見出し画像

#7 何をしにどこへいく?【書評】バッタを倒しにアフリカへ


◾️要約

本書はファーブルに憧れ昆虫の研究者になりたい青年がモーリタニアでサバクトビバッタと向き合い、苦闘する戦いの記録。また世界の危機への対応であるが資金があるわけではなく、研究者として戦いを続けるための苦労と工夫を通し人間としても成長していく記録である。

◾️感想

インパクトのある表紙と結構話題になったので読みたいと思っていた本。

誰かの成功までの道のり(この方はもっともっと活躍されるのだろうけど)を読むのはその人の人生に参加させていただいているようで楽しい。(「シュードック」でフィルナイトもスポーツは書物と同じように他人の人生に関わった気にさせてくれる、と書いてあった。)

昆虫、しかもバッタが好き。ファーブルに憧れを抱き聖地訪問。いいっすね。
また研究者として生活がいかに困難かについても書かれているし、そんな中でSNSを利用し、活躍の場を広げたのも素晴らしい。

この本に書かれていることをすればうまくいく、というものではなく、自分の好きなことに対して必死に向き合い、なりふり構わなかった、頑張ったから今があるというものだと思う。
自分にも刺激になる。

一方、このバッタの害、蝗害は世界的にも大きな問題。
この本はモーリタニアを書かれているが、東アフリカでも問題に、というニュースが2020年2月くらいにあったような。。
コロナももちろん大変だけど、バッタもすごい大変なんだ(この本を読んでいるのでニュースを見たときに受け取り方が変わった)と思ったのを覚えている。
・・・こうした研究者の素晴らしい活動についても影響が出るコロナ。本当に困るなぁ。(けど前向きに!)


◾️オススメ

研究職など自分の好きを基準に活動している人:背中を押すという意味でオススメ
そうでない人:そうした生き方の選択肢を与える本としてオススメ

◾️要約(詳細)

◆第1章 サハラに青春を賭ける
 西アフリカ、モーリタニア。そこで大量発生するサバクトビバッタ。ファーブル昆虫記に憧れてドクターになった男性はそこでバッタに食べられたいという夢を叶えるため、いや、サバクトビバッタの大量発生を防ぎ、被害を極小化するためにこの地に立つ。

※書いてあることを端的にまとめようとするこうなる(事実の羅列になる)なあ。ハウツー本でもないし。


◆第2章 アフリカに染まる
 郷に入りては郷に従え。文化的な違いを知り、受け入れることが大切。発展途上国は賄賂がまかり通っている。やり過ぎてはいけないが、頑なに拒んでいるだけでも息苦しくなる。

※一昔前の中国とか中東とか現地でビジネスをやるというときに必ず書かれていること。世界は広い。インターネットで世界中と繋がれるけど、生活に関わるしきたりや行為、設備などは様々。受け入れることから始まる。


◆第3章 旅立ちを前に
 昆虫の研究者になりたい少年の過去の話。興味をもってなりたいもののために努力し続けてきた。不安はつきもの。大震災など、いつ何が起こるか誰もわからない。ただその中でもやるしかない。

※大袈裟にいうと覚悟を決めることが大切。ただ若い時は”好き”とか”根拠のない自信”とかそういったものに突き動かされて動いているような感覚だと思う。

◆第4章 裏切りの大干ばつ
 自然を相手にしている以上、何が起きても変じゃない。研究対象がいないなんてことはざら。その際に”しつこさ”が必要。他の昆虫にも興味をもって、(生活のためでもあるが)頑張ることが大切。

※何か悪いことや想定どおりにいかないときに、何かのせいにするか、(これが回り回って何かの足しに、と)前向きになれるか、結構人生を左右することだと思う。さらにそれを意識的に、前者になりそうなときに意図的に後者にできるか、が大事。

◆第5章 聖地でのあがき
 ファーブルの故郷に博物館がある。そこへいって改めて決意を新たに。

※「何かの憧れに対してそのゆかりの地を訪ねること」や「昔から行きたいって思ってたところに行く」ってなんか神秘的というか崇高というか、大切な思い出になるよね。

◆第6章 地雷の海を越えて
 念願の大量発生したサバクトビバッタに遭遇。どこまでも飛んでいく群。人間は地雷の関係で先に行けない。初めて目の当たりにした相手。とんでもないものを相手にしていることを改めて実感。

※自然の壮大さとともに人間の無力感も感じるという場面はあると思うが、それが人類にとって大きな害を与えるとなると、立ちすくんでいるわけにもいかない。そうしたことに立ち向かう研究者は本当に尊敬します。

◆第7章 彷徨える博士
 収入がなくては研究者でい続けられない。バッタのことをなりふり構わずアピール。テクノロジーと上手く付き合って、ニコニコの祭りなどでもアピール。コネクションが増えていった。白眉プロジェクトの面接も臆することなくやれた→合格、採用!

※やり始めはうまくいかず、少しすこしずつ。けど続けていって、いろんな人のつながりが増え、いろんな場所で講演などさせてもらって、そうした場になれているから面接は特に臆さなかった。っていうレベルアップ感、成長して強くなっている感、素敵だなぁ。「この経験しているから他のどんなことも乗り越えれる」みたいな。いいよね。雛が巣立つのを見守る親鳥の気持ちだ。

第8章 神の罰に挑む
 再びモーリタニア。大量発生したサバクトビバッタに会えた。研究を思う存分実施。

※強くなって帰ってきました!強い強い強い、軽い軽い軽い。悟空みたいですね。

第9章 我、サハラに死せず
 いろんな人に技をおそわりながら、それで得た力を次に試す。様々な人との出会いによってスパイラルアップ。感謝の気持ちを忘れずに。

※最後は要約ではなく感想に近いですが、こちらはぜひ本書をお読みください。(言い訳)


◾️読みやすさ

文章は平易で読みやすい。別に目次通りでもなく、気になった部分を読んでみるのも良いと思う。個人的には7章がいい。

◾️ハッシュタグ

#バッタを倒しにアフリカへ

#新書

#ベストセラー

#ブックレビュー

#書評

#読書感想文

#要約


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?