでは、なんと169もの解決するべきターゲットが設定されています。気候変動や海といった環境問題、貧困、ジェンダー平等、福祉……など、解決すべき社会問題は多岐にわたっています。これらの項目は、企業として取り組むべき内容や、目的意識の例として考えることができるでしょう。反対に、SDGsなどに挙げられている行動指針を知らずにトレンドに乗ってビジネスを展開することで、グリーンウォッシュが発生してしまうことも予想されます。

ブランド側はもちろん、実際にお金を支払う消費者も、これらのキーワードの正しい意味を理解することが大切であるといえるでしょう。

Image: (株)資生堂資生堂ジャパン(株)
Source: MYLOHASイマココラボVOGUEWWD, 資生堂GLOSSY