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プリンセス・トヨトミ 文春文庫
ちょっと掟破りだが、まずは「プリンセス・トヨトミ」の映画の感想から。
== 以下・映画版感想 ==
ごぞんじ万城目学の「関西にはけったいな人がいます」シリーズ大阪編が原作。天然大爆発の綾瀬はるかを見に行ったというのは公然の秘密である。やっぱり映画は原作と同一ではなく、身長180cmの超美形ハーフの旭ゲーンズグールを岡田将生が熱演。中年の変なおっさんの鳥居を綾瀬はるかが怪演?していた。原作
亜ノ国へ 柏葉幸子 角川書店
柏葉幸子さんの、初一般向けファンタジー。
主人公の朴木塔子は、妊活中にもかかわらず浮気をした夫が不倫相手を妊娠させたと聞き、離婚し故郷に帰ってきた。彼女の叔母が100歳で逝った時、彼女に遺産として祖父の家を残した。その家で、祖父のトランクを見つけて開けてみると、それは異世界への扉だった。異世界では、「まれ石=他の世界から来た者」として扱われ、その国の六祝様を選ぶ儀式に参加する幼いムリュの乳母
フランケンシュタイン メアリー・シェリー (光文社古典新訳文庫)
有名だけれども、あまり読まれない本の代表格というか。かの有名な「ディオダディ荘の怪奇談義」にて着想され執筆されたホラーSFという事になっている。SFというよりも、ファンタジックな設定に隠された人間の苦悩の話という方向が正しい。
フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物を創出した科学者の名前である。話の大枠を作る冒険家とフランケンシュタインの回想と、怪物の苦悩の独白で構成される話は、幸せ
熱帯 森見登美彦 文藝春秋
やっぱり森見節、全開の一冊。没入できる語り口と謎の提示が好き。物語はこうでなくてはダメだという見本を提示してくれた。魅力的な話中話と、視点の移ろいが読者の想いを揺さぶってくれる。
作家の森見登美彦は、スランプの中、不思議な古書店で「熱帯」という本を買う。夢中になって読む彼だが、読みかけの本は枕元から消えていた。その本の話を知り合いに話すと、「沈黙読書会」なる会に誘われ、「熱帯」を知る人に遭遇
このあと どうしちゃおう ヨシタケシンスケ ブロンズ新社
このシリーズ面白い。というか、ヨシタケシンスケさん、面白い。
そもそも、「死」をテーマにすること自体、珍しい絵本の世界。亡くなったおじいさんの残したノートを紹介するという内容だけど、「絵本でこの発想!?」という第一印象が強烈すぎる。
・こんなかみさまにいてほしい
・てんごくってきっとこんなところ
・いじわるなアイツはきっとこんなじごくへいく
等々、発想が豊かすぎる(まあ、過去の本も同パター
屍人荘の殺人 今村昌弘 東京創元社
第27回鮎川哲也賞受賞作。選評はなかなか素晴らしい。実績もこれまた素晴らしい。
『このミステリーがすごい!2018年版』第1位
『週刊文春』ミステリーベスト第1位
『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねる。そこは、想像を絶する体験の場所だ