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「カノープス」はネオサイタマで何を為そうとしていたのか+おまけ(8)

!警告!

この雑記は「ニンジャスレイヤーAoM」シーズン2終盤の核心的なネタバレを前提として書かれた記事になります。また、AoMシーズン1〜3+シーズン4-第2話までの内容が含まれます。

◇◆◇

こんばんは、AoMからニンジャスレイヤーに復帰した望月もなかです!
今回の雑記は、「マスラダが尊敬していたあの人」についての考察話です。おまけの有料部分はいつも通りの手書き感想ノートのログです。記事は無料で全部読めますので、息抜きにどうぞ!

◆マスラダの失われた記憶についてのネタバレがあります◆
◇あっヤバいかも!? と思った人はここでSTOPな◇
◆読了済 or 気にならない方のみどうぞ!◆

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「カノープス」の足跡

シトカの戦いで、サツガイを滅ぼしたニンジャスレイヤー。復讐を果たしたマスラダは故郷に戻り、新たな人生を模索しはじめます。

マスラダが最初に殺めたニンジャ「カノープス」が、かつてネオサイタマで成そうとしていた事。彼はその足跡を辿るように、ニンジャ絡みの荒事を解決する存在として、あらたな人生を一歩先に進めようとしていた。
(【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】より)

マスラダの道しるべ。大切な家族。
彼女は、ネオサイタマでどんな仕事をしていたのでしょうか。

シーズン3序盤から、私、この問題についてずーっと考えておりまして。その内容を一度まとめておきたいな~と思って書きました。

公式ではまだ明かされていません。
拾える情報は限られています。

でも、いくつかの手掛かりはあると思うのです。

ネオサイタマを守ろうとした人

シーズン3で、「ネオサイタマに帰る」という目的を掲げたマスラダ・カイ。彼は、仲間の遺志を受け継いで戦うトム・ダイスに共感を示し、胸のうちをこう語ります。

「おれにも……尊敬する人間が居た」「……居た、か」「彼女がやりきれなかった事を、おれが続ける」
(【ナラク・ウィズイン ♯5】)

では、尊敬する彼女=「カノープス」は、何をしようとしていたのか。これについては、【ナラク・ウィズイン】♯9にて、マスラダが答えを示しています。

暗黒の地平に輝く、猥雑なるネオンの海!無数の危険と希望が渾然一体となって渦巻くケオスの都!唯一の故郷と呼べる場所!家族と呼べるものがいた場所!かつてアユミが、カノープスが守ろうとしたもの!「これは、おれだ!」(【ナラク・ウィズイン ♯9】より)

ああ名場面……最高……ッ!

さて。

マスラダの大切な家族、アユミ。

アユミは、ネオサイタマを守ろうとしていた。

だからマスラダは彼女の志を継ぎたくて、「ニンジャの荒事を解決する仕事」を始めた。

ここまでは合っていると思います。

ですが……実はちょっと、このあたり、かすかな引っ掛かりを覚えているんですよね。マスラダは、なぜ、「アユミがネオサイタマを守ろうとしていた」と考えたのでしょうか。

単純に考えるなら、マルノウチスゴイタカイビルでの事件が理由になると思います。

「サツガイに与えられた光が暴走する前に、カイに殺されることを望んだ」⇒なぜなら「アユミはネオサイタマを守りたかった」からである。

道理は通っています。
サツガイのジツが暴走していればネオサイタマは消し飛んでいました。これで説明はつく、とボンモーに言われれば、そうかぁ~と納得できます。でも……どうしても引っ掛かりを覚えてしまうのにも理由があって……2つあります。

1つめ。
マルノウチスゴイタカイビルの事件において、アユミが守りたかったものは「ネオサイタマ」というより、「カイ」である、ということ。

「カイ!」カノープスは叫んだ。「私、カイを守れる。ニンジャだから」「……アユミ!」
(【アルター・オブ・マッポーカリプス ♯9】より)
カノープスはザンシンした。横目でマスラダを見た。「ね。守った」
(同)

この場面、アユミは「私、カイを守れる」と繰り返し言うんですよね。カイを守りたい。今なら私、カイを守れる。ニンジャだから。……アユミはそれしか言っていません。だから……サツガイ出現に至るまでの流れから素直に読むのなら、カノープスがこの場で守りたかったのは、やはり何よりもまず「カイ」だと思うんです。

マスラダにもたれて爆発四散した彼女は、「ネオサイタマを救えてよかった」という気持ちもあったかもしれませんが、やはり「カイが無事だ」ということを確認したからこそ、最後に「よかった」と呟いたのではないかなあ。……どうしても、そう思えてしまうのです。

2つめ。
アユミの意志を継ぎたいと考えた背景には「アユミの不審な行動を調べていた」記憶を取り戻した影響があるっぽいこと。

シーズン3に入ってすぐの頃。マスラダは「アユミがニンジャとして何を為そうとしていたのか」を一生懸命考えているんですよね。該当場面が2か所あります。

「カノープス。お前の名前……」「……」アユミは頷く。「思い出したんだ。そこまでは」マスラダは言う。「……そうなんだ。引いたでしょ」アユミは言った。マスラダは首を横に振った。

( S3第1話【エンター・ザ・ランド・オブ・ニンジャ】より)

アユミがニンジャだった。そのことは思い出した。でもここで彼は、もう少し何か思い出そうとしているんですよ。で、次、S3第2話です。

(アユミ)彼のニューロンに「カノープス」の姿が浮かび、消える。
かつてマスラダは、アユミの行動に疑いをもち、その正体を調べようとしていた。その記憶はその後の絶対的な悲劇によって引き裂かれていたが、今この時、彼はうっすらとそれを思い起こす。(お前は、ニンジャとして何を為そうとしていたんだ)

( S3第2話【エッジ・オブ・ネザーキョウ ♯2】より)

シーズン3終盤における「彼女がやりきれなかった事を、おれが続ける」発言は、この場面を踏まえたセリフになっています。

悲劇の記憶を取り戻したマスラダ・カイ。

彼は、ネザーキョウを旅するうちに、「自分がかつてアユミの正体を調べようとしていた」過去についても思い出しました。

そして、ニンジャとして彼女が何を為そうとしていたのか、改めて考えたのだと思います。その上で、ネオサイタマに帰って、(尊敬する彼女がやり切れなかったことを今度はおれが引き継ごう)と思った。

シーズン3はそういう構成になっている、ように、私には感じられます。

続くシーズン4。

ネオサイタマに帰還したマスラダは、タキと協力して「ニンジャ絡みの荒事解決業」を始めます。プレシーズン+シーズン4第1話を見た感じ「邪悪なニンジャに苦しめられる一般市民を助ける」仕事を選んでいる様子。

つまり……マスラダが「アユミは、ニンジャとしてネオサイタマ市民を守るために働いていた」と考えた根拠は、マルノウチスゴイタカイビルの悲劇にではなく、取り戻したモータル時代の記憶の中にある。……そう考えた方が自然なんじゃないのかな?と思ったのです。

そう考えると、新たな疑問が発生します。
ニンジャ「カノープス」は、どんな仕事をしていたのでしょうか。

可能性の検証

「マスラダが、ある程度アユミの過去について調べていた」という事実を踏まえると、いくつか「この可能性は薄いな」「これならありかな」と特定できる進路は見えてきます。

重要な手掛かりは以下の通りです。

A、カノープスは戦い慣れていた
B、マスラダが「ネオサイタマ市民を守る」仕事だと感じた
C、孤児院を救うだけの大金を短期間に工面できた
D、アユミ自身は「私は平凡だ」と自嘲していた


×ソウカイヤ(可能性・低)

新生ソウカイヤはネオサイタマの復興に一役買っており、実入りもいいです。「ネオサイタマを守る」仕事と考えるには微妙ですが、暗黒メガコーポと比べて、どちらがネオサイタマの人々のために働けるかと考えると……。ただ、以下の情報から考えて、可能性は低いと思います。

1.マスラダが闇社会に詳しくない/「ソウカイヤ」の単語に反応しない
2.ナラクがソウカイヤと遭遇しても記憶を誤魔化そうとしない
3.ソウカイヤがマスラダにまったく反応しない

特に重要視するのは3。ソウカイヤにカノープスが所属していたのだとすれば、突然行方不明になったあと必ず捜査の手が入ったはずです。彼女の足跡を追えば、当然、交流のあったアーティストのマスラダ・カイに行き着きますね。もしその種の情報が残っていれば、ガーランドさんがとうに辿り着いている気がします。しかも彼は身のこなしに少しでも面影を感じれば即感知できるソムリエ。ガーランドが無反応だった=「カノープス」がソウカイヤに所属していたことはない、と考えてよいでしょう。

△暗黒メガコーポの治安維持部隊(可能性・中)

「ニンジャとして戦闘経験を積んでいる」
「孤児院を立て直せるほどの大金をポンと稼げる」
「ネオサイタマを守ろうとしていた(とマスラダが感じた)」
「アーティストのカイに比べ、己は平凡だと自嘲する」

……これらの情報を繋ぎ合わせた場合、比較的可能性が高いと思われる仕事先です。私的には、あり得ると思っています。

ニンジャ構成員の珍しくない会社で、お給料をもらって働く立場だったのなら……アーティストとして花開こうとしていたマスラダを見て「カイは立派だ。私なんか平凡」と呟いたのもわかります。

特にシーズン3終盤(マスラダの新しい人生が提示された)以降、「メガコーポの治安維持部隊」が急速に物語中で存在感を増してきたことを合わせて考えると、よく出てくる「カタナ社の治安維持部隊」はわりと可能性高いのかな、とも思うのですが……。マスラダが「カタナ」の名前を聞いても特に反応しないんですよね(モータル時代のマスラダの調査能力をどこまで信頼できるかという問題になってくるのかも)

ただ「市民のために働いているかどうか」問題がネックです。一般市民はあまりメガコーポに守られていないどころか搾取されているので……可能性は、ないとは言えませんが、私的にはちょっと懐疑的なんですよね。

△キモン(可能性・中)

最初はこれかな~と思ったんですよ。アユミがキモンに所属していたなら、「ネオサイタマ市民を守る仕事」とマスラダが考えてもおかしくないですよね。

ただ、マスラダはキモン構成員には向いてないので(ヤクザ……じゃなかった、アーティストなので)、彼女と同じように生きたいと思っても無理です。だからマスラダなりに、アユミと似たような「市民を守る仕事」をするにはどうすればいいのか?と考えた。その結果タキと組んで「荒事解決業」を行う……という結論に達した。これなら筋が通ります。

マスラダとネオサイタマの関係を描いたシーズン3,そのプレシーズンで『デッカーガン・イズ・マイ・パスポート』というタキとキモンの物語が描かれたのも、めちゃくちゃそれっぽい。

ネックは「大金を稼げない」のでは?という点。キモンは市民の寄付でなんとか活動しているらしいので、孤児院を救うだけの大金をアユミが突然稼いできた、という点を説明できません。マッポ・コーポレーションや(シンゴ社のような)治安維持会社の社員だった、という線も考えましたが、やはりおカネの問題が出てきます。

そうなると、最も可能性が高いと思われるのがこれです。

〇賞金稼ぎ

この世界において、各組織は、邪悪なニンジャや迷惑なニンジャに懸賞金をかけているようです。

『まあいい。念を押すが、クソ電子インフラで破壊をやらかしてたエゾテリスムの野郎はお前が殺したんだよな?まじない師どもにちゃんと証明書を書かせろよ、いいか。で、早く帰れ。あいつには懸賞金がかかってた。それを使って……ピザタキの抵当が相当ヤベエんだ。詳細は後で話すが……』
(【ザイバツ・シャドーギルド♯9】より)
ピザタキがキモン提携店に認められれば、キモンの下請けの賞金稼ぎ達が情報交換に訪れるアツいコミュニティ・スペースになるだろう。
(【ア・デッカーガン・イズ・マイ・パスポート ♯2】より)
遅かれ早かれ暗黒メガコーポやキモン、ソウカイヤがこのイワオに懸賞金をかけるだろう
(【ネオサイタマ、オールドカブキチョ:ネザークイーン】より)
キモン、KATANA、マッポ・コーポレーション。治安を司る諸組織は市民や提携メガコーポによる通報に注意を払い、都度、調査を行った。賞金稼ぎが雇われ、ピザタキに依頼が持ち込まれた。
(S4第2話【ケイジ・オブ・モータリティ♯2】より)

「戦闘経験が豊富に積める」
「仕事内容を選べば、市民を守るために働くことも可能」
「短期間で大金を稼げる可能性がある」
「同業者が他にも大勢いるフリーランスである」(=頭角を現そうとしているカイを見て「私なんか平凡」とアユミが呟いたことに説明がつく)

……条件を満たしています。
というわけで、現時点の情報を総合する限り、私はやはり「カノープス」=「賞金稼ぎ」の線が濃厚かな、と思っています。

マスラダもこう言っていますしね。

「……そうなんだ。引いたでしょ」アユミは言った。マスラダは首を横に振った。記憶が重なった。「賞金稼ぎだろうが何だろうが、多少汚いカネだろうが、おれの知っているお前が納得して稼いだカネなら、信用するさ。……お前はニンジャで……おれの……」
(【エンター・ザ・ランド・オブ・ニンジャ】より)

以上、
シーズン3を読みながらずっとこんなことを考えていたんです、という、とりあえずの覚書でした。果たして真相はいかに。明かされないまま終わるかもしれませんが、それはそれで可能性が広がって楽しいですね。

ついでの余談です。

【余談】どちらが年上か問題

アユミとマスラダ、幼なじみで家族な二人…どちらが年上か問題について有力な仮説が生まれたので書いておきます。

AoMを読み始めた当初の私は、アユミはマスラダと同い年か年下、いわば「妹」のような存在なのだろうと思っていました。

しかし今回、アユミの描写を一通り読み返したところ、アユミは、マスラダより年上だったのではないかと考えを改めました。年齢差は少なく見積もって2歳ほど、もっと離れていたかもしれません。

そう感じた根拠はいくつかありますが、決定的なのはこちら。
義父ワモンの葬式で、久しぶりに二人が再会した場面です。

「久しぶり」アユミが小声で言った。「背が伸びた」マスラダは頷いた。

(【ヨグヤカルタ・ナイトレイド】より)

久しぶりの再会。『アルター・オブ・マッポーカリプス』の回想シーンで、マスラダが「あの葬式でお前と久しぶりに会うまでに」と発言しているので、二人が家を出たあと、葬式まで一度も会わなかった可能性はかなり高いと思います。義父の家を出たのは、成人になってからですね。

該当箇所はここです。

成人したのち、二人はワモンに追い出されるように社会に出た。次にワモンに顔を合わせたのは、臨終の三日前だった。(同)

久々に会った幼なじみに「背が伸びた」と声を掛けるアユミ。
しかし、成人になってから見違えるほど背が伸びるはずがない。……つまり、アユミが家を出たあとで、マスラダの成長期が来たのです。

ネオサイタマの「成人」が何歳にあたるのかはAoMの記述だけだとわかりませんが、高校生という身分が存在し、かつセンタ試験がありますから、18歳より下ということはないでしょう。例外的な事例を覗いて、男子は18歳までに成長がほぼ止まるようですから、「成人したら家を出た」「その後で再会したらマスラダの背が伸びていた」という二つの条件を満たす解は、やはり……「アユミの方が年上」だと思うんですよね。

以上、雑談の余談でした!

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おまけ《手書き感想ノート:第8弾》

さて。当記事のもう一つの目的です!
「おまけ/手書き感想ノートまとめ(第8回)」。

私のニンジャスレイヤー感想記事は、読みながらノートに手書きした感想メモを再構成したものです。そのノート画像を一定枚数ログがたまったところでnoteの記事にあげております。

基本的な内容はnoteの記事と同じですが、ノートをもとに言語化しているので、noteの方が詳しいこともあります。(差分は「読みやすさを優先してnoteには書かなかった感想がチラホラある」+「ノート隅のお絵かき」です。文字通りの「おまけ」ですね)

◆こんな感じの画像です(2枚ほど抜粋・縮小版)◆

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こういうのが、S3終章の「タイラント・オブ・マッポーカリプス」~S4第1話「シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム」まで、合計47枚あります。

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過去の手書きノートまとめはこちらです。

手書き感想ノート・スズメバチの黄色
手書き感想ノートまとめ・1
S1前半
手書き感想ノートまとめ・2 S1後半
手書き感想ノートまとめ・3S1サブストーリー
手書き感想ノートまとめ・4】 S2前半
手書き感想ノートまとめ・5】 S2後半
手書き感想ノートまとめ・6】 プレS3~S3中盤
手書き感想ノートまとめ・7S3後半(終章除く)

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画像枚数が多い&制限なしに生原稿を晒すのは少し恥ずかしいため、ここから先は「おまけ」ゾーンです。


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