事業計画書の書き方がカギ!創業2期以降のおすすめ融資制度を徹底解説!【融資相談室】
スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
また、「スタートアップ投資TV」というYouTubeチャンネルで、#融資相談室 というスタートアップ融資に関する情報を発信しています。
本記事は「事業計画書の書き方がカギ!創業2期以降のおすすめ融資制度を徹底解説!【融資相談室】」という動画の内容を書き起こしたものです。
Gazelle Capital 株式会社の近藤絵水さんを司会に、企業の月商ごとにどのような融資が適切なのかについて語りました。
創業1期未満の融資について
近藤さん:具体的に月商をどういった形で分けて考えたらいいのでしょうか。
若林:まず月商500万未満のところで1回切れるかなと思います。さらに500万未満の中でも、創業1期未満で月商0〜100万円くらいの間で言いますと、いわゆる創業融資のポイントになってきます。
大事なことが3つあります。
代表者の方の経験
自己資金
事業業計画
この3つが非常に重要なフェーズというのが創業1期未満ですね。このフェーズだと日本政策金融公庫と信用保証協会の保証付融資を使って借るのが基本になります。
日本政策金融公庫から融資を受けられる金額は300万から800万円くらいが平均値になるでしょう。そこに保証協会付融資をどれくらいのプラスオンできるかというような形になると思います、
近藤さん:MRR(月次経常収益)が100万円未満の企業は今お話しした内容に当てはまり、前回の動画で詳しく解説しているので、そちらを見ていただければと思います。
MRRが100万~500万円までの融資
若林:MRRが100万~500万円までで、かつ創業1期を超えているような企業は日本政策金融公庫でも自己資金要件がなくなってきたり、何より1期目の決算書があります。スタートアップの1期目の決算書はあんまり当てにならいことが多いのですが、とりあえず出てはいるのでここから少しずつ決算書のウェイトが大きくなってきます。
決算書を見てデータベースに入れた時に、ある種自動的に格付けというスタートラインが決まってくるので決算書の内容は非常に重要です。創業1期以降で、かつMRRが100万〜500万円となってくると、また違った取り組みが必要になります。
MRR100万~500万円の制度や金融機関
近藤さん:まずそのフェーズで教えていただきたいのが、どういう銀行が対象になるか、どういうところから融資が受けられるかですが、具体的にどういったような方々とご縁をいただくことになるのでしょうか。
若林:申し込み先は大きく変わらなくて、※日本政策金融公庫も2期未満は新創業融資が使えますし、それから保証協会付融資も8,000万円までの無担保無保証枠があり、それを超えない限に使えるので日本政策金融公庫と民間金融機関(銀行・信金・信組)の保証協会付融資がベースになるのは変わりません。
この時点だとまだプロパー融資みたいなものは基本的には厳しい段階にありますので、マル経融資というもので、商工会議所が窓口になって日本政策金融公庫のお財布から出すというものがあるので、そういったものも1期を超えていてかつ従業員が、サービス業だと5人以下など一定の条件を満たすと使える融資があります。日本政策金融公庫、保証協会付融資、マル経融資辺りが対象になってくるのがMRR100万から500万円の企業です。
※動画収録時点では存在していた日本政策金融公庫の新創業融資は2024年3月末に実質廃止
近藤さん:その3つに注目して覚えておいたら良いですかね。
若林:そうですね。
2回目以降の融資の注意点
若林:月商100〜500万円になると1回目とは限らないんですよね。
近藤さん:創業直後などにご縁をいただいてる方が2回目にチャレンジをされるというケースですね。
若林:そうすると何をみられるかれるかというと決算書などはもちろん、前回の融資のときに出した事業計画書はどんな内容で、それに対して「今、足元はどうなんでしたっけ」という対照が行われます。それに対してどう進捗しているか。何が良くて、何がビハインドしているかを見られるので、そこはスタートアップにとってはなかなか厳しいとこですよね。
近藤さん:だからこそ前の動画で堅実的な事業計画を引きましょうと言っていたんですね。
若林:まさにおっしゃる通りです。ここで無理をした、ストレッチした計画でも通れば良いのですが、通らなかった場合はなかなか厳しいし、通ったとしても次の融資が厳しいというのがポジティブ過ぎる計画書の功罪ですね。
2回目以降の融資の活用方法
若林:2回目の融資になると、オプションとして借換だったり、あるいは上乗せする追加融資だったり、そういったものが選択肢として入ってきます。なので借換ということになってくると、新たに入ってくるお金を、真水と呼びますが、それがいくらになるのかがけっこう問題になってきます。例えば創業融資で500万円借りていたとします。今、決算書や足元の状況からすると800万円貸せそうだといったときに、この500万円を新規の800万円で1回返してしまう形にして、その800万円の条件で上書きして、そうすると800万円−500万円で300万円がいわゆる真水というニューマネーとして入ってきます。借入は800万円ですが、入ってくるお金は300万円なので、寂しいことがあります。
近藤さん:なるほど。
若林:ただ、500万円が例えば連帯保証ありなものだったとして、800万円は連帯保証なしだったら連帯保証なしで上書きされるので、こういったところに意味があったりします。あるいは500万円が3年の返済期間だったときに、800万円を仮に7年で返す場合に返済年数が長くなるので、月々に返さないといけない金額は、場合によっては小さくすることができます。これにより資金繰りが楽になったりするので、借換で条件を変えるというのは、その後非常に大事になってくるということがあろうかと思います。
MRR100万~500万円の融資可能額
近藤さん:実際に前回から数回借りているのか、今回が初めてのチャレンジかによって違うと思うのですが、これぐらいのフェーズになるとどれくらい借りられるものなのでしょうか。
若林:月商の2〜3倍が運転資金の目安としてよく言われています。運転資金の対となる言葉として設備資金というものがありますが、設備資金は一旦置いておきます。スタートアップは冷蔵庫や厨房機器などを必要としないことが多いと思うので。運転資金の中でも増加運転資金といって、売上が上がるごとに先に発生してしまうような運転資金、仕入れや広告費などは2〜3カ月分と言われるケースが多いです。なので100万〜500万円のMRRの場合、300万〜1,500万円あたりが融資金額の目安になると思います。
MRR100万~500万円の融資審査で見られること
近藤さん:実際に規模感が少し大きくなって事業投下じゃないですが、融資がより利活用できるようなフェーズになってきたと思います。とはいえ、より実績値があるといいますか、1期目の結果が出てるので厳しく見られそうな気がします。事前に気をつけておくべきことや改めてどういったところを見られるのか教えていただけますか。
若林:創業融資の段階では決算書があてにならない状態なので、決算書以外の情報、例えば代表者の方の経験や自己資金、事業計画がきちんとしてるかみたいなところで評価できます。しかし、1〜2期を終えて月商も大きくなってくると足元の数字や決算書を中心とした実績が重要になってきます。まずはそこを見られるのと、この時点で返済実績があるか無いかも大事になってくるので、早く返済実績を作ることの重要性も高まります。それから2回目以降の融資となってくると、トラクションももちろん大事なのですが、前回の計画書と現状の乖離が問題になるケースがあるので、事業計画書はここでもすごく大事なものになります。
近藤さん:どれだけちゃんと返してくれるかを見るという観点においては、事業計画を見ざるを得ないですし、前回から着実に成長している様子と返済実績があるかどうかが重要ということですね。
若林:そうですね。やはりエクイティは将来に対しての信頼と言いますかねで評価してくれますが、あくまでも過去の信用から将来を類推するのが融資なので、いかに信用を地道に蓄積してきたかいうのがこの辺りのフェーズから確実に問われてくると思います。
近藤さん:ちなみに信用は、事業計画書が精緻かどうか以外に見られている要素はありますか。
若林:超基本的なことですが、融資資金の引き落としのときにちゃんと口座にお金入れておくということですね。日本政策金融公庫は銀行口座を持たないので、支払いを〇〇銀行と指定します。その銀行口座をメインで使ってないからといってうっかりお金入れ忘れて引き落とせないということがたまにあるんですよね。
近藤さん:会社にお金があったとしても、口座にお金がないから払えないということですね。
若林:そうですね。これは起業家が思ってる以上に日本政策金融公庫は重大に受け止めてます。この問題があるだけで借りれないことがあり、非常にもったいないので口座にお金は入れといてほしいですね。
近藤さん:次回の動画ではMRR500万円以上の企業のケースも解説していただきます。シリーズAに向っていく途中という起業家さんは、ぜひ次回もご覧ください。
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※ 本記事は執筆・公開時点で発表されている情報を解説したものです。以後制度が変更になる可能性があります。
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