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今ここにいる。


僕は今ここにいる。ここ。
北海道の南に位置する函館市。人口約25万人。
ペリー来航による開国の地でもあり、西洋と東洋の文化が交差する街でもある。


僕と「函館」の出会いは2012年にまで遡る。
高校3年生の修学旅行だ。
名物のラッキーピエロに雰囲気抜群の夜景、戊辰戦争の名残を感じさせる五稜郭、純白の綺麗な女性たち。綺麗な女性たち。女性たち。
「先生!俺、大学は函館いきますわ!」
修学旅行から帰ってすぐ、担任の先生に自分の進路希望を伝える。
相談ではなく、報告だった。
周りの友人たちは関東、関西圏を希望する中、みんなと一緒は嫌というあまのじゃく特有の性質もあった。
この頃から僕は、”自分の道は自分で決めたい人間”だったんだなと思う。

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僕は静岡県出身。
知り合いの誰もいない土地に住むということは、自分の人生をゼロからスタートさせてくれるということ。
とてもワクワクしていた。
18歳あるある?の根拠無き俺最強世界一だぜマインド(これを社会では「虚勢」と呼ぶ。)を持って函館に飛びこんだ。


しかし、
僕を待っていたのはとてつもない孤独感だった。
心を通い合わせることができる友達がいない、田舎!娯楽スポットがない、大学クソつまんねえな、てか北海道寒いっ寒すぎる。
不満をあげたらキリがなかった。
自己嫌悪、自己保身、責任転嫁、軽蔑。こんなところだろうか。
「函館なんて大嫌い!、1秒でも早くここを出たい。」
いつしかそう思うようになっていった。 
生活も廃れていった。
昼夜は逆転し、授業にも行かなくなり、アルバイトも転々としていた。
何のために大学に来たのだろう?何のために生きているのだろう?
完全に露頭に迷っていた。
凡庸で受動的な日々を浪費していった。


2014年9月30日。大学2年生の夏休み最終日。僕はカフェで読書をしていた。
大して面白くもない本を大して面白そうもない顔で読んでいたと思う。
そこに一人の男の子が入店した。彼は僕の隣の席に座り、コーヒーを頼んで一冊の本を読み始めた。
「あ、なんか俺と似てるなぁ〜。波長同じだわ。」
明確な根拠はなかったが、僕の心はそう僕に訴える。
気がついたら僕は彼に話しかけていた。まさに青天の霹靂だった。
自分の人生がこれから変わっていくのだと確信した。
彼とはそれ以来、大学時代の相棒として多くの時を共に過ごすことになる。

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僕なりに考える。
「僕の人生にとって大切なものは、きっと僕の内側にあるんだ。僕自身から始まるんだ。人とつながり、関わり、自分だけの物語を自分自身で紡いでいくんだ。」
そう思った。

大学を卒業してから3年。
あれだけ嫌いだった函館、人生は自分で主体的に切り拓いていくものだと気づかせてくれた函館、人とのつながりって素敵だなと感じさせてくれた函館。
紆余曲折あったけど、僕にとってそんな「函館」に戻ってきてしまった。
自分の原点は自分が生まれ育った静岡でもなく、新卒で飛び込んだ沖縄でもなく、旅した海外でもなくここかもしれないなと思った。


なぜその選択を自分はしたのだろう。
意思決定の背景には常に「目的」がある。
きっと僕は「人と深いところでつながり、互いに終わりなき成長を希求すること」を自分の人生を歩む目的にしたかったのだと思う。
いわば人生のコンセプトみたいなものだ。
人生を生き抜く上での土台となるもの。根幹となるもの。ステイトメント。My憲法。
何か問題やトラブルが発生したときは、常にそこに立ち返ればいい。
対話(コミュニケーション)し、実践(アクション)しながら改良(アップデート)し、生きた学び・成長を重ねていく。
自分の人生を少しでもよりよいものにしていくために、一歩一歩、前進し続ける。
それが自分の中から自然と湧き出てきた想いだった。


いま僕は、カフェで出会った相棒のつながりで知り合った下沢杏奈ちゃんが代表を務める、人生の学び舎「荘」にて12名のソウルメートと共同生活を送っている。
人生の学び舎「荘」は明治時代に建てられた築100年を超える古民家だ。
住み始めて約1ヶ月。
住人や荘に関わってくださる方々との対話を通じて、自分の感情や知識が再編集され、より明確になっていることを実感する。


とにかく試行回数だなと思う。
とりあえずやってみて、ある程度続けてみて、発見があるのだと思う。
好きだ、楽しいという発見。自分には合わなかったという発見。
失敗なんて存在しない、生き方は千差万別で絶対解なんてものはない。
あるのは唯一、自分が心から望む「納得解」

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これからは函館で、学び舎「荘」で、雪野太朗として、僕は具体的に何をして、どう生きていきたいのか。何をしたくなくて、どうなりたくないのか。
ここで同志と向き合いながら、自分と向き合いながらより深く探究していきたいと思う。
川の流れに身を任せるかのように緩やかに、でも真剣に、目の前で起こる1つ1つの出来事を噛み締めていきたい。
 

人生の学び舎「荘」の皆様、函館在住の皆様、函館在住ではない地球上のどこかにに住んでいる皆様、これからどうぞよろしくお願いいたしします。

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