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未だ謎多き、原点にして最強ドラム神・Buddy Rich

僕は、この記事を書いている時点で39歳。1981年生である。

今までは、齢を重ねても心は20代のままなんだな~とのんきに生きてきたが、40も目前になると、僕の持っている感性が明らかに現代の10~20代の方々の感性とはずれていて、自分はおっさんと呼ばれるにふさわしい年齢であることに事実だと認識せざるを得ない。

そして、現代の若者ドラマーはいったいどんなドラマーが好きなんだろうか?

どんなドラマーを神格化するほど愛しているんだろうか?

もしかして、若者ドラマーが憧れるドラマーって、ドラマーYouTuberのようなネット動画の世界で活躍しているような人だったりするんだろうか。


おっさんの戯言を許されるならば、世の中の音楽事情がどうなろうと、音楽家が活躍するメディアがどのように移り変わろうと、未来永劫語り継がれるべきドラマーは存在し、僕らドラマーには語り継ぐ義務があると言いたいのだ。

それは、西洋クラシック音楽における、バッハやベートーベンといった存在に近い。数百年単位、何十世代にもまたがるレベルのものである。

そういったレベルのドラマーは、僕のこれまで39年の人生でライブもしくは映像作品で確認できる範囲においても数名登場しているが、今回するドラマーは、バッハ的存在というよりも、パガニーニ(ヴァイオリニスト)やリスト(ピアニスト)とでもいうべき存在。いわゆる「超絶技巧」を極め抜いた存在である。

 

それが、

 

ドラム界・史上最速の男、と呼ばれた


『Buddy Rich』


である。


Buddy Rich は 1917生。1987年にお亡くなりになったそうなので、僕が物心ついたころにはお亡くなりになっていた。

生音はどんなものだったか聴いてみたかったが、過去の録音作品から察するに、実際に聴いたとしたなら、キン〇マを食塩を溶かした氷水につけながら全身に唐辛子を塗りつけたような感覚を覚えたことだろう(どんな感覚やねん)。


僕が初めて Buddy Rich の存在を知ったのは、日本のドラム雑誌・リズム&ドラムマガジンの合理的演奏法特集みたいなやつで、このドラマーを参考にしよう!みたいなやつだった。

多くのドラマーが紹介されていた中に Buddy Rich がいた。

当時、モーラー奏法だのフレディ・グルーバー・システムだのといった合理的な奏法が存在するという情報がようやく一般人ドラマーの耳に入ってくるようになってきたころで、Buddy Rich がそういった奏法を駆使するという話を聴き、当時、ドラムの技術と知識に飢えていた僕は当然 Buddy Rich に興味を持ったのである。

それが確か高校1年のときである。同年、初めて買った Buddy Rich のビデオ(当時はVHS)がこれである。

 

MAKING OF BURNING FOR BUDDY Vol.2

 

カナダのプログレッシブロックバンド Rush での活動で有名な、故・Neil Peart のプロデュースにより、Buddy Rich を愛する有名プロドラマー達をゲストに Buddy Rich Big Band とレコーディングするという企画ものアルバムのメイキングビデオである。

このビデオは2本立てで、この Vol.2 だけでも、

Rod Morgenstein , Omar Hakim , Joe Morello , Steve Smith , Matt Sorum , Simon Phillips , Billy Cobham , Steve Ferrone

という錚々たるメンバーによる1人1曲レコーディング風景を見ることができ、さらに一番最後に Buddy Rich のお宝ライブ演奏動画が見られる。

で、僕はそのとき、Simon Phillips にはまっていた上に、Billy Cobham を見るのもこのビデオが初めてだったので、この2人にぞっこんラ~~~~ブだった。Buddy Rich に興味がありつつも、この2人が出演していたからこそいくつかある Buddy Rich の映像作品の中からこのビデオを選んだ節がある。

やっぱり Simon のアプローチは斬新だなーーーー。

Billy の左手による繊細なライドシンバルは美しいなーーーー。

と、両名に魅せられた余韻を感じながら、ビデオ巻末の Buddy Rich の演奏を視た。

その演奏がこれである。

 

・・・。


・・・なんだこりゃ(いろんな意味で)!!!!!!!!!!!!!!

 

 


 

 

まず、その映像の画質と音質の悪さに驚いた。

Buddy の最晩年、1984年ドイツ・ベルリンの演奏だそうだが、当時の録音機材であってももう少しきれいに撮れただろうに・・・。

(※実際、もっと良い画質で映った Buddy の演奏動画はほかにもたくさんある。)

その時点で少しがっかり。

神業と称されるスティックワークがいまいち目視確認できなかったのである。


それから、ドラムの音色。

いわゆるフュージョンドラミングの洗礼を受け、そのドラムサウンドに慣れきった僕は、まだ Swing Jazz におけるドラムの音色を受け入れる耳ができていなかったのである。

クリスピーなスネア。

甲高くコロコロしたタム。

おそらくは帯ミュートだけの豪快な大径バスドラム。

今でこそ、これぞ 正統派 Swing Jazz の音!と受け入れられるが、当時は奇妙な響きにしか聴こえず慣れるのに少し時間を要した。


そして、耳馴染まない、Swing Jazz のフレーズ。

当時の僕は Swing Jazz という音楽をほとんど聴いたことがなかったので、ずいぶん不思議なフレーズをやる人だなぁ・・・と感じていたのである。

 

 

というわけで、僕の Buddy Rich のファーストインプレッションはそんなに良いものではなかった。が、僕が Buddy Rich 沼にはまるまでにはそんなに時間を要さなかったのである・・・。

 

 

(あら意外に長くなっちゃった。次回に続く?)

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