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不整脈の種類と重症度スペクトラム③ 〜スペクトラムの狭い不整脈2種類〜

 前回までで、「おおまかな不整脈の分類」と、「それらが取りうる重症度のスペクトラム(幅)について説明してきました。

 今日は個別具体について説明していきましょう。

図表の再確認

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スペクトラムの狭い不整脈

 もっとも重症度スペクトラムが狭い(疾患別の「色」枠が小さい)のはどれでしょうか?

VF(心室細動)

 左上を見てください。これは医療従事者みなさん、意義がないでしょう。VF(心室細動)という不整脈は、全例が「心肺停止」だからですね。モニターでVFをみたら確実にその患者は心肺停止状態です。対応は簡単です。「BLSやICLSに基づいて行動する」だけです。
 スペクトラムの狭い疾患は、「対応がワンパターン」というわかりやすさもあるといえますね。

PSVT(発作性上室頻拍)

 次にスペクトラムの狭い疾患としてPSVTがあります。病棟看護師がこれに遭遇することは「レア」かもしれませんが、紹介しておきます(ERでカタがついて、大体の患者は帰宅します)。

 主訴は「突然の動悸」で、重症感なく救急外来にやってくることが多いのがPSVTです。心拍数は120-200くらいと幅広く、人によって訴えの程度は異なります。ですが、症状が「まったくない」ということは稀です。症状が強いので、薬物療法を行いますが、重症ではないのでDC(電気ショック)することはありません(基本的に)。薬物療法は別記事を参照ください。

(※ 電気ショックが必要なPSVTに、Pseudo VTというのがあるのですが、これは、wide QRSです。つまり、Pseudo VTを見たときの正しいアプローチとしては、「VTかも?」と思って対応することになるわけです。)

スペクトラムの狭い不整脈は対応がわかりやすい

 いかがだったでしょうか?VFは心肺蘇生を行う。PSVTは薬物療法で止める。シンプルです。これらは「スペクトラムが狭い」ゆえに対応がわかりやすい不整脈で、両極端な不整脈だと思います。

 みなさんが臨床現場で出会う頻度が高い、その他の不整脈は、残念ながら「スペクトラムが広い」です。だから、対応が「症例ごとにマチマチ」になりがちです。次回は、それらに焦点を当てていきましょう!

参考記事



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