電子書籍幻想論

電子書籍を推進する論調や出版社の既得権益を批判する主張に僕が反論するのは、テクノロジーに拒否反応を持つわけではないし守りたい利益があるからでもない。

ウェブが好きで、その価値を信じているからだ。

電子書籍で出来ることは全てウェブで出来る。検索、課金、オフライン、セルフパブリッシング、マルチメディア、ソーシャルリーディング。これらにおいてコンピューターとウェブは実績を積み重ねながら歩んできたのだ。

それにもかかわらず電子書籍を推し進めようとするのは、B2BとB2CにおけるIT音痴の情報弱者から金を巻き上げようとする企みに他ならない。つまり出版不況において活路を求める出版社と広大なウェブからコンテンツを見つけられない読者に、ソリューションとデバイスを売りつけるのだ。それはそれで正しいビジネスかもしれないが、新しくも楽しくもない。

「電子書籍」はバズワードとして幻想のまま消え去り、ウェブがこのまま順調に発展する未来を僕は選びたい。

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