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むかし書いた韓国コラム #116

 旅客船沈没事故で多くの生徒が犠牲となった檀園高校。この事故のため檀園高校の地元の安山市も重苦しい雰囲気に包まれているという。安山市の中心部にある中央駅に降り立つとその雰囲気は肌で感じられた。市内を走るバスはフロントガラスの下部に「犠牲者の冥福を祈ります」と書かれた垂れ幕を掲示している。道路のガードレールにも「○○洞住民一同」の名義で「冥福を祈ります」「無事帰還を願います」という横断幕が掲げられ、コンビニにも入口上部に横断幕があった。どこを見ても横断幕や垂れ幕が目に入るのではどうしても雰囲気も暗くなるだろう。

 未曾有の大惨事となった東日本大震災では「がんばろう東北」という前向きのスローガンが多く見られた。悲しみを乗り越えて未来に進もうというメッセージだ。旅客船事故から1カ月以上が過ぎた。まだ不明者もいる状況ではあるが、そろそろ「がんばろう安山」のメッセージが出てくることを期待したい。悲しみを乗り越えよりよい未来を作っていくことこそが残された者の使命だ。

【解説】
 このころの安山市内は本当に陰鬱なムードだった。バスや建物に垂れ幕が掲げられていただけでなく、市内各所に追悼メッセージが書かれた付箋を貼り付けた掲示板があったり、黄色いリボンがいっぱいに結びつけられたフェンスなども目にした。悲惨な事故が繰り返されないことを願うばかりだ。

(初出:The Daily Korea News 2014年5月26日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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