りや

自分の尻叩きを兼ねていろいろ書きます。時々修正するかも。間違っているところがあればご指…

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自分の尻叩きを兼ねていろいろ書きます。時々修正するかも。間違っているところがあればご指摘いただければ喜びます。 https://coconala.com/users/2878759 ココナラで出品始めました。 こちらでの執筆も再開していきたいです。

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  • 短編小説#A

    世界観が共通のもの

  • 短編小説#B

    基本独立した世界観のもの

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ココナラに登録し、オリジナル小説の制作サービスを出品しました! https://coconala.com/users/2878759 こちらのほうもまた仕事の合間を見て更新していければと思います。 (前にもココナラに登録し、ちゃんとパスワードもメモ・入力したのにログインできず作り直したのは内緒です)

    • ひと駅分の距離

       重たい瞼を開けたその瞬間、プシューと音を立てて扉が閉まり、変わり映えしないようで案外違いがよく判る、見慣れた景色が押し流されていく。そして五秒ほど経って、私は自宅の最寄駅で降りるのを忘れたことに気が付いた。一気に目が覚めたのは、言うまでもない。  どうしようと軽く混乱しても結局は出来ることは限られている。新型の座席が柔らかいのが悪いとか、ここ暫く抱えていた案件を完遂し早く上がれたから座れたのが良くなかったとか、喜んでいたことに内心文句を言いつつ数分を過ごし、次で下車した。こ

      • 果たして心は誰のものか

        「嫌い……というか、うちは気持ち悪いなぁって思うわ」  自然に告げられた一言に思わず心臓がドキッと跳ねた。話題を振ったのは僕なので自分に言われたわけじゃないと分かっていても過剰反応してしまう。それを口にしたのが優等生を絵に描いたような女の子——クラスでの彼女の立場から僕もみんなも委員長と呼んでいる——なら尚更。テスト終わりで賑やかな教室、身体は横向きに上半身を後ろの僕に向けた彼女の声は、小さいのによく聞こえる。相槌を打つより先、委員長は眼鏡の蔓を押し上げると言葉を続けた。

        • やっちまったと笑えない

           底冷えに加え、諸々の事情——大抵は仕事関係ではなく最近発売したゲームのやり込みにハマってるからだが——で、すっかり夜更かしが日常になった俺は当然のように風邪を引いた。鼻水が昼夜を問わず溢れ出し、喉が痛いあまり飴を欠かせない。咳も結構出るので常時マスクも付けざるを得ず、自業自得とはいえ不便な生活を送る羽目になった。それだけなら、まだ良かった。病院に行って薬を貰って、すぐに完治はないしろ、状況は好転すると予想していたからだ。しかしやっちまった。酷く寒い冬の朝、何とか布団から這っ

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        • 短編小説#A
          11本
        • 短編小説#B
          15本

        記事

          近くて遠い、世界の話。

           行き帰りの乗り物の待ち時間に昼休憩。帰ってからもお風呂が沸くまでや寝る前にスマホを手に暇を潰すことが多い毎日を送っている。操作が楽で札束で殴る予定はなくてもそれなりに満足出来るソシャゲや、ぼーっと見れて、気になったシーンだけちょこっと巻き戻せばいい動画も面白い。けどどちらもある程度時間は必要だから、タイムラインを眺める回数が多かった。投稿を一つも見逃したくない、というタイプではないので、適当に流しては満足してやめるの流れを繰り返しても既読まで辿り着かずに済む。フォロー先もマ

          近くて遠い、世界の話。

          生の定義

           生まれるという言葉の定義が自我を持ち得た瞬間であるなら、僕が生まれたのは現在より遥か昔、今となっては気が遠くなるほど前の話になる。ただ身体も小さく手足も細ければ、この狭い場所から抜け出すことも侭ならない。それが僕の生まれ持つ性質であり、それは兄弟と呼ぶべきものもまた同様だった。僕らはみな同じなのだろうと思う。ここは暗くて狭いが、頭上が覆われている分、雨を浴びずに済むのがいいところでもある。ただ正面よりもやや下、地面はそれなりに見えていて、時折地に足をついて歩くものたちの姿が

          生の定義

          真実はどこにあるでしょう?

           わたしの気になる彼は周囲からよくまるで猫みたいだと表現される。それは何か頼まれたときに決まって「気が向いたらやるよ」と返すことだったり、ゲームとかドラマとか流行りに飛びついては誰より詳しく、他は何も目に入らない様子で熱中するのに一番飽きるのも早いことだったりする。それと特にお金持ちではないらしいのに、どこか品があるというかさり気ない仕草がきれいなところも、とても目を惹いた。かといって近寄り難くもなく、一番目立つ存在ではないけど、いないと物足りないと思う、そんな不思議な存在感

          真実はどこにあるでしょう?

          目に映るものは

          「なるほど。つまりそれが貴女の主張ですか。解りました」  そう呟く声に安堵の息をついたのも束の間、 「ですが事実とは随分異なっているようです。ならば貴女には真実を知る義務があるでしょう」  と付け足され、背筋に嫌な感覚が走る。嫌々と首を振り顔を覆い隠そうとするが私の前に立つ裁判官のような男性が腕を一振りするだけで、見えない何かによって引き剥がされた。そして強制的に正面を向く。突如として男性との間に割り込むように現れた鏡が一瞬輝いて、次には少し前の——制服を着た私が映った

          目に映るものは

          一個食糧七日分

          「あっ」  と間の抜けた声が出る。ココア入りのマグカップを手に、自室に戻ってきてすぐその変化が分かった。デスクの上に置いてある青と緑、灰色のマーブル模様に白い斑がついている球体。座ったとき丁度いい高さになるよう調節して浮かべている。その表面がチカチカと明滅しているのだ。僕はココアを零さない為に慎重に歩いてデスクの前まで行くとマグカップを置き、少し奥の方にあるそれを細心の注意を払って引き寄せた。もしも触ろうものなら、触れた箇所にもよるが形を損なう可能性が相当高い。一応はこれで

          一個食糧七日分

          探偵のあるべき姿とは

           コホンと隣に立つ青年が咳をしたのが聞こえる。殺人事件の容疑者が集められたこの部屋には私の部下を含め七人もの者がいるが、そうと思えないほど静まり返っていた。滔々と語るのは有名大学の大学院生で協力者でもある、推理小説における探偵役の彼だけ。が、誰かが生唾を呑み込む音に続いた発言に私は度肝を抜かれることになるのだった。 「では、肝心の犯人ですけど……それは警部殿にお任せしましょうか!」 「……はあ!?」  素っ頓狂な声をあげるのが精一杯で。気の利いた返しは勿論、威厳を保つ為の

          探偵のあるべき姿とは

          幻の邂逅

           角を曲がった拍子にぶつかりそうになって、お互いに気付き、微妙にズレたタイミングで一歩下がった。知った顔に浮かんだ知らない表情。見下ろすその子の視線が不意に外れ、彼女はぺこり頭を下げた。違和感を覚えたがそれをその子のか細い声が搔き消す。 「あ……あの、すみません。人違いでした……」  言って俺の返事を待つ間もなく踵を返し、ひと気の多い大通りへと戻っていく。小走りに駆けていく様にも既視感が募って、時間差で驚いていることを自覚する。こうなってからは久しぶり——いや初めての感覚

          幻の邂逅

          当たり前にそこにあるモノ

          「……あ?」  とそんな間抜けな声が俺の口をついて出る。秋なんて初めから存在しなかったかのように暑さはすぐに寒さへと置き換わって、必要に迫られない限り朝出かけるのは勘弁だと、そう思って昼前にアパートを飛び出した平日。電車に乗るのさえも億劫だが仕方ないと割り切って、上着のポケットに手を突っ込みながら歩道を歩く。ただ久し振りに浴びる陽が眩しくて手を翳したら、視界の端に当たり前だが青空が映り込んで、それで、何だか目が離せなくなった。  別に雲一つない快晴の空だとか、何か物の形の見

          当たり前にそこにあるモノ

          目には目を、歯には歯を

           その一言はいつものように、散々もったいぶった上で吐き出された。これはとっておきの秘密だ、他の奴には内緒という前振り後に。いつも通りアタシも何々と目を輝かせてソイツを見返した。 「実はオレ、お前のこと好きなんだよね」  そう耳打ちされてアタシはへぇと頷いた。 「おいこら、へぇって何だよ、へぇって!」 「もう、その手の嘘には乗りませーん」  アタシは言いながら嫌々と頭を振り、耳を塞いで聞こえないフリをした。おまけにアタシの前の席にこっちを向いて座るソイツに向けて、ベーと

          目には目を、歯には歯を

          ワンタップのスキでも

           寝ぼけ眼で枕元に置いてある筈のスマートフォンを手繰り寄せようと、布団を這い出した腕で辺りを探す。狭い部屋だからすぐ見つかって、わたしは片手で掴むには大きいそれを布団の中まで引きずり込んだ。煌々と輝くディスプレイが眩しい。痛さに仏頂面になりつつ、わたしはロック画面に表示される通知に目を凝らした。そしてある文字を見た瞬間に一気に覚醒して、勢いよく跳ね起きる。このところ寒さに敗北しっぱなしだったけど、今日久し振りにやり込めたぞ——なんて勝利の余韻に浸る間もなく指で画面をスライドさ

          ワンタップのスキでも

          神様という名の実像

           ——あたしはどうすればいいの。どうしよう。そんな言葉ばかりが頭に思い浮かんで、足は部屋の中を行ったり来たりするだけ。何もしてないのに汗が頬を伝ってきて、手の甲でぐいと拭った。学校の行事で大役を任された時と同じ、全身が火照ってクラクラとするあの感覚。心臓だって普段は全然意識することがないのに、ずっとうるさく響いてきて、地団駄を踏みながら自分に怒りたくなった。馬鹿馬鹿何やってんのよあたしって、でも本当にそんなことしてる場合じゃない。あたしが一人家でこうしている間にも遠くからずっ

          神様という名の実像

          神様という名の■■

           ——今日もつつがなく世界は回っている。神様がいなくなっても何も変わらなかった。一日が経ち一年が過ぎ、十年を越え、その後は数える気にならなかった。あの人がいないのに生きる意味なんかないし、誰が生きようと死のうと、世界が再生しようと滅びようと全部がどうだっていい。だというのにおれは生贄としての役目を果たさずに逃げ出して、遺跡で燻っていた時と何も変わらないまま、消極的な方法で自分の死を待ち侘びる子供だった。あの村に居続けていれば村人も様子を見に来て、おれに何かの罰を与えただろう。

          神様という名の■■