分身
母になるらしい。
もちろん予期していなかったことではなく、
そもそも1年くらいそのために病院にも通ったのであって、望んだことでもある。
ただ、あなたの中に新しい命が宿りましたよと
宣言されたときには全く実感も湧かず
(早々に始まった悪阻に苦しんではいたが)、
こんなにも時間とお金をかけた割に
嬉しさや幸せを感じるには程遠い気がして
実は私はこの子のことを望んではいなかったのではないかと本気で思ったりもした。
その時から既に5ヶ月が経過しようとしている今現在はというと、私とは別の生命体が私の中に存在していることは間違いない。
私が眠ろうとしているときに踊り出すかの勢いでグネグネしていたり、私が真剣に誰かと話しているときに遊んでいるかのようにぽこぽこしていたりするんだから絶対に私とは別の意志を持つ別の個体だ。
十月十日も自分の中にいた我が子は産まれてきた後も自分の一部であるかのように錯覚する、というのは嘘だったのか。
私はこの子を私の分身であるとは到底思えそうもない。