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2024.7.5 「くるりライブハウスツアー2024」@新潟LOTS

7、8年前にやっと「ロックバンド」というものを好きになって、そこから色んな音楽を聴き始めた人間なので、「うわっ!このバンド好きだ!」となっても既に解散してしまっていたり、長い活動休止期間にいたりすることが多々ある。チャットモンチー、きのこ帝国、スーパーカーetc…だからこそ長くバンドを続けてくれていることや、今でもライブを観られることにもっと感謝しなくちゃいけないな~と思う今日この頃。なので今の時代に新しい音楽を知って、ライブを観にいくという、ごく当たり前と思ってしまっている体験自体奇跡的なことだな、と実感する。30年近くも続けてくれている「くるり」なら尚更だ。改めて人生に色どりを与えてくれる音楽を作り出せるって素晴らしい職業ですよロックバンドって!本当に音楽に出会えて良かった、好きと思える感性を持ち合わせてて良かった。
そんな長年続けてきたバンドだからこそ作り出せるライブの空気感。当たり前すぎるけれど「いい曲」って本当に「いい曲」なんだよな、と体験させられた2時間半のライブのレポート。

会場に集まったお客さんは年齢層が高めの人が多く、まさしく「くるり」を長年応援し続けているんだろうな、といった感じ。もちろん長期間続けてくれるバンドも凄いけれど、こんなにも同じバンドを好きでい続けられるのもカッコいい事だな…と思った。(筆者の大好きなUNISON SQUARE GARDENの斎藤さんも言っていました。)「推し活」という言葉もあるけれど、若い時期だけに飽き足らず、いくつになっても何かに熱量を注ぎ続けられる人生でありたい。

冒頭「鹿児島おはら節」でアコギで爽やかな一曲目から「Hometown」「リルレロ」といったベースゴリゴリの曲への転換に、くるりというバンドの多様性に「すげ~!」と既に感動。初めて生でくるりの二人を見たけれど「緩くてひょうきんで、けれどどこかしらカッコよさも兼ね備える」雰囲気。アーティストを見る度に見た目の若さに「ホントにこの年齢!?」と驚かされることが多々あるけれど、くるりの二人はいい意味で「憧れるおじさん像」って感じがして、こういう年の取り方したい~と思わされた。(何の話だ)

「麦茶」→「Natsuno」→「シャツを洗えば」のセトリは一気に会場に夏の風景を運び込んできた。7月の頭、なんだかジメジメとして半袖じゃないとたまらない暑苦しさのあった日だったけれど、この時の会場はそんな夏の姿は無く、くるりの楽曲が清涼感ある雰囲気を作り出していた。特に「Natsuno」では岸田さんの衣装と、水色のfenderの色味が相まって爽やかさがより一層増していて素晴らしかった。とても印象に残っているワンシーン。

MCでは新潟に来たということで、「新潟らしいこと」という内容を話す。新潟でのケータリングでバスセンターのカレーを食べたという佐藤さん。直前の公演をコロナで休んでしまった岸田さんは病み上がりということでパス。味の詳細を佐藤さんに聞く流れから何故か「アレ味のカレーと、カレー味のアレ、どっちなら食べれる?」という、歴代バスセンターのカレー繋がりのMCの中で断トツで最低な会話に転換され爆笑。本人たちも「50手前にもなって未だにこんな話題で盛り上がってしまう」と言っていて、知っている「おじさん像」すぎて最高だった。この後も、会場の女性から「岸田さん!大好きです!」と声を聞いた岸田さんは「何十年ぶりとこんな黄色い歓声を浴びた。まさにバスセンターのカレーばりに黄色い。」と。MCの広げ方が緩すぎて、この余裕感も長年続けてきて培われたものとしましょう。きっとそうだ。そうじゃなきゃこんなぶっ飛んだ繋げ方はできない。
曲の途中でDr.石若さんをギター入りのタイミングで翻弄する岸田さん。その流れから曲中に喋り始めるし、とてもライブそのものを楽しんでる感じが伝わってきた。曲の良さに圧倒される感覚とアットホームな緩いMCが、いいギャップを生んでライブ全体の満足度がとても高かった。

「Baby I Love You」のコーラスの美しさたるや…と思っていたら始まった「愛の太陽」。このライブで初めて聴いた曲だったけれども良すぎてガッツリ脳裏に焼き付いた。この曲と「Natsuno」はライブ後も何度もリピートするくらい印象に残って、またいい曲知れたな~というほくほく感。これぞライブの醍醐味!最近は全ての曲を網羅していなくても好みだと思ったバンドのライブにはとことん足を運ぶようにしている。ライブで初聴きでも結局のところ自分の好みのバンドが最良の状態で届けてくれるんだから間違いない。なんなら初めてライブで聴くと思い出補正込みで更に自分にとって大切な曲になるから一石二鳥じゃないか!?と最近思い始めている。そんなマインドでライブに行くようになったら、より一層色んなライブに行けるようになったし楽しくなった気がする。いい意味で気軽に聴くってのが丁度いいのかも。

そしてライブは進み後半戦。度肝抜かれた「永遠」からの「ワールズエンド・スーパーノヴァ」へのつなぎ方!「永遠」に入った途端、会場の雰囲気が一転して「これはまさか!?」と思っていたらアウトロから一気に「ワールズエンド・スーパーノヴァ」のイントロへ!やっべ~!!!なんとも王道だけれどもやはりこの曲のカッコよさには敵わない。こんなカッコ良すぎる曲が20年も前から存在していたなんて信じられませんね。これ以上言葉は必要ない。本当に良かった。良すぎて涙が出た。家に帰ってレコードでおかわりして聴いたのも改めて沁みた。
そのままたっぷりくるりの音楽を浴びて本編ラストは「琥珀色の街、上海蟹の朝」。こちらもまあ言わずと知れた名曲で締め。この曲もたまらなく良かった。本当に多様な楽曲が混ざり合ったセトリ、くるりの知らなかった楽曲たちも、代表曲も全部ライブで感じ取れて最高すぎるセトリだった。

アンコール明けでは、岸田さんの叩くドラムに合わせて佐藤さんがグッズ紹介を行うというシュールな展開に。ロンティー紹介する時に、「でももう暑いから着ないよね」とグッズカゴに投げ捨ててた。笑った。「佐藤さん、右手半端ないって!タオル」、使いどころ局所的過ぎ。笑った。「岸田さんカープ勝ってるよ!タオル」、紹介中に当日ライブ中ののカープの試合進捗を会場に知ってる人が居ないか尋ねる岸田さん、居るわけなくて笑った。そんな笑いどころばかりのグッズ紹介だった。

新潟の路面電車についてのMCから「オールドタイマー」。最初に買ったくるりのCDが「さよならストレンジャー」なのでこの選曲は嬉しかった。二曲目は「ばらの花」。いや~良い!本編の満足度が高すぎて一瞬忘れかけていただけあってイントロのギターを聴いた時に足先から込み上げてくるものを感じた。「ここで、ばらの花くるか~やられた!」という感覚。そしてラストは「潮風のアリア」。正直この楽曲も初聴きだったけれどたまらなく良かった。ゆったりとした曲調に岸田さんの落ち着く声がベストマッチ。こういった日常に添えたくなる曲がまた一曲増えました。ありがとうくるり。

最後演奏を終えた後、岸田さんが、佐藤さんやサポートメンバーに対して拍手をしたり、肩を叩いたりしていた姿が印象的だった。もちろん客席に向けた熱い言葉や感謝を述べるバンドは多々いるけれど、メンバーへの感謝があのような行動に自然と表れるのはシンプルに凄いと思った。各曲の後にも客席に対して何度もお辞儀をしていた。そういった素敵な姿勢が「くるり」という音楽が長く愛され続いてきた要因の一つなんじゃないかとも思えた。
今までライブに行ったバンドの中で最長経歴のくるり。楽曲はもちろんの事ながら、ライブ全体の雰囲気づくりや、バンドに対する姿勢など、どれをとってもベテランの風格を持ち合わせていてカッコよかった。最高のライブでした。

97年組がデビューした当時にライブに行けていたら間違いなくスーパーカーとくるりの二強で通い詰めていたんだろうな…と妄想だけしてみる。




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