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大福の前でも取り繕ってしまうわたし

午前3時。寝ぼけ眼でぷくぷくの大福を前にして、私はなんとか、どこかにあるはずの自分のスイッチを入れる。

「はーいおむつ替えますよー!」

深夜に似合わない妙なテンション。

大福はぽやぽやと、いかにも寝起きですみたいな顔をしながらどこか遠くを見つめている。

一体何を考えてるんだか……


娘と生活し始めて早2ヶ月。小さかった生命体はどんどん顔がしっかりしてきて、身体はぷくぷくになり、なんとなく「大福丸」と呼びたくなるフォルムをしている。

そんな彼女は家族ではあるけれど、まだまだ自分の素を出しきれていないのでは?どこか取り繕ってるのでは?と感じることがある。

「おむつ替えますよー!」
「おっぱいほしい人ー?」
「あらかわいいね〜!」

そんなハイテンションキャラは数ヶ月前まで存在しなかったわけで、スイッチを入れなきゃ引き出せないのは当然だ。

もちろん、ごく自然にできる人もいると思う。でも残念ながら、私はそうではない。


しかも困ったことに、赤ちゃんの場合はどれだけハイテンションでがんばっても大人と違って相手の反応が読めない。

反応がよくわからない初対面の人といきなり二人きりになったらそりゃ気まずいし、相手の様子を見ながら自分があれこれ手を尽くすしかないわけで。

正解かどうかわからない中で、スイッチのオンオフを自分でコントロールする日々は正直疲れることもある。いつもテンション高めのご機嫌な自分でいられるかというと、難しい瞬間もある。


よく考えれば夫の前でも、初期の頃はだいぶ取り繕ってたと思う。まだ付き合うどころか、「ただの怖い先輩」としてオフィスで対峙してた頃なんてどれほど素の自分を隠していたことだろう。

そんな夫とも、時間をかけてゆっくりゆっくり家族という名の「仲間」になっていった。おかげで今ではほとんどの時間、素を見せることができている。

娘との生活はまだまだ始まったばかり。彼女ともきっと、少しずつそんなふうになっていけるのだろう。

今日もまた、大福丸との1日が始まる。


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