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あふれでる涙、「おばあちゃん、ティッシュちょうだい」のはなし。

久しぶりにおばあちゃんの家に遊びに行った。
美味しい焼き肉をしながら、色々と話した。

「やっぱり、ティッシュの話は忘れられないなぁ」

ふと、おばあちゃんが話し始めた。

「ティッシュの話ってなに?」

僕がそう訊くと、
おばあちゃんは「ティッシュの話」を話し始めた。

「それは、あなたが3歳か、4歳の時だった。あなたのお母さんのお父さん、つまりあなたのおじいちゃんが癌で亡くなったの。60歳だったから、早かったね。とても早かったと思う。」

「亡くなった日のことだったわ。あなたが私のところに来て、「おばあちゃん、ティッシュちょうだいって言いにきたの。」

「わたしは、「どうしたの?どれくらいティッシュが欲しいの?」って聞いたわ。」

「そしたらあなたは、しっかりとした目で私に言ったのよ。」

「できるだけたくさん、お母さんの涙が止まるまで。できるだけ、たくさん、いっぱいちょうだい。」

「わたしは持っていたティッシュを全部あげました。あなたは、すぐにお母さんのそばに行って、そのティッシュを持って、目から溢れる涙を、必死におさえようとしていました。」

「あなたのお母さんは、まだ若かったから、大好きなお父さんが亡くなって、とてもショックだった。」

「だから、あなたのお母さんは、何度なみだをぬぐっても、なみだが溢れ出して、止まらなかったのね」

「そんなお母さんをみて、あなたは少しでも助けになりたかったのだと思う。ぬぐえないほどのなみだを、すこしでも拭ってあげたかったのだと思う。

「その時に、私はあなたのことを、とても優しい子だと思った。そして、今もそのことは忘れられない」

何気ない週末に聞いた話は、じぶんのなかで、忘れてはいけないことを、子供の時のじぶんが教えてくれた気がする。

これからも、ひとにやさしくありたい。
これからも、ひとにやさしい人でいられるよう、できることを積み重ねていきたい。

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