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『僕だけがいない街』 【2016Netflixドラマ/アニメ/実写映画/ラノベ/漫画】【タイムトラベラー:藤沼悟】


【感想】2024年7月24日

タイムトラベラー 第22人目

タイムリープの名作です。久しぶりに観ました。タイムリープ能力がある少年が活躍する話。東京に来た母親がアパートで何者かに刺殺される。容疑者となった息子悟が逃亡し、1988年北海道小学生にタイムリープする。
母が死ぬ前に言っていた「まだ終わってなかった」を思い出し、児童連続殺人事件に結び付け、事前解決を目指した。

タイムリープものにしては、それほど複雑ではないが、何度かのタイムリープでの過去の書き換え、犯人捜し、犯人との対決、幸せの始まりなど見どころ満載で、バリバリのサスペンスです。
漫画原作ですが、テレビアニメ、劇場版アニメ、実写版映画、そしてドラマ、それぞれ結末が違うらしく、アニメ、実写映画も観ました。それぞれお勧めです。

この作品で学ぶことは、勇気を出せなかったあの頃の後悔。だから今、全力で踏み込む。ではないかと受け止めました。
では、また。

【作品情報】

『僕だけがいない街』三部けい氏の漫画。過去に戻る力(作中での呼称はリバイバル)を持つ主人公が、過去に戻り自分と周囲の人々を襲う悲劇を回避するサスペンス漫画である。単行本は本編は全8巻。『ヤングエース』(KADOKAWA)にて、2012年7月号から2016年4月号まで連載された。『このマンガがすごい!2014』オトコ編第15位。『マンガ大賞2014』第2位。

原作とは別視点で描かれたノベライズ小説『僕だけがいない街 Another Record』(著者:一肇)が電子書籍雑誌『文芸カドカワ』(KADOKAWA)にて2015年11月号から2016年2月号まで連載。

実写映画、2016年3月19日公開。前半は比較的原作に沿った流れだが、尺の問題や撮影当時まだ原作が完結していないこともあり、途中から大きく異なった展開へと変わって行った。

2016年1月から3月までテレビアニメ放送。また、Netflixにて連続ドラマ化され、2017年12月15日より世界190ヶ国に配信された。全12回。

【ストーリー】

プロローグ

売れない漫画家・藤沼悟は、「再上映(リバイバル)」と呼んでいる特殊能力を持っていた。リバイバルは自分の意思とは関係なく発動し、直後に起きる「悪いこと(事件・事故など)」の原因が取り除かれるまで、その直前の場面に何度もタイムリープしてしまうというものだった。能力が発動しても周囲で起きるトラブルが回避されるだけで、大半は悟にとってプラスにならない結果となるため、能力に不満を持ちながら、ピザ屋のアルバイトをこなす日々を過ごしていた。
ある日、ピザの配達中に起きたリバイバルの結果、児童が交通事故に遭うことを未然に防いだ悟は、代わりに自身が車にはねられ二日間入院することになる。これを機会に、見舞いに来たピザ屋の同僚・愛梨と親しくなり、また事故の知らせを受け上京した母親・佐知子がアパートで共に暮らし始めることになる。後日、佐知子との買い物中にリバイバルが発生、このとき子連れの男と目を合わせたことで佐知子は誘拐が未然に防がれたことを確信する。
佐知子はその翌日、1988年に北海道で起きた連続誘拐殺人事件の真犯人と同一人物であることにも気付くが、悟に伝える前に何者かに殺害される。悟はアパートで遺体を発見後、リバイバルで佐知子の殺害を阻止しようと強く念じたところ、それまで経験したことがない長期間のタイムリープにより1988年に戻ることになる。

最初のタイムリープ

1988年2月15日にタイムリープした悟は、直後に起きるはずの連続誘拐殺人事件を阻止しようとする。この事件では、クラスメイトの雛月加代と杉田広美が殺害され、年上の友人であった「ユウキさん」が犯人として逮捕され、その後死刑が宣告されていた。小学生だった悟の証言は捜査で重要視されず、裏切られた思いをしていた。
加代の母親による虐待の事実に気付き、加代の殺害を阻止しユウキさんも救うことを決意した悟は、周囲と距離を置いていた加代と積極的に交流し信頼を得る。未来の雑誌に載っていた殺害時点で10歳と情報を頼りに犯行日時を絞り込もうと加代の誕生日を調べ、偶然自分と同じ3月2日であり、11歳になるまでのどこかで加代が誘拐されたことを知る。加代と共に時間を過ごし、3月2日の合同誕生日祝いを乗り越えて安心して眠りに落ちた悟だが、次の日、加代は学校に来ずそのまま行方不明となる。加代が死んだことを察してショックを受けた悟は再びタイムリープし、母親が死んだ直後の2006年に戻る。
犯人に仕立て上げられた悟は、始めにピザ屋の店長・高橋を頼るも裏切られ、愛梨の計らいにより愛梨が住む親戚の家に匿われる。しかし、愛梨の家は何者かに放火され、逃げ遅れた愛梨は悟に救出されるも入院することになる。再び行き場を失った悟は、佐知子が殺害される直前に記した電話番号を通じて、佐知子の「テレビ石狩」時代の同僚・澤田と連絡を取る。連続誘拐殺人事件の調査を続けていた澤田から情報を得た悟は、連続誘拐殺人事件と母親の殺害が同じ真犯人によるものという結論に至る。
その後、愛梨は母親の手助けにより病院から脱走し、悟と連絡を取り橋の下で待ち合わせる。悟は愛梨から西園という人物が怪しいという情報を得るが、直後に警察に発見され悟は逮捕される。悟が手錠をかけられたところで再びタイムリープが起こり、1988年2月に戻る。

二度目のタイムリープ

1988年2月27日にタイムリープした悟は、悟の変化に気づいたクラスメイト・小林賢也(ケンヤ)に加代が殺害される可能性を打ち明ける。悟はなりふり構わず加代の死を阻止するため、合同誕生日祝いの後に加代の母親を殺害しようとするが、ケンヤに止められる。ケンヤとの会話の最中に、悟は事件に先んじて加代を「誘拐」することを思いつき、ケンヤ、広美の協力を得て隣の泉水小学校にある廃バスに加代を匿い、無事に3月3日を乗り切る。
しかし同日の深夜、何者かが廃バスに侵入したことに危険を感じた悟たちは、佐知子に加代を匿っていることを打ち明ける。佐知子は悟と加代を受け入れ、担任の八代学に連絡を取り、翌日、加代の自宅へと向かう。応対した加代の母親・明美は取り乱し佐知子へシャベルを振りかざすが、待ち合わせていた八代と児童相談所の職員、そして明美の母親の説得により泣き崩れる。加代は明美の母親である祖母に預けられた。
加代を救った後もリバイバルが終わらないことから、悟は事件の被害者を孤立させないよう行動を開始する。悟は「ユウキさん」から中西彩の情報を聞き出し、事件の可能性を摘み取るため彩への接触を試みる。彩は当初「アジト」に立ち入る悟たちを子供じみた遊びだとせせら笑うが、カズが「アジトは男のロマンだ。ヒマならアジトに来てみろ」と反論したところ、カズの子供っぽさを突き抜けた男っぽさに惹かれた彩がアジトを訪れるようになり、彩の孤立は解消される。一方、八代と市教育委員会の計らいにより、加代は祖母の家からバスに乗り再び悟と同じ学校に通学することになる。
悟は真犯人を突き止めるため、加代に変わり孤立していたクラスメイト・美里の動向を追う。美里がよくアイスホッケーの試合をよく1人で見ていることをケンヤから聞いた悟は、単身でアイスホッケーの行われている体育館へと向かう。トイレに立った美里を途中で見失った悟は、屋外で白鳥食品の軽トラが立ち去るのを目撃したため、偶然居合わせた八代に車で軽トラを尾行するよう依頼する。
しかし、悟が「誘拐犯が居る前提で動いている」ことを看破した八代は、悟が敵であると認め、尾行する車中で自身が真犯人であること、美里のアイスホッケー観戦自体が悟を誘き出すための罠であることを明かす。八代の運転する車に乗せられた悟は、シートベルトで身体を拘束され、バスケットボールでアクセルを固定された車両ごと、水温1℃の湖内へ沈められる。

植物状態からの覚醒

悟は救出されるも植物状態となり、母・佐知子の献身的な看護を受けながら15年間眠り続けていた。2003年に目覚めた悟は、自身がタイムリープしたことを含め、1988年2月15日以降の記憶を失っていた。しかし、成長したケンヤ、加代らとの再会により次第に現在の記憶と自身の中に眠る記憶の欠片との齟齬を感じ始める。リハビリの最中、偶然にも愛梨と邂逅を果たし、会ったはずのない愛梨の夢を聞いたことで再び一年の昏睡状態に陥る。
覚醒後、愛梨に会うことで記憶を取り戻せると直感した悟は、タイムリープ前に愛梨を見送った駅で愛梨を発見し全ての記憶を取り戻すが、愛梨には声をかけずにその背中に手を振って去る。その後、急遽開催が発表されたリハビリ患者との交流会「さざんかの集い」が、悟の覚醒を知った西園(八代)が仕掛けた罠だと見抜き、ケンヤ、澤田の協力を得て真犯人である八代の悪事を全て暴くことを決意する。さざんかの集いの当日、数度のタイムリープで得た経験を活かし、遂には八代を追い詰めることに成功する。

エピローグ

八代の逮捕から7年後の2012年。公訴時効を迎えた事件を含めた30件以上の殺人容疑によって、死刑判決を受けた八代は東京拘置所に収監されていた。悟はタイムリープ前同様に漫画家としてデビューし、今度は作品がアニメ化するほどの成功を収めていた。加代、彩、広美、ユウキさん、そして仲間たちもそれぞれの人生を謳歌している。目覚めて以降、新たな再上映も起きず、悟の中でも「眠らなかった街」の記憶が徐々に薄れていく。
ある雪の日、ネームがてらの散歩に出た悟は嘗て愛梨と離れ離れになった橋の下で、昏睡中の15年に仲間たちが空白を埋めてくれたことに思いを馳せ、自分にとっての宝物「僕だけがいない街」として噛み締めていた。すると雪が強まってくる中、一人の女性が悟の元に駆け込んでくる。それは、大人になった愛梨だった。

【主要人物】

藤沼 悟 
演-古川雄輝(少年期:内川蓮生)

主人公。北海道出身。1977年3月2日生まれ。2006年5月時点では29歳の漫画家。画力やストーリー構成力はあるものの、自分の心に踏み込めないという欠点のためにデビュー後はなかなか成功せず、ピザ屋「Oasi Pizza」のアルバイトで生計を立てていた。人間関係は希薄。漫画は主にゲームのコミカライズを手がけていた。心に思ったことを無意識のうちに声に出す癖がある。「再上映(リバイバル)」というタイムリープ能力の持ち主で、過去を変えることができるが、自分の意志とは無関係に発動するためにその能力を疎ましく思っていた。しかし母親の死をきっかけに、2006年と1988年を往復する「再上映」が発動。そのチャンスを活かし、過去と現在の悲劇を回避するために奔走する。1988年に通っていた小学校は市立美琴小学校。子供のころから人付き合いは苦手で、「ユウキさん」の助言を受けるまで友達もいなかった(この性格は父親との離別に原因があると佐知子は推測している)。「戦え!ワンダーガイ」というヒーロー漫画のファンであり、自分もワンダーガイのようなヒーローを描きたいと考えたことが漫画家を志した理由である。二度目の「再上映」において、連続誘拐殺人事件の被害者となるはずだった3人とユウキさんを救うことに成功するも、真犯人によって湖底に沈められ、15年間の眠り(13年間の植物状態と2年間の昏睡状態)に陥る。2003年、奇跡的に目を覚ますものの、一度目の「再上映」以降の記憶を全て失っていた(29歳の悟がタイムリープする以前の本来の小学生の状態に戻った)。しかし、現在の記憶に抱いた違和感や加代との再会によって徐々に記憶が戻り、愛梨との邂逅を経て(アニメでは未来の手に触れたことで)29歳の悟の記憶を完全に取り戻す。記憶が戻った後は、その意志力をもって医学を超えた驚異的な速度で身体能力を取り戻し、賢也らと協力して真犯人を追い詰めることに成功した。事件解決後は以前の歴史同様に漫画家になり、2012年(アニメ版では2010年)には作品がアニメ化されるほどの人気作家となる。一人称は「俺」だが、植物状態から回復後は一度記憶を失った影響か「僕」になっており、口調もやや穏やかになっていた(アニメでは時折「俺」に戻る)。実写映画版原作と違って真犯人には川に落とされるが、その瞬間に「再上映」が終わり、物語冒頭のトラック暴走事故直後に戻る。そこは加代救出に成功した三度目のタイムラインにおける2006年であり、傍に居たのは愛梨ではなく大人になった加代であった。それに伴い、原作・アニメのように植物状態や記憶喪失になることはなく、2006年まで無事に過ごしていたことになっている(悟自身の認識としては沈められた直後に2006年で目を覚ましたのであって、その間の記憶は無い)。その後は真犯人を止めるために行動するも、最期は真犯人にナイフで首を切られて致命傷を負い、命を落とす。これによりタイトルの「僕だけがいない街」の意味合いが原作とは異なったものになっている。

雛月 加代 声 - 悠木碧

小学校時代の悟のクラスメイト。1977年3月2日生まれ(悟と同じ日)。リバーシやトランプが強い。母子家庭で、母親とその愛人から虐待を受けている。その家庭環境ゆえに卑屈な性分となってしまっており滅多に言葉を発さず、クラスでは貧乏ゆえに偏見を持たれている。口癖は「バカなの?」。オリジナルのタイムラインでは連続誘拐殺人事件の被害者となり、1988年3月1日に死亡。二度目のタイムラインでは、積極的に自分と関わろうとする悟に徐々に心を開き、悟たちのグループと交流を深める。3月1日を超え11歳の誕生日を迎えたが、3月2日夜から3日未明の間に行方不明となる。虐待死と思われたが、実際には物置小屋から誘拐され殺害されてから遺体を戻されていた。三度目のタイムラインでは、悟が犯人よりも先に彼女を「誘拐」したことで殺人事件から救出された。佐知子・八代の協力により児童相談所に保護された後は、祖母に引き取られる。原作では、その後、八代と市教育委員会の計らいで祖母の家から再び美琴小に通うことになり、悟たちと再会する。『Re』では悟が植物状態に陥った直後から中学時代の加代が描かれており、毎日のように悟の病室に通う献身的な姿が憔悴した佐知子に希望を与えていた。中学入学後も部活に入らず病院に通い続けたが、知らぬ間に悟が千葉の総合病院に転院したこと(佐知子の配慮による)を機に自身も前へ進むことを決める。成人後は広美と結婚し一児(未来)を授かり、その子供を連れて悟の病室を訪れた。実写映画版原作同様に一児を授かるが、息子ではなく娘になっている。


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