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仕組み作りが大事だよね

某情報番組を見ていたところ、例の給付金誤送金問題をやってました。
コメンテータとして元メガバンク勤務の方がよばれており、いろいろ話していたのですが、最後に「チェックも大事だが、そうならない仕組みづくりも大切」という話をされてました。
元システム屋としては非常に身につまされる話です。

確認していないところに必ず問題が起きる

IT業界で有名なマーフィーの法則というのああります。もう死語でしょうか?大まかには失敗する可能性があるものは必ず失敗するというものです。
今回の誤送金問題もそれぞれの立場で色々問題が起きていたようです。もちろん、真相が公開されていないのでまだ憶測、妄想混じりの話も多いです。

誤送金の部分だけに絞って、番組で取り上げていた経緯をまとめるとこんな感じだったかと思います。

  • 町役場の出納担当者はこの春入ったばかりの新人

  • 同僚はなく、上司と担当者の2名のみ

  • それまではベテラン職員とその上司の二人体制だった

  • そのベテラン職員が新人に代わったが、一緒に業務をしてみるといった引き継ぎはなかったらしい(よくわからない)

  • 送金については金融機関にフロッピーディスクでデータを持ち込み(通常手順)

  • それとは別に紙での振込依頼書を担当者が金融機関に持っていった(普段はしていない手順)

  • その依頼書は送金先の名簿もついているが、先頭の1名に全額送金するものだった

  • 金融機関側で二重送金じゃないかと町役場に確認が入って発覚

普通の民間会社では不正防止と今回のようなミス防止のためにダブルチェックをすることが多いですし、そもそも担当者は普段はしない紙の依頼書を持っていったことに誰も気づかなかったのかとか、それを受けた金融機関側もいつもと違うことを何も思わなかったのかとか、色々確認が緩いなというのは感じました。
「普段と違う」が重大な事故を防げるか防げないかの瀬戸際になり得ることは有名です。そして、事故の背後にコミュニケーション不足や楽観的な思い込みがあることも。

テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故 - Wikipedia

今回の件も、様々な確認漏れやコミュニケーション不足が重なった結果発生したように見えます。

なお、破格した後の対応についても町役場、警察、誤送金を受けた人のそれぞれで曖昧だったり不可解な部分が多いですが、そこは今回の趣旨から外れるので特に取り上げません。のんびりしたところなのか、都会では信じられないようなのんびりムードが感じられ、番組のコメンテータも首を傾げてました。

確認は当たり前だが、それすら不要な仕組みが大切

ここで元メガバンクの方が語ったのが、もちろん確認は大事だが、そうならないような仕組み作りが大切という話です。

今回の件でも、町役場から金融機関への依頼にフロッピーディスクが使われていたとか。フロッピーディスクなんて言葉、久しぶりに聞きました。まあ、フロッピーかUSBメモリかといった問題ではないですが、オンライン化されていたならば防げたのではないかという指摘です。
今回の件について言えば、データとは別に紙の依頼書を持っていったのが二重送金の直接原因らしいので、オンライン化とかはあまり関係ない気はします。しかし、わざわざフロッピィーを窓口に持って行くという手順がゆえに、その際に依頼書も一緒に渡してしまったのが原因なのであれば、確かに防げたのかもしれません(両者を一緒に持っていって提出したのなら、窓口で指摘するような気もするので、別に持っていったのかもしれませんけど)。

そこからその元メガバンクの人の過去に自治体相手になかなかオンライン化してもらえなかった経験からの愚痴が入ったりしましたが。

もちろん、予算がないからオンライン化できないとか、そういう事情はあると思います。ただ、そうやって先延ばしにした結果、残業が発生していればそのコストでシステム化できたよねとか、今回の誤送金のような問題が発生してしまえば、結局、あの時やっていれば…という後悔先に立たずとなってしまいます。

仕組み作りが大切

それは結果論だろというのも理解はできます。でも、「起きないだろう」ミスが何重にも重なって重大事故が発生した事例は上に挙げただけでなく、いくつもあります。一つ一つは些細なミスでも、それが積み重なると重大事故につながります。

そんなわけで、システム屋さんだった頃は、そういう確認をせずともそういうミスが起きないような仕組み作りが地道に効いてきたりしました。

バグはあるもの、ミスは出るもの、という前提で確認を必ずするのは最低限として、仕組み上バグやミスが出ない仕組み、あるいは、出ればすぐわかる仕組みは大切だな、と改めて感じた事案でした。

それができない場合は、結局確認は大事、思い込みをしない、という基本に立ち戻るしかありませんが、これがなかなか難しかったりします。
それに加えて「普段と違う」ことを敏感に察知できるか。これが本当に重要だったりします。
どっちにしろ難しいなら、楽できることに苦労したいものです。

拙い記事でございますが、サポートしてもよいよという方はよろしくお願いします。著者のやる気アップにつながります。