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「ロールパーツ」が女性管理職のロールモデル不在問題を解決する?

トークイベント「仕事と育児の『両立』を超えて~こどももキャリアも前向きに~」から

ワークシフト研究所が2024年9月に開催したトークイベント「仕事と育児の『両立』を超えて~こどももキャリアも前向きに~」。ゲストスピーカーにお招きした育休プチMBA®の卒業生、かつ、元運営メンバーでもある堀元由梨さんから「ロールパーツ」という考え方を伺いました。今回のnoteでは、そのロールパーツについて、イベントの内容を再構成して質疑応答形式でご紹介していきます。

堀元さんは現在、JR東日本が提供するPeerCrossというワーキングマザー向けのキャリア支援形成サービスの運営に携わっていらっしゃいます。PeerCrossでは、ユーザーのマッチング、座談会や識者によるセミナーなどを展開しています。お話は、ワークシフト研究所 代表取締役の小早川優子がお聞きしました。

PeerCrossを利用されている皆さまのキャリア感などを教えていただけますか。

PeerCrossは、大企業のワーキングマザーに向けてサービスを展開しています。プロフィール登録状況によると、9割くらいの方が出産や子育てにも前向きで、キャリア形成も頑張りたいという「フルキャリ」を自認されていて、既に管理職にある方は1割くらいです。アンケート調査によると、6割くらいの方が管理職への昇進を望んでいます。

その理由としては、育児中の女性管理職としてロールモデルになりたい、マネジメント経験を積んでおきたい、挑戦したいといったものがあります。一方で、昇進を望んでいない方は両立が困難、ロールモデルがいないといった回答を理由に上げています。

弊社でもロールモデルがいないというご相談をよくいただきます。ロールモデルを作っておくと、この先さらに管理職への昇進意欲が高まりそうなアンケート結果ですね。

そうですね。ただ、ロールモデルとしてひとりの人をあげると、ご自身の状況と比較してしまうんです。なので、PeerCrossでは、ロールモデルではなくて「ロールパーツ」という考え方をご案内しています。両立しながら活躍していらっしゃる色々な方を見て、その方たちのいいところを真似していきましょう、と。

キャリア理論でも、ひとりの人に自分の理想を全て求めるのではなくて、この人のここ、あの人のここ、というように、いろんな方のいいところを真似していくといい、と言われています。

PeerCrossではこれまでに累計で3500組、7000名(2024年9月当時)の皆さまのマッチングが成立しています。ご利用者の中には時短で管理職をされている方など、様々な方がいらっしゃいます。そういう方と出会ったことで、自分にもできるかもしれない、とヒントを得て前向きになったというお話も聞いています。

数年前の政府統計だったかと思いますが、新入社員で入社した時には管理職への意欲を持っている人が5~6割いるんですが、その後のバイアスや壁、ロールモデル不在問題などで、5年経つとその割合が3割ぐらいに減ってしまいます。

子どもを持ちながら働くというのは非常に個別性が高いことです。社内では個別性が高くてロールモデルが作れない場合も、社外に目を向けてもらったら、必ず誰かが自分と同じような悩みを持っていてそれを解決した人がいる。そういう外部の方と出会えるPeerCrossのようなサービスは素晴らしいと思いました。

PeerCrossのようなサービスを使っている企業は恐らく他にも様々な取り組みをされていらっしゃると思いますが、PeerCrossに参加することで、また管理職への意欲を取り戻せるのかと思いました。



トークイベントでは、この他にも次のような点でトークが弾みました。

  • 福利厚生のトレンド(平等から公正を重視する施策への変化)

  • これからの時代に必要とされるリーダー像

  • Z世代を見据え 両立を超えた「活躍」に企業として必要なこと


ワークシフト研究所は「リーダー層の多様化」を実現するための研修コンサルティングを提供しており、主にダイバーシティマネジメント、リーダーシップ開発などを行っています。これまでに延べ2万人以上の女性リーダー育成に携わりました。

育休者向けのセミナー&コミュニティ「育休プチMBA®」は、2014年に現在静岡県立大学の准教授を務めている経営学を専門とする国保祥子あきこが立ち上げたプログラムです。2022年からは法人向けの福利厚生プランとしても展開しており、現在70を超える企業に導入いただいています。



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