坂田靖子の本 1~3

 同じ系統の漫画家さんて思いつかない。「坂田靖子」は孤高の頂きであり、他の存在は見えない。こう書いてみて、ふと考えた。(坂田さんの漫画は"頂き"じゃあ無いよなぁ・・・)と。細く長く続いているご自身のHPの名前の通り「サカタBOX」が言い得て妙である。それは、山の頂きというより、びっくり箱を覗く感じなのだ。
 そんな坂田さんのお仕事をまとめた本が「坂田靖子の本」1~3である。今から30年以上前の1989年から1990年に出版された。「おばけや怪物のおはなし」「夢とまぼろしのおはなし」「てんやわんやのおはなし」の3冊となっている。出版元は潮出版社。坂田の本を多数出版されている会社であり、ここでしか出せない本と言った方が良いかもしれない。しっかりしたハードカバーの本で、初版の挟み込み「靖子のチャネル」という月報が、また良い感じ。品も良くて、眺めているだけで「サカタワールド」に没入出来る。

 坂田さんのマンガに登場する人物は、基本的に驚かない。おばけが出ようが、流されて天上の世界に行こうが、「あれぇ??ま、いいか~」というノリで過ごしている。主人公がそういう感じなので、おばけや怪物たちも、至ってノンキである。ぼーーーと登場して、ぼーーーと帰っていく。仕事してんのかい!!って突っ込みたくなる感じがするくらいである。


 坂田さんのマンガは、決して「○○の刃」とか「○○ピース」とか、爆発的なヒットを飛ばすような作品では無いと思っている。でも、午後の休憩時間にお菓子ををつまみながら、くすくす笑ってページをめくるには、これ以上最適な漫画は無いとおもってしまう。地道にマイペースでフォローすることが、相応しいと感じる漫画家さんである。

 もし、坂田さんの本を読んだことが無いなら、「坂田靖子の本」1~3は、坂田靖子入門編としては、この上ない上質な教科書と言えるでしょう。しかも、教科書には似合わない癒しを貴方に与えてくれる効果も保証付きです。

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表のWish of Booksにてファンタジー作品をPickUpで取り上げていますが、その流れで、坂田靖子さんも取り上げています。「坂田靖子の本1」も並べています。ご興味あればどうぞ。


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