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80'sのトロピカルで都会的な

 海外ドラマ『Startrek』『SUPERNATURAL』ばかり追いかけて、アニメに中々追いつけない。とはいえ、アニメは好きなので気になっている。だから、今期なかなかの評価を得ていると聞く『かくしごと』をアバン、OP、Aパート冒頭、全4分ほどを観てみた。絵とデザインをみれば判る。久米田康治だ。

 ぼくの久米田作品との出会いは『行け!!南国アイスホッケー部』にさかのぼる。1991~1996年に掲載されていた作品なので、おそらく中高生時分に楽しみでマンガを買って集めていたように思う。

 アニメ『かくしごと』を見て、懐かしさのあまり、ふとAmazonで『南国…』を中古で全巻買ってしまった。そして、単行本の表紙をみて気づく。

 トロピカルでシティな雰囲気。言語化すると死ぬほどださくて何度も笑ってしまった。でも間違いなく「あぁ、これ、ぼくの色彩イメージの源泉だ」とふいに気付いた。さっと「80年代 イラスト」で検索してみると、イラストレーター・EIZINの絵が出てくる。山下達郎の音は耳に残っていない。でもEIZINの絵をみて、そうそう、こういう感じ!と思った。どうやら、幼少期のぼくを深く印象づけた絵の雰囲気が、EIJINなのだろう。

 思い出せば、思い出すもので、江口寿史、クリスチャン・リース・ラッセン、Act Against AIDSのキース・ヘリング、そしてイタバシマサヒロ/玉越博幸『BOYS BE…』が次々とよぎる。『Dr.スランプアラレちゃん』、最初期『ドラゴンボール』の表紙の色合とでも言おうか。きっと、ぼくの走馬灯はこれらの色を帯びている。

 中高生時分まで海洋考古学者になりたかった。その出所は、二つのマンガ『マスターキートン』『B.B.フィッシュ』だと思っていた。いざ大人になって思えば、人文学的な素養は前者から、沖縄好きは後者に由来している。しかし、そこに『行け!!南国アイスホッケー部』的な色彩を加えなくてはならない。80年代から90年代にかけてのトロピカルでシティな景色へのこころの高鳴りが、少年期以来、ぼくを強く捉えているのだ。

 これら80年代の観光地のキーホルダーのような感性とデザインの総体が、ぼくの色彩イメージの原風景のひとつなのだ。友人が「今だと中村佑介みたいな感じかな」といったので検索してみる。たしかに、30年後、40年後には、同じような印象を受けるのかもしれない。

 期せずして幼少期の雑多なイメージが言語に変わる瞬間を感じて、驚いたというお話。言いかえれば、15才くらいまでに触れるデザインや色彩が、予想以上に残る場合があるということだ。そう、ぼくは「トロピカルで都会的な」印象が大好きなのだ。言語化すると笑ってしまうけれど、好きなのだから、こればっかりは仕方ない。だって、トロピカルで都会的なんだから。

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