新型コロナの感染パターングラフの解析


はじめに

新型コロナウイルスが世に広まって、半年がたった。そこで、感染数のグラフを解析して、新型コロナウイルスの各国の感染パターンを考察する。現在主なウェブサイトでは、累計感染数、新規感染数、あるいは両方のグラフを掲載している。解析するには新規感染数のグラフが使いやすい。

日々の新規感染数は、毎日どれだけの感染者が増えたかを表す。数値が高ければ、より多くのものが感染したことになり、累計感染数もドンと増えるので、新規感染数は「感染速度」を表していると考えるとわかりやすい。速度が高ければ高いほど、感染力が強いのである。速度の状況がわかれば、微積分の手法を用いて感染状況を解析することができる。

下の図はは日本の新規感染数の時系列グラフである。時系列グラフとは、横軸が時間の経過を表しているグラフである。データはNHKのものを利用した。

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速くなったり遅くなったりを繰り返しているが、4月半ばと8月初めに全体的に速くなっていることがわかる。実際4月は感染拡大が心配されており、4月7日に緊急事態宣言が7都県に発令され、12日には全国に拡大された。その結果、感染拡大が収まってきた、つまり、速度が低くなった。その後、しばらくは速度が低いまま推移したが、6月末からまた加速始め、7月には、4月の時よりも速くなったが、8月半ば以降はは減速している。

ところで毎日の新規感染数のグラフは一般にギザギザしている。それは、日々の感染数が多い時もあれば少ない時もあるからである。日曜日は検査数が平日の半分以下になるので、感染数が平日よりも確実に減ることがわかっている。それゆえ、日曜日と平日の感染数を比べることは意味がない。

しかし、このデータ収集上の都合でそうなった感染数の上下を、感染拡大や感染収束と考える人たちが絶えない。例えば、8月17日の新規感染数は647人であったが、翌日の18日は916人に増えた。メディアは感染拡大か、と騒いでいたが、17日は月曜日で、647人は日曜日の数字である。同様に916人は月曜日の数字である。

したがって、感染パターンを解析するのにこのギザギザは邪魔である。また、微積分の手法を使うにあたって、グラフが「滑らか」である方が都合が良い。統計学では「移動平均」という、その日を含む数日間の平均を用いると、、グラフが多少「滑らか」になることがわかっている。新型コロナウイルスの場合、週末と平日とで新規感染者数に差があることが多いので、7日間の移動平均を使うことでその差を吸収することができる。

感染速度グラフ

ここでは、移動平均ではなく、週間新規感染数を使う。これは前週の木曜日からその週の水曜日までの一週間の新規感染数を記録したものである。この値を7で割れば、その日の移動平均になるので、そのグラフは移動平均同様滑らかになる。移動平均は毎日計算する必要があるが、週間新規感染数は、毎週水曜日にデータを集計する。週間新規感染数は、1週間の感染速度を表すので、以降は、週間新規感染数を「感染速度」あるいは単に速度呼ぶことにする。

次の図は日本の週間新規感染数のグラフである。日々の新規感染数のグラフとは異なり、グラフの細かい上下がなくなっている。一方、感染速度が高くなる時期はほぼ一致している。

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感染速度グラフの横軸は日付、縦軸はその週の感染速度(新規感染数)である。例えば、4月15日のグラフの値は 3814 である。これは4月8日から4月15日までの一週間で計3814件の陽性の検査結果が出たことを意味する。4月8日までの累計感染数にこの値を足すと、4月15日までの累計感染数になる。微積分をやったことがあれば、累計感染数はグラフの下の面積になることがわかると思う。

感染速度のグラフを解析するときには「高さ」の他に「傾き」に注目する。

グラフが右上がりになっているところでは、感染速度が上がっている。これは単に感染数が増えているだけでなく、感染力の「勢い」も強くなっていることを表す。傾きが急であればあるほど勢いが強い。車の運転に例えると、急加速をしたことになる。図2から、日本では3月25日から4月15日までと、7月1日から8月5日までの2回、急加速が起こったことがわかる。2回目の急加速は、1回目よりも長く、速度もだいぶ上がってしまった。

一方、グラフが右下がりの時は感染速度が下がった、つまり、感染の勢いにブレーキがかかった、ということである。「傾き」が急なほど強いブレーキがかかったことを意味する。ブレーキがかかっても、感染数が減少しているわけではない。しかし、感染の勢いが弱まっていると言える。日本では4月15日と8月5日の2回ブレーキがかかっている。1回目のブレーキでは加速前のスピードに戻ったが、2回目では1回目よりちょっと強いブレーキをかけたが、あまりにスピードが上がりすぎていたため、まだ、元の速さまでには戻っていない。

グラフが水平になっている時は、毎週同じ数だけ新規感染があることになるので、感染の拡大が収まったというわけではない。むしろ、グラフの高い位置で水平ならば、かなりの量の新規感染が出ているの事になる。0の位置での長く続いているのなら、新規感染が発生していないので、感染は終息したと言える。

日本の感染速度グラフから、次の図にあるように、可燃状況を説明できる。

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長くつづく険しい上りの傾斜を「波」と呼ぶ。波はグラフの傾きがほぼ平坦から急激に険しくなった週から始まり、グラフが極大になったところで終わる。極大点を「波のピーク」という。波の始まりからピークまでの週の数を「波の生成の長さ」という。生成の長さは感染拡大の期間を表す。ピークがまだ来ていない波を成長中という。成長中の波の長さは便宜的に無限大とする。記号で∞と書く。

波はピークを迎えると下りあるいは水平になる。下りの時、波は「減衰している」という。波の減衰は、上りあるいは水平のグラフが、険しい下りになったときに始まり、グラフがその波の始まる前の高さになったときに終わる。この時、その波が「収まった」という。

波の減衰の始まりから収まるまでの週の数を「波の減衰の長さ」という。減衰中の波の長さは∞である。減衰の長さは感染拡大の勢いが落ち着くまでの長さを表す。波の生成の長さと減衰の長さの和を波の長さという。波のピーク時の水平期間の長さは生成の長さにも減衰の長さにも含めないが、波の長さには含める。

波の減衰が始まる前や、波が収まる前に、次の波が発生することもある。

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日本では3月25日に第一の波が始まり、4月15日にピークを迎え、減衰に転じ、5月20日に波が終わった。波の長さは、生成が3週間、減衰が5週間で、計8週間である。第2の波は7月1日に始まり、8月5日にピークを迎えた。波の高さは第一の波より高い。生成の長さが5週間で、今のところ現在減衰中であるので、減衰の長さは∞である。

波のピークが高ければ高いほど、感染力が強いことを意味する。波の傾斜が険しければ険しいほど感染の勢いが強いことを意味する。傾斜が緩いからと言ってもそれが長く続けば、どんどん高くなるので、結局感染力は強くなる。

世界の感染速度グラフートップ12カ国

そこで、感染速度グラフを用いて各国の感染状況を考察する。次の図はは9月16日時点での累計感染数トップ12か国の感染速度グラフである。

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まず世界第一の感染国アメリカであるが、第1の波が3月に起こり、あまり減衰しないうちに水平になった。第一の波の生成の長さは3週間である。その後11週間の長さの減衰と水平が続くが、第二の波が6月に起こった。第二の波の生成の長さは5週間である。第2の波は現在減衰中である。生成中の波の傾きは両方とも同じくらいである。第2の波は第1の波よりはりかに高く長い。

第2位のインドは4月末に波が発生した。上りの傾きはアメリカの二つの波よりも緩やかであるが、波がまだまだ成長中で、傾きも初期の頃よりキツくなっているので、いつ減衰に転じるかはわからない。インドは9月5日にブラジルを抜き世界第2位の感染国になったばかりだが、このままでは、10月中にアメリカを抜かし世界最大の感染国になると予想される。

3位のブラジルは、4月1日に波が発生した。上りの傾きはアメリカの二つの波よりも緩やかであるが、インドの波よりは険しい。また、波の生成の長さは18週間になる。それゆえ、しばらくの間は第2の感染国であった。波の途中に小さな減衰があるが、期間が短いので、集計の都合でこのような形になったと考える。したがって、波のピークは7月29日である。7月29日以降は減衰中である。ここでも、小さな波が発生しているが、期間が短いので、同様に集計の都合でこのような形になったと考える。

以降、波の生成途中の短い減少や、減衰中のちょっとした増加は、集計の都合で出来たものと考え、独立した波とはになさないことにする。

4位のロシアはアメリカ並みの険しい波が4月1日に発生し、5月13日にピークを迎えた。生成の長さは6週間である。そのご緩やかに減衰を続けてきたが、7月からグラフがほぼ水平になったようである。

5位のペルーは4月1日に起きた波が、6月3日から減衰し始めた。しかし、アメリカのように、その波が十分に減衰する前に、第二の波が来た。その第二の波も8月末にピークを迎え、減衰中である。第一の波の長さは15週間である。

6位のコロンビアと7位のメキシコは、ブラジルのように、大きな生成の長さを持つ波がきた。コロンビアの方が、一ヶ月ほど、波の発生が遅い。生成の長さは両方とも15週間である。

8位の南アフリカは、4月19日に起きた波が、7月15日以降減衰している。生成の長さは15週間である。減衰しているが、波の始まる前に戻っているとは言い難い。また、傾きがだんだん緩やかになっているので、8月19日以降、グラフは水平かあるいは上昇に転じる可能性がある。

9位のスペインでは、3月に起こった第一の波は6月10日に一旦収まったが、7月には第二の波が来た。9月19日に大きな減少が見られるが、期間が短く、その後のグラフの形から、統計上の都合でこのような形になったと考えられる。第一の波の生成の長さは2週間で、減衰の長さは11週間である。また、第2の波はすでに第一の波の高さを超え、なお成長中である。

10位のアルゼンチンはインド型に近いが、9月になって、傾きが少し緩やかになったので、近いうちに現象に転じるかもしれない。

11位のチリは、4月29日に起こった波が6月24日に減衰が始まったが、傾きがだんだ緩やかになり、8月5日以降、統計上の都合を除いて、グラフがほぼ水平になった。

12位のイランは第一の波が十分に収まらないうちに5月に第二の波が訪れている。第二の波は第一の波とほぼ同じ高さで、多少減衰するものの、すぐに増加に転じて、同じ高さに戻るので、水平状態がしばらく続いたと考えて良い。その波も8月5日以降減衰を始めたが、十分に収まらないうちに、9月に上昇に転じている。これは3個目の波と言える。

感染速度グラフの分類

まとめると、感染速度グラフグラフは波の数、発生の仕方、及び、最後の波の形で次の3種類に分けられる。

1。一つ波型。発生した波が減衰に転じた型である。波が収まった場合と、減衰中の場合とがある。前者の例は日本やスペインの第一波である。後者の例は
ブラジル、ロシア、コロンビア、メキシコ、南アフリカと日本の第二波である。また波が二つ以上ある場合に、全ての波が一つ波型ならば、一つ波型と呼ぶ。

2。津波型。発生した波が減衰したが治る前にグラフが水平になった場合と、減衰せず今なお成長しているものとがある。チリが前者の例で、インドとアルゼンチンが後者の例である。また波が二つ以上来ている場合に、最後の波が津波型ならば、津波型と呼ぶ。イランとスペインがこの形である。

3。重ね波型。第一の波が治る前に第2の波が来たが、それが津波型でないものである。アメリカとペルーがこの形である。また、波が三つ以上来ている場合に、最後の二つが重ね波を形成している時も重ね波型と呼ぶ。

ただし、波の形成中に起こる期間のごく短かい減衰は、ブラジルのときに考察したように、統計処理上のものと考え、その波に含める。同様に波が減衰している時の起こる期間が短く、高さの低い増加も同様に新しい波とはみなさない。

感染状況を解析する上で、最も危険なのは津波型である。なぜなら、グラフが上昇中、あるいは、水平であるということは、感染の勢いに全然ブレーキがかかっていない状態だからである。また、減衰中の波でも、そのピークが高い時は、累計感染数が大きくなる。さらに、波の高さがその波(重ね並の場合は一番最初の波)が始まる前の高さに戻っていないときも、感染の勢いにブレーキがあまり効いていない状態である。

波の生成と減衰に関しては、その国の政策によるところが大きい。例えば、ブラジルでは、大統領が新型コロナウイルスによる症状を単なる風邪と考え、特に何の対策もしなかった。したがって、ブラジルのグラフが新型コロナウイルスの「自然な」感染拡大にグラフに近いと考えられる。

世界の感染速度グラフーその他36カ国

次の図たちは、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、中東、中南米、東欧、アフリカのトップ12以外の主要国の感染速度のグラフである。

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これらの国々を分類すると、以下の表のようになる。

感染パターン


この分類を見ると、大陸ごとにグラフに特徴があることがわかる。

東アジア、東南アジア、オセアニアでは一つ波型である国が多い。複数の波がある国でも、一つの波がほぼ収まってから次の波が来る。また、2番目の波の方が、1番目の波よりも高く長く続いている。台湾とタイは波が一つしかきておらず、すでに収束している。その後、五ヶ月間グラフは低い位置で推移している。台湾とタイは感染が収束したと言って良いのではないか。ベトナムも最後の波は収束している。フィリピンとシンガポールは例外的に重ね波型である。両国とも第2の波が成長中なので、津波型に分類される。また、インドネシアの波は成長中である。

インド以西のアジアとアフリカは、波が一つしかきていないところが多い。東アジア、東南アジアと比べて、波の幅が長いのが特徴である。また、成長中あるいは津波型が多い。減少中のところもいくつかある。カザフスタンは、収束したようだ。

西ヨーロッパは、一つの波を持つ一つ波型である国が多かったが、7月半ばから、ほとんどの国で、新しい波がすでに発生したか、あるいは、発生しかけている。スペイン、フランス、オランダでは、第2の波はすでに、最初の波の高さを超えている。ベルギーとオランダの二つ目の波には、ちょっとした減少があるが、この減少期間は、さほど短くないので、三つ目の波が来ていると考えることもできる。また、第一の波の幅は東アジアの第一波と同じくらいか、それよりもちょっと長い程度である。スウェーデンは、例外的に重ね波型である。スウェーデンは減衰のある津波型である。

東ヨーロッパは、ロシアとベラルーシが減衰のある津波型、ポーランドは減衰中の重ね波型、ウクライナが成長中の一つ波型である。

エクアドルは週刊新規感染数にしても、グラフの上下が激しい。多少の上下がある国は珍しくはないがここまで頻繁で、高低差のあるところは珍しい。これは、医療的、統計的にうまくいっていないと考えて良い。大まかには、3月16日から4月19日までの第一波がある、十分に減衰する前に次の波が来ており、成長中なので、少なくとも二つの波を持つ津波型になる。

このエクアドルとペルー、アメリカ以外の南北アメリカ諸国はまだ波が一つしか来ていない。そして、波の期間が長い。ブラジルやメキシコなど、減衰に転じたところもあるが、それでも1日平均5000人以上の新規感染者が出てるので、まだまだ収束にはほど遠い

感染速度グラフから分かること

感染速度グラフのから、次のようなルールがあることがわかる。

1。重ね波型を含めて、複数の波を迎えている国では、2回目の波はは1回目より長く大きく、3回目の波はは2回目より長く大きくなる傾向がある。

2。波が生成する長さよりも、波が減衰する長さの方が長い。つまり、感染は瞬く間に広がるが、押さえ込むのは大変であるということである。

3。大陸ごとに同じような感染速度グラフを持つことが多い。

4。ヨーロッパ、東アジアでは波の生成の長さが比較的短い。対照的に、西アジア、アフリカ、南北アメリカでは、波の生成の長さが比較的長い。

ヨーロッパ、東アジア、北アメリカでは、感染数あるいは感染率が増加すると、外出禁止令などが、時には罰則を伴って、即座に発令される。それゆえ、感染拡大が短い期間に終わるのと考えられる。ブラジルではこのような規制は出なかったので、三ヶ月以上も波が成長し続けた、と考えられる。また、アメリカでは、規制をしたものの、6月にBLM暴動が起こり、規制が完全に無視されので、重ね波型になったと考えられる。

しかし、規制が出ているにもかかわらず、波の生成の長さが比較的長い国もある。これらの国では、規制がうまくいっていないと考えられる。逆に、日本の第二波やスウェーデンの第一波のように、何の規制もなくても、波が減衰することもある。

大陸ごとの同じ感染速度グラフを持つと言うのは、おそらく人々が交流をしていることの現れであろう。例えば、ブラジル、コロンビアは傾斜の具合が異なるように見えるものの、波が一つあって、減衰中であると言うことは同じである。また、アルゼンチンでは、一つの波が現在成長中であるが、両国と同じように、1、2週間のうちに減衰が始まると予測できる。しかし、波が収まるかどうかは、今のところ不明である。

波が収まったからと言って、第二波、第三波、がこないとも限らない。

ヨーロッパでは、今まさに第2の波が始まったばかりである。上のルールからすると、この波が収まるまでには、二ヶ月以上かかると思われる。

台湾は今ほぼ鎖国状態であると言って良い。しかし、そのおかげで、他国で発生したような、第二の波は台湾では起こっていない。

国同士の比較

今まで48か国のグラフを見てきたが、他国と比較する場合、グラフの形だけで、その高さは全く考えに入れていなかった。型抜きの具合も一部の国で行ったのみである。とう言うのも、国が違えば、速度に差が出るからである。実際、先にあげた各国の感染速度グラフは、スケールをその国の最高速度に合わせて作成しているので、波の高さはまちまちである。

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先のグラフたちの中から日本とドイツの週間新規感染数のグラフを取り上げる。両者を比較すると、ドイツは第一の波は日本の第一の波よりは高いが、第二の波と同じくらいの高さで、さらに、第2の波はドイツでは発生していないように見える。しかし、ドイツのスケールは日本の4倍である。ドイツの8月19日にあるちょっとした丘の高さは実は10,000弱で、日本の第2の波の高さとほぼ同じである。

以前日本とヨーロッパの主要国との感染数のグラフの形を比較して、日本の方が第2の波が大きいから、日本の方が危ないと主張していた者がいた。彼は、上の図と同じように、日本の最高感染者数を、ヨーロッパの主要国の最高感染者数と同じ高さになるように調整してグラフを作成し、さらに、数値を隠して、あたかも、日本の感染状況がヨーロッパよりも悪いと結論づけようとした。しかし今考察したように、このような形の比較に意味はない。むしろ、恋に日本を貶めようとする悪意を感じる。

両者の比較を正しく行うには、スケールを合わせる。下の図は、ドイツの週間新規感染数のグラフを日本のスケールに合わせたものである。

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3月18日から5月6日まで、ドイツのグラフが消えている。ドイツの波の高さは35000以上で、日本の第一波の高さのほぼ10倍である。数値が大きすぎて、グラフに収まりきれなかったのである。また、減衰しても2000人強の感染者を毎週コンスタントに出しており、収まったとは言い難い。さらに、ドイツスケールでは緩やか傾斜の波が日本スケールでは、険しい傾斜になっている。したがって、この時点ですでに第二に波が始まっていたことを示す。

波の発生、減衰の定義は、実はグラフから得られる感覚的なものなので、スケールを同じものにすると、波の発生時期が変わる、つまり波の長さが、場合がある。

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上の図は、累計感染数トップ12の国々をアメリカのスケールに合わせて描き直したもである。これを見ると、アメリカに比べれば、インドとブラジル以外は、波がないと言える、つまり、感染が起こっていないということになってしまう。もちろんこの言い方は全く正しくない。アメリカと比べてグラフの高さが低いからと言って、そこの国では、決して低いとは限らない。したがって、スケールを同じにしてする場合は、感染速度が低い方に合わせるべきである。

次の図たちは、この Note で、考察した47の国々を日本のスケールに合わせて描き直したもである。これならば、日本とに比較が可能である。

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いくつかの国は、グラフがほとんど見えなくなっている。これは感染数が日本より多過ぎるか少な過ぎるかで、グラフの中に収まりきらないからである。ここからわかることは、あまりない。

1。日本は、インドネシア以東のアジアの中では、感染数が多い方である。

2。日本は、世界的には、感染数が非常に少ない方である。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインのようなヨーロッパの大国と比較しても感染数は少ない。ただし、アイルランド、オランダ、ベルギー、スイス、ポルトガル、などの国々と同レベルである。



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