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【MRR別の融資のポイント#01】MRR 0〜100万円かつ創業1期未満のケース

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

全4回にわたって「MRR(*1)別融資のポイント」というテーマで、スタートアップが融資を利用する際のポイントを解説しています。以下は各記事へのリンクです。

  1. MRR0〜100万円かつ創業1期未満(本記事)

  2. MRR100万〜500万円かつ創業2期未満

  3. MRR500万〜1,000万円

  4. MRR1,000万円以上

MRRとはMonthly Recurring Revenueの略。日本語では「月次経常収益」と訳され毎月決まって発生する売上を意味する言葉です。

私のnoteではこれまで、スタートアップの融資活用方法を主に成長フェーズ別に整理して解説してきました。しかし、同じフェーズであっても提供しているサービスの対象(個人・法人)や状況によって使える融資の種類や借りられる金額は変わってきます。

そこで今回からは、MRRという観点からスタートアップの融資のポイントを整理してお伝えしたいと思います。第1回目となるこのnoteでは、MRRが0〜100万円かつ創業1期未満のスタートアップが融資を利用する際のポイントを解説します。

このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt&Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

MRRが0〜100万円の場合の融資のポイント

前述した通り、MRRとは簡単に言えば「毎月決まって発生する売上」のこと。SaaSやサブスクリプションなどのリカーリングモデル(継続収益)による毎月の売上を指すのが一般的ですが、売上が安定している状況での「直近3カ月の平均月商」と捉えても問題ありません。

MRRが0〜100万円かつ創業1期未満のスタートアップは、以下のポイントを踏まえた上で融資を申し込みましょう。

アプローチすべき金融機関
日本政策金融公庫(以下、公庫)、信用保証協会

金額の目安
300万〜800万円(代表者個人の連帯保証付きであれば300万〜2,000万円)

重要視される点
代表者の経験、自己資金、事業計画

次の章から、それぞれ詳しく解説します。

日本政策金融公庫→信用保証協会の順にアプローチしよう

MRRが0〜100万円かつ創業1期未満で融資を利用したい場合、最初にアプローチすべき金融機関は公庫、次は信用保証協会(の保証付き融資)です。

創業1期未満の場合、代表者の経験(起業する事業に関連が深いもの)が5年以上あり、自己資金が300万円(最低でも100万円)以上あれば、公庫の新創業融資を早めに利用しましょう。

例えばスタートアップの世界では、開発に時間がかかって長期間売上が立たないことも珍しくありません。しかしこの状態で創業から1年経過してしまうと、売上が立っていない状態の決算書が融資の評価材料になるため、融資の審査で不利になります。

一方、創業1期未満の場合は決算書が無いため、審査の評価材料になるのは主に代表者の経験と自己資金です。また、政府は起業の支援を強化しており、公庫をはじめとする公的な金融機関は政府の意向を反映して、売上が立っていないスタートアップに対しても積極的に融資をしています。

このことから、代表者に経験があって、自己資金を準備できているのであれば、創業間もないタイミングで融資を利用するのがベストです。
創業融資を申し込むタイミングについては「公庫の新創業融資、すぐやるべき人と、後でやるべき人」で詳しく解説しています。

公庫の創業融資の次に利用を検討すべき融資は、保証協会付融資。民間の金融機関から借り入れる際に、信用保証協会が保証を付けることで融資をサポートしてくれる制度です。

保証協会付融資を含めた、融資の利用順に関しては「創業融資制度の使う順番」で詳しく解説しています。

最後に、経験も自己資金もない状態で起業したケース。
この場合、融資を利用するのは難しいためエクイティ(株式発行による資金調達)を利用するか、売上を立てて実績を作ることに専念しましょう。

金額の目安は300万〜800万円

MRRが0〜100万円の場合、創業融資で借りられる金額の目安は300万〜800万円です。

公庫の創業融資制度の限度額は3,000万円ですが、支店で決裁できる限度額は1,000万円なので、この範囲内で着地するのが一般的です。

創業融資で借りられる金額の目安は、自己資金または月商の2〜3倍といわれています。例えば代表者が事業に関する経験を持っていて、自己資金を200万円準備していれば400万〜600万円。少し背伸びして800万円くらい借りられることもあります。

保証協会付融資で借りられる金額の目安は1,000万〜2,000万円。ただしこの場合、代表者個人が連帯保証を追わなければなりません(2023年4月以降に変わる可能性アリ)。

連帯保証が付くことを許容できるのであれば、公庫と合わせて300万〜2,000万円、最大で3,000万円まで借りられる可能性があります。

経験と自己資金、事業計画が重要視される

MRRが0〜100万円かつ創業1期未満のスタートアップが融資を利用する際は、すでに述べた代表者の経験と自己資金の他、事業計画も重要視されます。これらに関しては「創業融資の三つのポイント」で詳しく解説しています。

中でも特に重要なのは代表者の経験と自己資金。この2つがあって創業1期未満であれば融資を申し込む上で非常に有利になりますので、早めに申し込むことをおすすめします。

まとめ

MRRが0〜100万円かつ創業1期未満のスタートアップが融資を利用する際のポイントを解説しました。以下に内容をまとめます。


  • アプローチすべき金融機関は日本政策金融公庫と信用保証協会

  • 借りられる金額の目安は300万〜800万円

  • 代表者の連帯保証を付けられる場合に借りられる金額の目安は300万〜2,000万円

  • 融資で重要視される点は代表者の経験と自己資金、事業計画

次回はMRRが100万〜500万円のスタートアップが融資を利用する際のポイントについて解説します。

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