「僕らはそれに抵抗できない」ブックレビュー

1日のケータイ使用時間を今まで測ったことはあるだろうか?今のiPhoneは1週間の平均使用時間を知らせてくれる機能があるため知っている人も多いと思うが、意識してケータイを使わないようにしてもその時間の損失に毎回驚く。恐らく皆4〜6時間程度ぐらいではないだろうか?学生はもっと長いかもしれしれない。

本著ではケータイやゲームなどになぜ人はハマるのかを心理学的に解き明かしたものである。ゲームに関しては、人にいかに飽きさせないかと言うことをとことん突き詰めているもの。そのトラップの一つが「コミュニケーション」機能である。ゲームをしながら、ネット上でコミュニティーを作ることで、プレイヤーゲームから抜けにくくしている。

それだけではなく、Netflixなどのメディアも人をいかに「休憩させないか」と言うトラップを仕掛けている。筆者自身もNetflixのユーザーだが一つ見終わると次の回がすぐに始まる。いつの間にか時間を忘れて没頭すると言う罠にハマる。こう言うコンテンツはユーザーが一息ついて正気に戻してしまったら、自分がいかに無駄に時間を使っているか気づいてしまいう。そうならないように世の天才たちは何度も議論を重ねてコンテンツを作り上げていくのである。そこから逃れる道はない。

「自分の子供はゲームにハマっているが、いずれ飽きるから放っておいている。」と言う保護者の話しをチラホラ聞く。もちろん、筆者はなんとかその考えを変えようとするが、子供の「止めると暴れる」と言う行為への格闘を毎日のように続け、保護者は疲れ切っているので、祈る気持ちも含んで飽きる瞬間を待つのである。しかし、残念ながら今のゲームは飽きることの方が難しい。

ゲームやネット、ケータイはもはや薬物と一緒なのだ。つまり、度を越して没頭し、人の注意を聞けず、生活に支障があるようであれば、病院に連れていくべきである。私も今までゲームの虜になっている子供達を何人も病院に送った。効果はそれなりにある。しかし、大前提として「子供自身が危機感を持っている。」と言うことが重要だ。そこを持たせるためには本当に大きな労力が必要だが。それこそ依存者を普通の世界に戻すためにはこちらの世界の良さを伝え続けるしかない。そうならないためにも、ケータイなどを子供に渡すときには必ずルールを定め、それが守られないときには毅然とした態度をとることが必要であろう。


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。