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目的もゴールもない現代に、人間はどう生きていくべきか

誰でも自分は何のために生きているのか?と考えた事はあるのではないだろうか。人生に目的は必要なのか?どうしてヒトだけがそんな事で悩むのか?

ちょっと前に「君たちはどう生きるか」が流行ったし。人の生き様、少年よ大志を抱け、一廉のもの、男ならXXXするべし、とかたぶんめちゃくちゃ昔から人間はそんな事を考えて、答えが出ないから宗教を発達させてきた。自分も中学生くらいの時から何故原子の集合体である人間が思考するという能力を身につけてこの世に存在しているのかと考え悩んでいた時期があった。

何かの本で「生命に目的なんかないです」と書いてあって、あーなるほど、そういう事かと思って、それ以来悩まなくなったけど。

今日の本はITジャーナリスト 佐々木俊尚氏の著作。

ITに詳しい著者ならではの切り口で過去から現代までをテクノロジーの進化に合わせて振り返り、それぞれ「因果の物語」「確率の物語」「べきの物語」「機械の物語」「共時の物語」という言葉で語っていく。

作家というのはこういうなんとなく頭の中に断片的に偏在している知識、話しを言葉、文章として紡いでいくんだなと妙に納得してしまった。さすがというべきか。当たり前だけど。

それぞれの物語で出てくるエピソード、例え話、引用例が理系好みでいいですね。AIの基礎の基礎的な解説が入っていたり、攻殻機動隊からの言葉だったり、映画「インターステラー」だったり。NETFLIXやYoutubeやSportifyで過去の作品も最新作も並列的に好きな時に好きなだけ見られる、聞ける時代になって、過去も未来も現在もなく今を生きるという考え方ってアドラーのトラウマ否定論に近いよね。「因果の物語」に引きづられるのではなく、「今ここを生きる」って。

大昔自分の親はなんで金持ちじゃないんだとか思った事あったけど、過去の事に囚われる事なく、今を精一杯生きるって大事な事だし、それでいいと思います。先がどうなるかもわからないし、計画的に物事は必ずしも進まないし、神も存在しないし。臨機応変、ちょっと流行ってる言葉を借りればAgilityを持って対応していくしかない。そういえばソフトウェア開発もウォーターフォールからアジャイルになってるしな。。

俯瞰的に現代を捉える事が出来る良書だと思います。生きる哲学を求めている、もやもやしている理系諸君におすすめ。

序文がnoteでも読めます。素敵。


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