見出し画像

痛風とプリン体(塩基)の関係

痛風になると「プリン体の多い食品を控えるよう」指示をされます。このプリン体とは一体何でしょうか。また、プリン体と痛風にはどのような関係があるのでしょうか。

痛風とは


血液中の尿酸値が高い状態を高尿酸血症といいますが、高尿酸血症が持続すると関節や皮下組織などに尿酸塩が沈着し、関節炎を引き起こします。これが痛風です。

原因


尿酸は、DNAやRNAなどの核酸を構成しているプリン体(プリン塩基)の代謝産物で、最終的には尿酸塩として腎臓から排泄されます。

核酸→(肝臓で分解)→プリン体→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸

尿酸が多く作られ過ぎたり、尿酸塩の尿中への排泄が低下すると、痛風が起こるという仕組みです。そもそも核酸を多く摂取しなければ、分解されてできるプリン体も少なくなり、ひいては尿酸量も少なくなる、ということで「プリン体の多い食品を控えるよう」という話が出てくるわけです。

プリン体の多い食品とは


プリン体とは核酸(DNAやRNA)の中に含まれる、別名プリン塩基のことです。プリン塩基なんて聞いたことがないなと思う方もおられるかもしれませんが、プリン塩基は旨味成分の構成物質であり、鰹節や肉類のうま味成分である5’-イノシン酸やシイタケのうま味成分である5’-グアニル酸は、プリン塩基からなります。

核酸自体は生物の根源なので、動物も植物も全て持っているものです。核酸は、細胞数の多いもの、細胞分裂の盛んな組織に多いため、分裂を盛んに行なうレバー類や魚卵類などがプリン体の多い食品の上位に上がります。(ちなみに鶏卵は1個で核数1個なので、極めて少ない食品にカテゴライズされます)

出典:高尿酸血症・痛風のガイドライン

食べ物だけ気をつければよいのか


痛風にはプリン体の多い食品だけ気をつければよいのでしょうか?核酸は、自身の体も新陳代謝の過程で分解されてプリン体となって代謝されます。
そのため、食事に気をつけることは大切なのですが、完全になくすことはできません。

食べ物以外で気をつけるものはもう1つ、アルコールです。ビールは麦芽由来のプリン体を多く含むといわれますが、アルコールそのものが代謝の過程で尿酸値を挙げてしまうので、アルコール全般に気をつける必要があります。

痛風になるのは女性も


痛風というと、中年以降の男性がなる病気というイメージを持っていないでしょうか。女性も閉経後は尿酸値が高くなり、痛風になりやすいので注意が必要です。閉経前はエストロゲンの働きで尿酸の排出が促進されるのですが、更年期になりエストロゲンの分泌量が徐々に低下してくると、尿酸が溜まりやすくなって痛風の発生率が高くなります。

まとめ

痛風になったことがないと、「自分には関係がない病気」と思いがちですが、誰にでも起こりうる病気です。
血液検査で判断がつく病気ですから、不調を感じたら医師の診断を受けましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?