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豊かな社会と美しい森を次世代に届ける『森をつくる家具』。使うことで、つくり手や産地とつ…

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豊かな社会と美しい森を次世代に届ける『森をつくる家具』。使うことで、つくり手や産地とつながる『暮らしの道具』。つくり手を訪ね、産地の風土、制作の背景、思いを伝え、日々の暮らしを彩るストーリーをお届けします。 *オンラインストア▶https://wisewisetools.com

最近の記事

「箸はいのちの橋渡し」箸づくり一筋にかける、江戸木箸大黒屋の想い

「橋は場所を結ぶもの。箸は食材と人を結ぶもの。箸も橋渡しなんですよ」 そう話すのは、江戸木箸大黒屋の創業者であり、今も箸をつくり続ける職人の竹田勝彦さん。食器の問屋に勤めていたという竹田さんは、食器を持って全国を歩き回り、販売することを20年間続けてきました。 その中で感じたことは、お箸は食器の中では目立つものではなくて端の方に置かれているもの。それでも、どんなに地方に行っても景気が悪くても、箸は必ず買ってくれる人がいるということでした。 箸は、形はみんなだいたい同じで、色

    • 花をいけるように、うちわを飾る

      京うちわの、繊細で優美な美しさを暮らしの中に京都に行くときは、いつも心が浮き立つ気分がする。古き良き日本の姿を感じ、訪れるたびに改めて知る日本文化の奥深さに心が動かされます。 京都を代表する通りのひとつ、四条通り。東は祇園・八坂神社の石段の下から、西は嵐山の松尾大社まで京都市内を東西に結び、いつの時代も京都を楽しむ多くの人を迎えてきました。 今回の京都の旅の目的地は、この四条通りのほど近くにある一軒の老舗。 地下鉄四条、もしくは烏丸駅を降り、四条通りから「京都の台所」と言われ

      • 植物の豊かな記憶を日常にまとう、香りの世界

        自然の中を歩くと、全身が包みこまれるように感じる土や木、花や草木の香り。 言葉を持たない植物は、「香り」で植物どうしのコミュニケーションを取るとも言われています。 香りは植物たちの心の声。耳を澄まし、その声を聴くように香る。 嗅覚は私たちの本能と近く、感情や直感に瞬間的に結びつくもの。自分の好きな香りを一瞬感じただけで、心がリラックスしたり、ふと昔のことを思い出したりということがあります。 暮らしの中に香りを取り入れる。 自然のものから生まれた植物たちのさまざまな声を聞き、あ

        • 織物の素材である金銀糸を、現代のジュエリーに

          西陣織の材料や、日本各地のお祭りの山車や神輿を華やかに彩る金銀の刺繍に用いられる、金銀糸。純金の金箔を細かく裁断して糸に撚られたもので、古来、高貴な人々の衣装装束に重宝されてきました。 金銀糸の歴史は古く、仏教の伝来と共に日本に渡ってきたと言われます。京都の市街地、北西部の西陣で栄えた西陣織物の素材として、京都の伝統文化を永きに渡り支え続けてきました。   中世の日本では、ヨーロッパや大陸のように宝石や装飾品を身につけず、十二単、着物などの衣装に金箔を織り込んだ豪華な装いで

        「箸はいのちの橋渡し」箸づくり一筋にかける、江戸木箸大黒屋の想い

          伝統をつなぎ、新しい形をつくりだす会津木綿の魅力

          会津木綿に出会ったのは、WISE・WISEでお取り扱いさせていただいているヤンマ産業の受注販売会でした。 ヤンマ産業は、会津木綿をメインの素材に、天然素材のみで商品を展開しているアパレルブランドです。“ひとりひとりが必要としている洋服をつくる”という思いをもって、飽きのこない長く使い続けられる洋服をつくり、「受注会」と呼ばれる展示会で受注してロスを抑制する、完全受注生産の方法で販売しています。 しっかりとした生地感、飽きのこないシンプルなデザイン、そして使えば使うほどに体に

          伝統をつなぎ、新しい形をつくりだす会津木綿の魅力

          暮らしに花を咲かせてくれる、岩崎龍二さんの器

          この土地の自然から、色をつくりだす 岩崎さんが工房を構えるのは、大阪南河内に位置する富田林市。遠くには、二上山という、奈良と大阪の境になる山をのぞみます。 2012年、岩崎さんは、生まれ育ったここ富田林に自宅兼工房を構えました。 土地の作物で色を生む 岩崎さんが生み出す器たちの美しい色合いは、この土地の自然の中から生み出される。 「最初に使ってみたのは椿の灰で、知り合いのお父様が長崎の佐世保でつくっていたのを使わせていただきました。 灰釉薬とは、日本の古来からある技法で

          暮らしに花を咲かせてくれる、岩崎龍二さんの器

          たたら製鉄の復活と地域活性への想いー「玉鋼包丁」のストーリー

          「玉鋼」から生まれた、唯一無二の包丁 刀と「たたら」の文化 「刀は武士の魂」という言葉もあるとおり、日本刀は武器としてだけでなく、日本人の精神と結びついてきました。 また、美術品としても価値のあるもので、国宝に指定されている工芸品の中では、刀剣類が半数以上も占めていると言います。 美しさと機能性を兼ねそなえる、至高の美術品。 その、刀を作る「玉鋼」は、純度の高い鋼のことで、「たたら製鉄」という日本古来の製鉄方法でのみ作り出されます。 島根県奥出雲地方は、古来よりたたら製

          たたら製鉄の復活と地域活性への想いー「玉鋼包丁」のストーリー

          生きた木がある暮らしの中で、自然のサイクルに沿って家具を作る

          木のいのちを感じる家具「自分も自然の中の一部であり、自然のサイクルの中の営みの一つとして、 木と向き合い、響き合うものと作り上げたい」 奈良県で木工の家具を製作する渡邉崇さんの作品に初めて出会ったとき、光と影を感じる木目の美しさや、触れると木をとろとろに感じる座り心地の良さに、これが木の柔らかさかと驚きました。 奈良県吉野郡川上村で家具や器を製作する渡邉さんは、100年200年と何世代にわたって大切に育てられてきた吉野杉や吉野ヒノキ、またその土地の木との出会いを大切にし、

          生きた木がある暮らしの中で、自然のサイクルに沿って家具を作る

          自然のやすらぎと恵みを、暮らしの中に取り入れる。

          お茶のある暮らし -「自然茶」の魅力「お茶は、その味そのものだけではなく、香りや自然を感じて飲むもの」 そう話すのは、WISE・WISE toolsで取り扱う「自然茶」(じねんちゃ)を推薦・監修する、近藤美知絵さん。近藤さんに煎れていただくお茶は、まず香りを感じ、その後は口中の香味を、そして最後には器に残る移り香を楽しみます。 「かつての日本では、家の近くに自生するお茶を摘んで、自家製のお茶を飲んでいた」と言います。それは、肥料や農薬を使わず、自然の力で根を下ろす生命力豊かな

          自然のやすらぎと恵みを、暮らしの中に取り入れる。

          「漆硝子・くつろぎビールグラス」を訪ねて、木曽の旅(後編)

          <関連記事> 伝統を守り、革新を続ける、木曽漆器の物語 「漆硝子・くつろぎビールグラス」を訪ねて、木曽の旅(前編) 木曽の豊かな森林と街道沿いに発展した、曲げわっぱと木曽漆器「木曽漆器」の生まれた奈良井宿や平沢は、江戸時代、京都と江戸を結ぶ中山道沿いにあって、多くの人が往来する宿場町として栄えました。 木曽は森林の割合が9割を占めるというほど。豊かな森林に恵まれた環境と、街道文化の中で木曽漆器は発展しました。  小坂玲央さん「木曽漆器の歴史は、およそ400年。場合によって

          「漆硝子・くつろぎビールグラス」を訪ねて、木曽の旅(後編)

          「漆硝子・くつろぎビールグラス」を訪ねて、木曽の旅(前編)

          新宿から中央線特急松本行きの「あずさ」に乗って、木曽へ向かう。 松本の手前の「塩尻」の駅で乗り換えると中央線は途中から単線となり、車窓の景色は山へ山へと吸い込まれるように、山の奥深くへ進んでいく。 到着した駅は、「木曽平沢」。民家の甍が立ち並ぶ奥に、信州の山を臨んだ。 ―木曽路は全て山の中である。 「木曽」というワードを検索すると必ず出てくるのは、島崎藤村の「夜明け前」の第一節。 本当に、木曽路は全て山の中にあるんだなぁと、目の前に広がる景色と言葉がピタリとハマるのに妙に

          「漆硝子・くつろぎビールグラス」を訪ねて、木曽の旅(前編)

          WISE・WISE 、風土を物語る旅へ

          皆さんは、ご自身の家の家具がどこでつくられたか知っていますか? その家具をつくる木がどこから来ているのか? 食品や服には原産国が記されているにに、木にないのはどうしてだろう? 「なんの木?」というのは気にしても、「どこの木?」というのは気にしていなかった。 WISE・WISE は1996年に『豊かな暮らし』をテーマにするライフスタイルブランドとして誕生しました。日本全国の林業地とつながり、木材生産・加工・製造ネットワークを活用したオリジナルの家具の販売をはじめ、空間デ

          WISE・WISE 、風土を物語る旅へ