見出し画像

キッチン by吉本ばなな

『外へ出るともう夕方だった。淡い黄昏が降りてくる。風が出てきて、少し肌寒い。』

『バス停の、通りをはさんだ反対側にある高いビルの窓が並んで、きれいに青に浮かぶのを見ていた。その中で動いている人々も、上下するエレベーターも、みんなしんと輝いて薄闇に溶けてゆきそうだった。』

『部屋はあたたかく、わいたお湯の蒸気が満ちてゆく。』
キッチン~吉本ばなな


今まで2回読んだことがあったけれど、イマイチぴんと来なくて(あんまり覚えてないのです)、3回目の今回が1番しっくりとすっと言葉が心に入ってきたと思う。

吉本ばななさんの本は一字一句じっくり大事に読みたくなる。


彼女の作品は秋が一番似合うと思うし、なんとなくもの哀しく、なんとなく人恋しくなる。

人間の生と死を見つめ直して物思いにふけってしまいそうになったり。

けれど、人間の強さを改めて思い起こさせてくれるのも彼女の作品だと思う。

キッチンはまさに私にとってそういう存在。

本棚に永久保存。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?