記憶を失ってもう一度読みたい本
毎年決めてはいないのに、吸い寄せられるように読んでしまう本がある。
東野圭吾さんの白夜行だ。
初めて読んだのは高校生の時。
あまりにも長くて(800頁ある)、登場人物も多く、何回も挫折した。ただその挫折を超えた先にこんな面白い世界が広がってるとは…
舞台は1973年。大阪の廃墟ビルで質屋を経営する男が一人殺害される。容疑者は次々に浮かぶが、結局事件は迷宮入りに。
そして被害者の息子と容疑者の娘は全く別々の道を歩むが、2人の周りには奇妙な事件がよく起こり…
初めて読んだ時は最後まで犯人がわからなかった。そして知った時は胸が張り裂けそうになった。あまりにも苦しすぎる。罪の共有は最上の愛情なのではと思った。そして罪を1つ重ねたら、また1つ罪を重ねないといけない。
小さい時に嘘をついちゃダメだよ、と言われるが、嘘をつくことは回り回って自分の首を絞める。嘘を正当化したら、別のところに歪みが生じるから、また嘘をつかなくてはいけない。そして嘘はついたら覚えていないといけない。
この物語はパズルのピースがぴったりとはまっていて、どこも抜けがない。その気持ちよさは伏線の張り巡らせ方は見事としか言いようがない。うまく匂わせはあるけど、やっぱりわからなくて、最後まで読むと全てが納得できる。
もう何回も読んでいるからトリックも犯人も知ってるのに何回も読みたい。読んだ時の胸の張り裂ける気持ちを何度も味わいたい。そしてこんなことが起きてはいけない。
願いが叶うなら記憶をゼロにして、犯人も知らない状態でこの本を最初から読みたいです。
ただそんなことは出来ないので、読んだことがない人、ぜひ読んでほしいです。絶対後悔させないので。
そして本を読んだことがある人はぜひドラマも見てほしい。このドラマはわたしが人生でもっとも見たドラマです。何回も何回も見ました。
そのたびに胸が苦しくなり、なんで誰も解放してあげなかったのと、思いそうになります。
ドラマの方は原作に描かれていないアナザーストーリーですが、原作から読んだ人はめちゃくちゃ納得感が強いと思います。語られる視点が本と真逆なので。だから本が好きな人は絶対見て欲しいです。本で疑問に感じたことがドラマで納得いくと思います。
そして初めての方は絶対、本→ドラマの順番で!!!!!
読書歴も20数年になるけど、繰り返し読もうと思う本はそんなに多くないです。その中で毎年読みたくなってしまう衝動に駆られる本はもっと少ないです。この本はわたしの人生の1冊に間違いなく入っているし、就活の時に語ったくらいです。
記憶を失ってまた読むことが私にはできないので、1人でも多くの方にこの小説の魅力が伝わりますように。
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