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幼少期の終わりまでに育って欲しい10の姿/ 1.健康な心と体: フィンランドと日本の比較

2017年に日本の幼児教育・保育の基準となる「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園・保育要領」の3つの法令の改定が行われました。この変更に伴い、子どもたちが小学校就学前の姿を想定した「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」が示されました。日本の保育現場では2018年4月から導入された「新保育指針」のポイントである10の姿がフィンランドではどのように現場で見つけることが出来るかを書いていきたいと思います。今回は1番の健康な心と体について書いていきます。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)
1.健康な心と体
2.自立心
3.協同性
3.道徳性の芽生え
4.規範意識の芽生え
5.いろいろな人へのかかわり
6.思考力の芽生え
7.自然とのかかわり
8.生命尊重、公共心等
9.数量・図形、文字等への関心・感覚
10.言葉による伝えあい

1.健康な心と体

フィンランドでは8歳以下の子供には少なくとも1日に3時間の運動が推進されています。冬にはマイナス30度にまでなるフィンランドではどのように日々の保育で運動を取り入れているのでしょうか?

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フィンランドではどんな天候でも基本は外遊びがあります。上の写真のように長靴をはき、魚屋さんのような雨具のつなぎを履き上着を羽織ります。また手袋もあります。雨具だけでは寒いので毛糸の靴下を履いています。子供に聞くと、"何枚も着るのはめんどくさい"と言いますが濡れるのはもっと嫌と、しっかり着ています。着替えの手伝いの時は、子供が自分で手伝う先生にいつもと違う着かたにしたい場合は、どのようにしたいのかを伝えます。例えば、いっぱい走るのに厚着だと汗をかいて気持ち悪いのでこの服は着たくないとよく言われます。その内容をお迎えの時に保護者に話して家庭で本人と話し合い、自分と季節に合った服を用意してもらいます。子供本人の意見を尊重して保育内で取り入れます。子供本人は保育される役割ではなく、自分の成長の一番の関係者として考えられています。

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この間見学に行ったHEI SCHOOLでも玄関の横にシャワーと巨大乾燥機が置いてありました。子どもたちは外遊びから帰って来るとこのシャワーで泥を洗い流されます。それから服はすぐに乾燥機に放り込まれます。

フィンランドにはマイナス何度になったら外遊びはしないといことは法律では決められていません。現場の先生が状況を見て判断します。2016年のイマトラ地方紙のアンケートによると外がマイナス30度の場合は外遊びするのかの質問に対して3分の4がイエスと答えています。この地方紙では外遊びがないと子供は疲れやすくなり、落ち着きがなくなると書いてあります。私が今まで代理として行った幼稚園でもほとんど全員の先生が同じ理由で外遊びはするべきだと話していました。


外がマイナス30度の場合は外遊びするのか? 

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子どもが寒いというとすぐに中に入れるそうです。しかし、多くの場合は子供は外に出たいというそうです。大人の方が寒いので中の方がいいなと言うという正直なコメントが書かれていました。日本でマイナス30度になることはないですが、外遊びをしない判断は日本では多く下されているのではないでしょうか?この記事では外遊びがない場合は室内オリエンテーションを計画すると書いてあります。外で発散するはずのエネルギーが発散されないままになるので、何か室内で出来る代案で発散させなくてはと考えています。日本の方が室内遊びのアイデアが多いのではないかと想像します。

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日々の生活の中で運動を取り入れるのは外遊びの時間や運動の時間を確保する以外にもあります。この写真は小学校の廊下の写真です。床に数字のシートが貼ってあります。どのように遊ぶかは子供たちの自由です。私が見た時は休み時間から帰ってきた2人の高学年の男の子が教室に戻る前に少し遊んでいました。

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子どもたちは何気ない日常で一番学ぶのだと思います。そして子供たちの成長や想像力は大人が想像するよりもはるかにすごいと感じました。この階段を登りながら女の子たちが楽しそうになにやら数字を使っていました。

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最後に、フィンランドも日本も子供たちは元気いっぱいでエネルギーが溢れており、子供たちはその機会を有効に活用する想像力を持っているんだなと思います。大人は子供の成長に合った環境を準備し子供の自主性・主体性を伸ばしていける環境を作っていくことが大切なのだと思います

ここで私が経験した、運動、環境を整えることと自主性を織り交ぜたある日の保育についてお話します。

私が異年齢のファミリーディケア働いていた時に、左右の区別がわからない5歳がいました。幼稚園は空前のツイスターゲームブームでした。棚にあったのを誰かが発見し、家にも同じもの子がみんなにルールを説明したところからブームは始まりました。運動も出来るし、何よりみんな楽しそうなのでほほえましく他の先生と見守っていました。しかし、毎回左右を聞かれることで他の作業が出来なくなってしまい保育士の負担になってきました。そこで子供の右の親指にスマイリーを書いてみました。すると、誰かに聞かなくても見たらわかるので本人はとても喜び、小さい年齢の子も参加出来るようになりました。左右がわかる子供たちもスマイリーを書きたいと言ったので、みんなで書きました。何日も続けると大きい子供たちからもうスマイリーは要らないと言い出しました。その5歳はもちろん右と左がわかるようになりました。

遊びを通して運動することと学ぶことを重要としています。
日々の遊びに意図を織り交ぜてみたり、意図しなかったものが思いがけず学びと繋がったり、意図していたものにならず大人の思い通りにいかないものだよなと反省してみたり・・・
それが保育の楽しみでもあり難しさでもあるのではないでしょうか?

次回はより具体的なフィンランドの幼稚園で実践されている運動遊びについてご紹介します。
あなたはどんな運動遊びを子供たちとしていますか?
または運動遊びといえばどんなものをイメージしますか?

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ワークショップご案内

2019年11月16日土曜日 名古屋 千種グリルにて

世界一幸せな国、子どもの学力世界一、世界一お母さんに優しい国
今フィンランドについてたくさんの素敵な情報があふれています本当にフィンランド人は幸せなの?学力世界一の国の秘密は??皆さんの持っているフィンランドのイメージや気になっていることをお茶を飲みながらのんびり一緒にお話しましょうフィンランドの幼稚園の一年間の様子もお伝えします


↓↓ こちらより詳しい内容、参加申し込み頂けます ↓↓
https://forms.gle/efft5XAK375eXMaD8


2019年11月30日に東京でのワークショップも決定いたしました!
詳細は現在準備中です
決まりましたらHPでお知らせいたします!
https://www.workshop-omena.com

文字だけでは伝えきれないフィンランドの雰囲気や保育の様子をワークショップではお伝えしていく予定です
またインターネット上には載せられない園内の様子の写真や動画、またフィンランドの保育現場にあるおもちゃなども用意します

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参考
/Photo by VisionPic .net from Pexels


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