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【スズメバチの黄色】の火蛇と大熊猫とAoM世界

『スズメバチの黄色』の青年二人のその後について。
具体的には《老頭》の内紛から約十年が経ったAoM時空において、火蛇と大熊はどうしているのかな〜と最近よく考えてます。

大傑作の読む映画なので読んでくれ。

!AoMシーズン1〜シーズン4序盤までの展開を踏まえた願望マシマシの幻覚であり実際の展開とは一切関係がありませんわ!

結論から言うとこう思っている

1. 火蛇も大熊猫も生きてる。
2. 現在、ケオサキでは《老頭》が再興しており、火蛇はその首領、または幹部などの重要ポジションについている。
3. 火蛇と大熊猫はまだ一緒に暮らしてる

根拠は以下。

1 火蛇と大熊猫の生存

ただの私の希望です。が、まったくの戯言じゃないとは思っています。

なぜならボンド&モーゼズは……読者をガッカリさせないタイプの作家だと思うからです。死ぬなら死ぬで、読者を(アーッ! 死んじゃったウワーッ!! 追悼! 追悼式を行わなければ立ち直れねえ! 49日間は喪に伏して泣いてくる!)みたいな気持ちにさせてから殺すじゃん……? いやトリロジー読めてないのでそうじゃないかもしれないんですけど、少なくともAoM読んだ限りだと多分そういうタイプの作家だと思ったんですよね。

なので、「今後の活躍がもっと見たい! 楽しみだな! って思っていたら10年後にいつの間にか死んでいる」なんてオチには……しないはずだという信頼がある……!  あんなに彼らを好きにさせておいてさあ!

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ボンモーはそんなことしないわ!

そもそもチバ青年があんなに超クールビューティーヤクザ親分になってるのに、ショタ千葉さんが身一つで落ち延びた16歳のふともも麗しき半ズボン時代、右も左もわからぬ土地で己の器ひとつで運を引き寄せ手に入れた、自分だけの直属部下なわけですよ! 惚れこんで口説いて従えた二人ですよ? 新生ソウカイヤの再興は、ケオサキ・龍256のネオンスラム、火蛇と大熊猫の部屋でのミーティングから始まったんですよ。単行本まるまる一冊使って、読者がトリオで大好きになる主人公たちですよ。……最高トリオのうち二人が、AoM時代にはもう死んでるなんて読者は絶対にガッカリするじゃん! 

ボンモーはそんなことしないと信じたい! だから生きてるんですよ! 私はそう信じる! 生きてるったら生きてる! 信じる心が力になる!


2.ソウカイ・シンジケートと老頭

とはいえ、チバさんが肉まんを食べる、【トコロザワ チバ邸】のスレイトを読むと不安になる……それもわかる……。

(※PLUS未加入でも読めます!)


「まずいだろ」
「ハイ」
 ネヴァーモアは頷いた。
「……だが時には、初心に戻るというのも大切なことだ」
【トコロザワ チバ邸】より

AoMになってから、ソウカイ・シンジケートに火蛇と大熊猫の影は見られません。ですが、チバは彼らと出会った日々のことを覚えている。

己のために散った部下を消して忘れない気高さが、『スズメバチの黄色』を通して描かれた千葉の人となりであり……。彼が合成肉まんを食べる=もういない彼らへの追悼にも思えてしまうんですよね。ウッ。そんなことない。生きていると信じたい。

ではなぜ、チバの側近として日本庭園に現れたことがないのでしょうか。

ここで思い返してみたいのは、ケオサキと《老頭》の描かれ方です。

《武田》はここから遥か北、ネオサイタマ中心部に拠点を持つ。一方で、龍256があるケオサキ地区は、ネオサイタマの南端に近い。
(略)
港湾地区が栄えた十年前ならまだしも、今はもう、わざわざこんな場末のスラムを《武田》が欲しがる理由など何ひとつないからだ。
『スズメバチの黄色』P.34 
チバはたった一人の運転手とともに、ネオサイタマの南端「渾崎(ケオサキ)地区」へと落ち延びる。ここは商業港湾の閉鎖から衰退の一途をたどる地区で、経済的旨味は皆無。それゆえ、ソウカイヤやアマクダリの触手も伸びていなかった暗黒地区だ。
「スズメバチの黄色」発売直前原作者ロングインタビュー(前半))
彼らは表通りを進む。通りの先には黒くわだかまる影がある。ケオサキや99マイルズベイの廃墟で見るような重苦しい建造物。
(AoM S3第8話【カレイドスコープ・オブ・ケオス ♯3】)

ケオサキ地区はネオサイタマの南端。本来のソウカイヤのテリトリーではありません。現ソウカイ・シンジケートのテリトリーもネオサイタマ中心部に近いと思われるので……ソウカイヤが復興したところで、直接支配しつづけるには遠すぎる。

また、AoM時系列においても「廃墟のある地区」の例として挙げられるくらいには衰退の一途を辿っており復興の気配もなし。わざわざ支配を続ける旨味もなさそうですね。

そうなると、警察の手も及ばない地域で何十年も小さなシマを守ってきた伝統あるヤクザ組織《老頭》を乗っ取るメリットは、ほとんどない。一方《老頭》は小規模なヤクザクランですが、ヤクザなりに地元民からの信頼も、積み重ねてきた歴史もあります。

チバは、ケオサキを「骨のある真のヤクザが生まれ出てくる街」(p.304)と感じ、敬意を払っていました。

「もし宜しければ……この《老頭》を、チバ=サンにお譲りしたい」
「ムハハハハハハ、面白い! だが……すぐには《老頭》を引き受けてはやれんな。まだ問題がある」
(略)
「そして新たな幹部には火蛇を指名しろ」
「あの若造を幹部に?」
「何がおかしい? ぼくが初めて自分の組織を旗揚げしたのは、十二歳の時だぞ」
ラオモト・チバは呵々と笑った。
(『スズメバチの黄色』p300-301)

すべてを失ったラオモト・チバが兵を手にし、新生ソウカイヤの旗揚げを行ったのは、ネオサイタマ南端のスラム街でした。あれから十年、ソウカイ・シンジケートは見事な復活を遂げています。彼本来のテリトリーを暗黒メガコーポから奪い返した今。恐らくチバはケオサキ地区を《老頭》に返したのではないか?と考えるのです。

チバさんの性格を考えると、《老頭》をソウカイヤ傘下に収めて上納金を……という関係はあまり馴染まないように思える。むしろ、恩義あるヤクザクランとして同盟関係を結ぶ方が自然な気がします。

気骨のあるヤクザが生まれ、彼ら自身が統治してきた街。チバが再び力を取り戻し立ち上がるまで、彼を支えた街。ソウカイヤの支配下に置くよりは、一定の敬意を払う…そんな扱いをするんじゃないでしょうか。

その場合、《老頭》の親分になりうるのは……火蛇以外にいないのではッ!? そうだったらめちゃくちゃ滾らない!? マスラダでもシックスゲイツでもいい、AoM時代の誰かがケオサキ地区を訪れ、その土地を締めているヤクザ親分として『スズメバチの黄色という義手を持った若い男』の名を挙げる……えっ最高じゃない!?そんな幻覚を! ずっと! 見ています!!!


3.火蛇と大熊猫の同居継続

三十代になっても幼なじみがダラダラと一緒に住んでたら嬉しいからです……ハイ……ただの願望ですね……


終わります。


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