七藤 隼
【詩】バレンタイン・チョコレート
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【詩】バレンタイン・チョコレート

七藤 隼

閉じ込めるという暴力的なことが、こんなにもやわらかい日があるなんて。見えないものを形にすることが、こんなにも疑わしいものだなんて。
どれだけうまく変換しても、私の心にあるものは伝わらないだろう。それは溢れるでもなく、足りないでもなく、歪んでいるわけでもなく、真っ直ぐでいるわけでもない--失敗したわけではなく、かといって成功してもいない、そんな曖昧さを「甘い」と表現するための日。世界一伝わらないという事実を、あなたを相手にして行いたいのだ。
愛は樹木や手袋やショーウインドウのあいだを風のようにすり抜け、どこかにある行き止まりを望んでいる。それはもうどこにも行けない、崩れたレンガの小さな穴さえない、まったくの袋小路。それでいて、淡くつつみこむ光の一種の安らぎがある。そこにたどり着くと、愛は絶命することもできず、ただ他人の孤独を切除した固定装置になるだけだ。

あなたがいま食べたものは世界を壊す爆弾のスイッチだよ、覚悟はある? もう遅いのだけど、、、
そう微笑んでみせて、別の光に手をのばしたい。本当は覚悟などいらない。私が描いてきた領域と、あなたの描いてきた領域を世界一やわらかく重ね合わせたい。ひとつの欠けも、損傷もないように。どんなに残酷な侵食も受けないように。でもそれは無理だろう。季節がいつまでも巡っているのだから。この冬のあとが、夏になるか春になるかはわからないけれど、まったく未知の季節が現れるかもしれないけれど、巡りに巡るなかに、私たちはいるのだから。
そう。あなたとの綻びが、最適な温度をつくれるよう、私は精一杯、心を込めたのだ。



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七藤 隼
小説と詩を書いています。純文学。それぞれマガジンから。