【note用】新型コロナウイルス対策と密教

0.note用挨拶

 先日twitterでつぶやいた法話用レジュメですが、丁度コロナ対策の3蜜と、密教の三密がうまいこと一緒だったのでnoteを作ろうと思ったのですが、越法になってしまいかねないとは思いましたが、越法に触れない程度で三密について述べてみました。
 本記事は、まだまだ勉強中の身が書いたものですので、解釈についての誤りがあるかもしれませんが、それに関してはご容赦ください。
また、檀家さん向けに作った資料ですので、解釈をわかりやすくするために少しだけ変えたりしているところがありますのでご了承ください。(特に三密加持もところは)

1.ご挨拶とお詫び

(略) 感染拡大防止の観点から、法要の後の法話を簡潔にしまして、詳しいお話は、当プリントを以って法話とさせていただきます。感染拡大のためにご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

2.新型コロナ対策について

 首相官邸と厚生労働省は、新型コロナウィルスの対策として、「蜜」を避けて行動するよう国民へ呼びかけました。
① 換気の悪い密閉空間
② 多数が集まる密集場所
③ 間近で会話や発生をする密接場面

この「3つの蜜」が揃う場所でクラスター(集団感染)が発生しやすいとされています。
本来であれば本日のような場面でも、密集場所とされやすいですが、十分な配慮をしたうえで法要をいたしました。

3.三密(さんみつ)について

 我々真言宗僧侶も3つの蜜(=三密)を大切に修行を行っています。三密とは、「身(しん)」「口(く)」「意(い)」の三種の働きをいいます。

身蜜とは、動作、つまり我々の体の動きのことをいいます。
口蜜とは、言葉、つまり我々が発する言語のことをいいます。
意蜜とは、こころの働き、つまり考えたことや思ったこと感じたことをいいます。 

顕教(けんぎょう)(=真言密教以外の仏教)では「業(ごう)」といいます。これは、この3つがあるから煩悩があり、それに覆われて汚れているといわれます。しかし密教では、これらを仏の働きと見て三種の秘密、三密といいます。

4.三密加持について

 真言宗の僧侶は、三密を使って加持をおこないます。そもそも「加持」とは、サンスクリットでadhistana(アディシュターナ)といい、もともとは、物体に力が加われて、さらに何らかの力がプラスして加えられることです。

高野山大学名誉教授で、高野山真言宗元管長猊下の松長有慶御前は、自著で、「加」は、如来からの働きかけの力、「持」は、衆生(=救いを求める人)がその働きを受け止め、そのような相互関係と捉える。と述べています。

加持を先程の三密に当てはめると、
身=手で印を組む
口=真言をお唱えする
意=仏の境地に入る
という形になります。例えば、掌を合わせる合掌も、印の一種と言えるでしょう。

このように、三密がそろい、仏と行者(僧侶)が一体化(入我我入)することを加持といいます。
例えば我々僧侶は、日常のおつとめなどでは、お経を読誦するとともに、真言をお唱えしています。そのときには、上記のように、手で印を組み、仏の境地に入り、真言をお唱えします。そうすることにより、行者と仏の相互関係によりご先祖様の供養をすることができます。


5.おわりに

 皆様のように在家信者のかたは、上記で述べたことを実践しようとすると大変ではありますが、上記の三密をしようとせずとも、「身」で合掌をし、「口」で般若心経などのお経を読誦し、「意」でご先祖様のこと思うだけでも、三密行をすることが可能です。

現代では、先祖供養をないがしろにしがちですが、手を合わせるだけでもかまいません。
外出しづらい時期でもありますので、今一度ご先祖様を大切にし、見つめ直すきっかけになればいいなと思います。

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