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顧客への徹底的な執着と興味の話
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顧客への徹底的な執着と興味の話

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日本では作り手売り手と買い手のギャップがどんどん拡大している気がします.

私は最適化と需要創造がマーケティングにおける命題だと考えているのですが,これらが混同されたり一方に偏ったりしているのが大きな問題です.

新コロのパンデミックに際し,台湾のIT大臣オードリータンはわずか3日でマスクマップというアプリをサービスインさせ,人の行動を制限すると同時に適切な物資の供給に成功しました.

日本でも,
「もっとデータ連携して効率化しろ!」みたいな声をよく聞きますし,僕もそう思います.民間レベルでもされてる話だと思います.

そっちの方がいいんですけど,じゃあ事業としてどうやって伸ばしていくの?という需要創造の発想が欠如しています.上記は極端な例ですが. 

the relationship between web marketing and digital marketingのコピーのコピー

本稿は,米大学で「Business Ecosystem」のテストを落とした経験を持ち,執筆前日には新大久保で死ぬほどsojuを飲んで記憶を無くした私が,顧客への興味と執着について思うことを書いた記事です.諸先生方には僭越ですが,温かい目で見守ってくだされば嬉しく思います.

この記事のサマリ

・最適化と需要創造がマーケティングの命題だが,両者は混同されている
・マーケティングの原点にあるのは,一人の顧客を100%満足させる価値をどうやって生み出すかである
・社内会議などで最初から「どんくらい売れるの?」と詰めるのはNG.関係者の参入障壁を無駄に上げるし,顧客から心が離れていく
・今後,物理的な距離や時間,労力といった摩擦のない世界が到来し,そこにマーケ的な価値がある

最適化と需要創造の混同

「最適化」とは商品やサービスを本当に喜んでもらえる人に届けることです.

そのためには作る側と,売る側のコミュニケーションと消費者側の体験の両方が必要であり,それをうまくマッチングさせるところにマーケティングの役割があります.

しかし,世の中にある商品やサービスが,本当に喜んでもらえる消費者に届いている割合は,感覚的には2割程度ではないでしょうか.8割ぐらいの機会損失がある状態です.

なぜなら,メディアの使い方からクリエイティブの評価,顧客の体験設計まで,最適化については論理的なアプローチが可能なのに,十分実践されていないからです.

販売に苦戦しているケースで私がまず聞くのは,シェア100%になった時の顧客数はどれくらいかということ.しかし,ほとんど答えられません.自社の商品やサービスが喜びを与えられる可能性のある顧客の数が見えていないのです.

難しいことではありません.顧客ターゲットを決めて量的コンセプト調査をすればわかります.完璧ではありませんが,100人しか反応しないのか10万人なのか100万人なのかぐらいは見えます.

数千人だけということならやめた方がいいかもしれない.その数千人に10倍の価格で売れるならビジネスになるかもしれない.それを確認した上で,どのメディアを使いどうマーケと営業の相殺関係を描くか,どういうきっかけで体験してもらえばいいのか組み立てていく非常にロジカルなことです.

一方,需要創造とはまさにユニークな商品やサービスを生み出すことです.

...

あーこの辺ちょっとめんどいので,たった今詳細な言及はしないと決めました.割愛します.

マーケティングの世界では,感性がどうのこうのと語る人がいますが,生まれつき感性がいい人に私は会ったことがありません.「そんな人類いない」と否定しているわけではなく,確かにそういったニュータイプは存在しますが,ここで言いたいのは,感性とは鍛えるもので,知識の上にしか存在しない,ということです.

データや事実を基に論理を積み上げ,あらゆる角度から検討を重ねていく.すると, 繋がっていなかった一見関連性のない複数の点が繋がって,線となり面となり立体となって非連続的なアイデアに飛躍し,それが成功につながるのです.

10人のうち一人から絶対欲しいと言ってもらえれば大丈夫

スタートは,目の前の顧客に何をしてあげたら喜んでもらえるのか,です.マーケティングの原点にあるのは,たった一人の顧客を100%満足させる価値をどうやって生み出すか,それだけです.

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一人の顧客を100%満足させる価値を生み出すためには,想像力が欠かせません.

「歯磨きしなくても良いうがい薬ができたらどうだろう」,「頭に浮かんだものが注文しなくても届いたらどうだろう」など.まだ誰も欲しいと言っていないけど,あったらいいなということを考えるのは,妄想に近いかもしれません.私はこれを「n年後の必然」と呼んでいます.

n年後の必然を妄想するには,顧客理解を徹底的に深めるしかありません.

顔の見える名前のある具体的な個人を理解し,その心の中を想像し, その本人以上に理解しようと努める.そこから見えてきたアイデアを何とか物にしようとスイッチが入れば,反対意見があっても走れます.

10人に話をして9人が反対しても一人が絶対欲しいと言ってもらえるならまず大丈夫です.

そこから逆算してプロダクトを作ったりコミュニケーションを設計していけばいいのです.

0 to 1となる需要創造のためにはマクロな数字での論理的分析なんていりません.具体的な個人の顧客理解の結果としてそれがどれくらいの市場になるのか見えてくるのです. 一人一人の顧客の集まりが市場であり,市場の本質は個々の顧客にしかありません.

社内会議などで,最初から「これどれくらい売れるの? 」というのは禁句です.このセリフが最初に出ると,関係者の心が顧客からどんどん離れ内向きになっていきます.経営視点とか組織とか方法論といったところから入ると大体うまくいきません.大事ですけどね.

こうして,アイデアをコンセプト文章やプロトタイプなどの形にしたら,もう一度,データ分析や論理に回帰します.

どれくらいの人数がそれを欲しいと言ってくれているのか定量調査をして数値化,可視化するのです.

ところが, この検証をやっていないマーケターが多い.そのため経営者にとってマーケティングが怪しげなギャンブルに見えるのです.0 to 1や需要創造には調査はいらないという方も多いですが, アイデアが具体化できれば調査は組織の意思決定を大きく後押ししてくれます.まあ使い方次第です.

マーケティング部からマーケターは生まれない

そもそもマーケターとして成功している人は,今言ったように圧倒的に好奇心にあふれていて, 顧客を喜ばせたいという執着心が強いものです.絶対にこの商品・サービスをこのお客様に買ってもらいたい,それにはどうしたらいいのかを考え行動する.

しかも, そのお客様は往々にして自分だったりする.それが優秀なマーケターの条件ではないでしょうか.

優秀な営業マンが実は最強マーケターだったりします.

広告代理店をやっていた時,一番頼りになったのは現場で結果を出し続けている営業陣でした.

彼ら彼女らは現場での圧倒的にリアルな知識と高度な顧客感覚を持っています.マーケティング部門が理論やデータで組み立てた入稿KW候補が,彼らから一蹴されることがあり,実際にやってみると彼らの判断が正しかったりする.

毎日顧客と接し,顧客のことを誰よりも深く知ろうとしているからそういう判断ができるし,実際,素晴らしい営業成績を出し続けているのです.「現場に答えがある」ということはよく言われますが,ただ現場に行けば良いのではなく,顧客を身近に感じ理解することが重要なのです.

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具体例でのマーケティングの起点は,顧客であり,顧客が経営するお店であり,営業陣の知恵だったのです.

ところが,そうした理解を吸い上げて経営やマーケティングに活かす仕組みができていない企業が結構多い.経営層やマーケター自身に,顧客の理解こそが「需要創造」の源泉であるという認識が希薄ではないでしょうか.

もし私がそれなりの規模感のある企業でそれなりの裁量権があり,マーケ優位ないし営業優位の戦略を描けるのであれば,マーケ部用デスクと営業部用デスクは破壊します.暁,皆んなで時間と場所を同期してもらいます.巨大な円卓で仕事をしていくのもいいかもしれない.

一方で, 顧客を取り囲む環境はデジタル技術やツールの進化でますます複雑化し,マクロでは見えなくなってきています.そのような変化の中でビジネスの最前線でマーケターに求められる能力やスキルは日々上がっています.

数十人規模までの企業ならトップがマーケターだってことはあり得ますが,会社の規模が大きくなる中で社内ジョブローテーションで育てるのは難しくなっていると思います.目線が顧客を向かず,社内の評判や成果,目標といった内向きな姿勢になり,それ軸で動くようになります.

では, 次の世代のマーケターはどうなるのか.つまりこれらの弁証的中庸,そこそこの顧客感覚を持ちつつ,社内ジョブローテーションから外れる人材,というイメージ.

総合的にマーケティング戦略を構築できるCMO能力と,一部のスキルに特化した専門マーケターに分化し,全体として「プロ化」に向かうと思います.プロ化したマーケターは,企業からストックオプションやレベニューシェアなどの大きなインセンティブを得て,プロジェクト単位タスク単位で契約します.

1-2年で圧倒的なパフォーマンスを出すことを期待され,報酬はプロのスポーツ選手並みに高く,それなりの納税を強いられ,しかし結果がでなければクビが飛ぶし次の契約は来ないかもしれない.

このように厳しい環境で結果を出すために日々自己研鑽し,全力で仕事に向き合うのです.

「ゼロ摩擦」時代のマーケ

よく言われることですが,今は IT でビジネスや社会が劇的に変わる DXの時代です.商品やサービスを買ったり, 使ったりする顧客の行動はかなり可視化できるようになりました.

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しかし, なぜそういう行動を取るのかという心理面はなかなか説明できていません.

行動には必ず心理的な変化が伴っているはずですが,その心理的変化は本人が意識しているものもあれば,暗黙知なものもある.正しく切り分ければマーケティングが解決すべき領域はまだまだ残っており, それは最適化だけでなく需要創造につながるところです.

消費者の意識していない心理変化ということで, 私が一番興味があるのは摩擦をゼロにすることです.

摩擦とは物理的な距離や時間,労力を指し, これを減らすことができれば多くの人は喜ぶはずだし,世界時価総ランキングの企業群がその証左であるという評価も禁じ得ない.

マーケティングもこれまで,物理的な摩擦をベースにした世界で構築されてきました. しかし, 今はDXによって時空の摩擦をゼロにしていく流れが生まれ,従来のやり方とぶつかり合う状況になっています.

私は将来, 「ゼロ摩擦」やシンギュラリティの世界が実現すると信じているほうで,そこから逆算すると多くの人が気づいていない色々なニーズが見えてきます.そういう領域にこそ, 新しいマーケティングの可能性があるのではないでしょうか.

おしまい。

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