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【ハイブリッドワーク先進国からの学び】アマゾンでは働き方を各部署で決めることに

こんにちは、ACALLの那須です。
ハイブリッドワークや今後のはたらき方について、海外の大手企業の決断が社会に大きな影響を及ぼします。
最近では、10月11日のアマゾンの発表が話題となっています。その理由は大きく以下の2点にあります。

・原則出社を取りやめた
・各部署に判断を任せた

この発表について、原文を引用しながら考えていきたいと思います。


働き方に関する発表の経緯

アマゾンはこれまでにも、感染拡大が落ち着いたあとの働き方について何度か発表をしています。なぜ今回の発表に至ったのかは、CEOのアンディ・ジャシーから従業員に宛てた文章の中でも述べられています。以下は本文からの引用です。

We’ve shared a couple of updates on this topic, first thinking we’d be back in the office in September 2021, and then by January 2022, with the suggestion that we should all try to be in the office at least three days a week. This guidance prompted questions, like, “Who decides which days, does the team need to be in the same days, are there certain functions or teams that can work more effectively at home vs the office (and vice versa),” and many more.
https://www.aboutamazon.com/news/workplace/amazon-offering-teams-more-flexibility-as-we-return-to-office

(筆者翻訳)
私たちはこの話題について何度か最新情報を共有しました。最初は2021年9月にオフィスに戻るとしていましたが、2022年1月出社再開に関しては最低でも週に3日オフィス出社に努めるという条件付きでした。この発表から「誰が出社日を決めるのか、チームで出社日を合わせる必要があるのか、オフィスよりも自宅での方が効率がよい仕事やチームはあるか(その逆も同様に)」など、さまざまな質問が寄せられました。


9月の出社再開に関する発表は6月、1月の出社再開に関する発表は8月頭になされました。そして今回、10月11日の発表に関しては、その内容の前に以下の3点が強調されています。

We met several times as a leadership team to discuss these questions, and generally agreed on three things.
First, none of us know the definitive answers to these questions, especially long term. Second, at a company of our size, there is no one-size-fits-all approach for how every team works best. And third, we’re going to be in a stage of experimenting, learning, and adjusting for a while as we emerge from this pandemic. All of this led us to change course a bit.
https://www.aboutamazon.com/news/workplace/amazon-offering-teams-more-flexibility-as-we-return-to-office

(筆者翻訳)
私たちはリーダーシップチームとして何度かミーティングを重ね、これらの質問について議論し、概ね3つの点で合意しました。
第一に、これらの質問に対する決定的な答えは、特に長期的な観点では誰にもわからないということ。2つ目は、私たちのような規模の会社では、すべてのチームが最適に機能するための共通解は存在しないということです。そして3つ目は、このパンデミックから立ち直るためには、しばらくの間、実験、学習、調整の段階に入ることです。これらのことから、私たちは方針を少し変更しました。
これら3点を会社全体の共通認識として強調したのちに、具体的な変更内容を説明しています。

今回の発表での変更点

「方針を少し変更」ということでしたが、具体的な変更についてはこちらのパラグラフで説明されています。
For our corporate roles, instead of specifying that people work a baseline of three days a week in the office, we’re going to leave this decision up to individual teams. This decision will be made team by team at the Director level. We expect that there will be teams that continue working mostly remotely, others that will work some combination of remotely and in the office, and still others that will decide customers are best served having the team work mostly in the office. We’re intentionally not prescribing how many days or which days—this is for Directors to determine with their senior leaders and teams. The decisions should be guided by what will be most effective for our customers; and not surprisingly, we will all continue to be evaluated by how we deliver for customers, regardless of where the work is performed.
https://www.aboutamazon.com/news/workplace/amazon-offering-teams-more-flexibility-as-we-return-to-office

(筆者翻訳)
オフィス部門では、「週3日のオフィス勤務を原則とする」と明記する代わりに、この決定を各チームに委ねることにしました。この決定は、ディレクターレベルのチームごとに行われます。主にリモートで仕事を続けるチーム、リモートとオフィスを組み合わせて仕事をするチーム、そして主にオフィスで仕事をすることがお客様にとって最善であると判断するチームが出てくることかと思います。。私たちは意図的に、出社日数や曜日を規定していません。これはディレクターがシニアリーダーやチームと一緒に決めることです。お客様にとって最も効果的なことは何かを考えて決定すべきです。当然のことながら、どこで仕事をするかに関係なく、お客様にどのようなサービスを提供するか今後もが評価の基準であり続けます。

今回の発表後に各チームのリーダーがチームとコミュニケーションを取りながらはこれから計画を立てることとなっており、1月3日(もともとオフィスに戻るはずだった日)までにメンバーに共有する予定となっています。

日本でもこれからはTeam-Based Workingというチームを中心にした働き方が主流になってくるのではという意見もあります。アマゾンのこの決定は、その先進的な事例となりそうです。

この他にも、オフィス部門以外の従業員について、フルフィルメントや輸送はもちろんのこと、データセンターや店舗、デザイン、開発、テストチームなど、柔軟に働く場所を選ぶことができないチームもあることへの理解や感謝も述べられています。


最後に

「Dear Amazonians,」から始まるCEOから従業員に宛てた手紙のような形式や、会社としての共通認識を述べた上で具体的な変更点をお知らせすることで、従業員に寄り添ったとてもわかりやすい発表という印象を受けました。

リモートワークやハイブリッドワークなど働き方が多様化する中で、企業文化や帰属意識が薄まってしまうとの懸念がありますが、今回のアマゾンの発表内容は、発表の方法も含めてそんな問題に対する解決策の一つでもあるように思います。

これまでは会社が働き方を決めることが当たり前でしたが、働く人が柔軟に働き方を選べるような方向へ少しずつ変化しています。アマゾンのような世界的大企業が各部署に働き方の判断を委ねたことで、今後の働き方の進化に大きな影響を与えることが期待されます。

これから他の企業でも類似の決定がなされていくのか、または別の考え方をする企業が出てくるのかなどにも注目です。


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