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ニンジャスレイヤーをAoMシリーズから読む/S4_3「ケイジ・オブ・モータリティ」(中)

こんばんは、AoMシリーズから出戻りしました望月もなかです。 
ピザタキトリオってどっちが先に子ども(コトブキ)を味方につけるかで形勢が変わるタイプの夫婦喧嘩をしているイメージがずっとあるんですけど、シーズン3以降、成長著しいコトブキちゃんの自我がランクアップしたところで新たなる子ども(ザック)を拾ってきたところ、マジで最高……と思っていたりします。ザックは局所的にはもう大人メンタルなのでサクッと独立して出ていきそうな気配もありますが。逞しいザック少年好きです。

さて、それはそれとしてシーズン4、序盤から濃密ですね。第2話からこんなに盛りだくさんなエピソードだとは思いませんでした。というわけで、いったん感想区切って三分割にします。

前回の感想はこちら。

【前提】望月のニンジャスレイヤー知識

物理書籍第一部を3巻まで(中断)
 →6年経過(ほぼ忘れる)
 →『スズメバチの黄色』で復帰
 →AoMシーズン1読了(→第3部野球回実況再放送)
 →AoMシーズン2読了
 →AoMシーズン3読了
 →PLUS加入+AoMシーズン4(今ここ)

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

シーズン4:「ケイジ・オブ・モータリティ」(中)

最凶治安地域に聳え立つギャングの巣窟、ポンポン・ビルディング。狩人ベルゼブブによってバイオ蝿の培地とされた上層階の人々は、恍惚のうちに遺伝子を侵され、異形の肉塊へと変貌していく。ガスマスク・ファッションにより難を逃れたハッカー、サイダ3は、事態解決を図るヨロシサンの武装ニンジャとともに上層階を目指す。一方、ベルゼブブに構成員を殺されたソウカイヤ幹部二名もまた、猛スピードで上層階へと駒を進めていた……!

 ♯6

いまだに「チャメす」の意味をちゃんと理解できていないんですよね。「ブッ飛ばす」とかそういう意味なんでしょうけど自信がないな…。

68階より上、完全に蠅地獄じゃないですか! 怖すぎる描写の数々がやけに精緻でもう嫌だ。正視できない、ケイジ(檻)になった人々、もう見たくない、こんなところにゃ居たくない (YOYO)

そうだ、焼こう……。小野不由美先生の『悪霊シリーズ』でも凶悪すぎる霊は炎による浄化しかないって言ってた! 火をつけてビルごと焼却するしかない!! 高笑いする俺の瞳には、揺れる焔が映っている!!

『ゴーストハント(旧・悪霊シリーズ)』はいいぞ
(小野不由美作品では一番好きです)

蠅が怖くてそれどころじゃないのに変な看板が精神を揺さぶってくる。お前も薪にしてやろうか。

「やはり、お前でなくてはな」ガーランドは頷いた。

ウオオオオオオオオオオォッ!!!(拍手で総立ち)

ガーランドさんが手放しで誰かを褒めているところ、初めて見ました。身を捩ってしまう、えええ、すごい、すごい褒めてる、信頼してる、すごい!(でもいまいちその希少性がインシネレイトくんには通じてない! それがまたいい!)

「プラセボってのがあるんだよ。知らねえッスか? プラセボってのがあってよォー、わかんねえかなあ……精神的に作用してイマイチになるンスわ」

かわいいwww ちゃんとわかってなさそうなのに聞きかじりでドヤっててかわいいwww

人間をマンション代わりかよ。自力で飛んでろッてンですよ。虫の分際で……」

うっ、タイトルの『Cage of Motality』の【Cage(檻、籠)】って……そういう……!? ヒィ! やっぱりホラー回じゃありませんか!!

答えようとするインシネレイトに、ガーランドは被せる。「キアイの話をするな。実際、お前がジツをどのくらい使い続けられるか、限界の話をしている」

ヒイイイイィ!!
さっきからガーランドさんのインシネレイトくんへのセリフを見るたびに悲鳴を上げてしまっていますがだってこんな、だって、ガーランドさんめちゃくちゃ信頼してるじゃないですか!!? 「その言葉、信じるぞ」もあまりにもあの、あの、かつてマスラダを監禁してネチネチスシ苛めプレイに興じていたガーランドさんが、信頼する年下同輩にはこんな言葉を口にするだなんて……。はぁ……。いいものですね。

咄嗟に連携を取って戦うところも超かっこいい。阿吽の呼吸。ガーランドさんの動き、インシネレイトくんがカトンを思うままに使えるような戦い方に徹しており、経験で勝っているからこそできるムーブって感じで隠し味ですよッ!

「キアイ入れろ!」クレッセントは低く言った。「仕事を片付ければ、お前の人生は薔薇色だ。負け犬の暮らしを終わらせろ。胸を張れ」「ハイ!」サイダ3はヤケクソで叫び返し、タイピング速度を加速した。

マスラダくん見てる?

ヨロシサンにインターンシップしてくるべきでは? クレッセントさんの下で見習いをしておいで。一度命を助けたのを盾に年単位で一方的に甘えて使い倒したらブチブチ言われて当然なんだってことをね。学んでおいで。相手にもメリットがあるからこそ、気持ちよく協力してもらえるんですよ(まあシルバーキー氏への態度は普通に誠実だったしマスラダもわかってるとは思うんですけど……なんでタキにだけあんなに甘えて……)

◇◇

 ♯7

ポンポン・ビルディング66階、通路。ザンキ・ギャング幹部の腹を食い破り肉を脱ぎ捨て、四本腕を優雅に伸ばして……その者はアイサツした。

ベルゼブブさん怖い! 圧倒的な強者オーラだ!!

「ニンジャ憑きのモータルが夢を見ておる……」ベルゼブブは言った。「そしてその獣臭き言葉を理解するのに、我がニューロンは時間を要しているぞ」

ヤクザスラングを「獣臭き言葉」という言い回しに言い換えて煽るの、ワッショイお祭りジャンボうちわな所業すぎて笑ってしまった。まあインシネレイトくんも、マスラダくんとは違った意味で難解な煽りが通じないのでこれはこれで面白いですね。あんまり通じないのでベルゼブブさんが溜息ついちゃったくだりが好き。

蠅はジツ的なアレで増やしているわけではなく、己の力で繁殖して増えているのですか……それは厄介ですね。やはり毒がなければダメそう。ここはクレッセントさんの出番ですね。

「王の威、ドゥルジ・ニンジャの力を知れ。モータル」

ベルゼブブさんの「王」=ドゥルジ・ニンジャとのこと。誰? まだ本編では出てきていないお名前ですよね。(note内で記事検索したけどどうやら本当にお初の名前っぽい…?)

「ド畜生がァ……降ろせ! 降ろしてくだせェや!まだ殺ッてねェーッ!」「まだだ!」ガーランドは叫び返した。「まだ降りるな」「クソがァーッ!」

イヤイヤ期でのたうつ2歳児を抱えて走る父親みがあり、たいそう和みました。緊急時なのにかわいいね…。

そしてついに狩人決定の宣告! めちゃくちゃ描写がカッコいいですね。忍殺のコトダマ空間の描写、3DのSF空間を見事に文字に写し取っていて感心するし、とても好きです。

クレッセントさんとガーランドさんのビジネスライクなやり取りが沁みる。どちらも優秀で無駄口をきかず必要なことだけを読み合いながら的確に情報交換していくの、読んでいてストレスがない、最高

気が合いそうですよねこの二人。

あと「助からんのならカイシャクも考えねばならない」と発言するガーランドさんに常にない優しみのようなものを感じてソワソワしましたし、ニンジャ二人のブリーフィングにスムーズに参入できるサイダ3さんの精神の在り方に透き通った気持ちになったりしました。きれいなすきとおった風を感じるね……。

◇◇

 ♯8

ベルゼブブとの戦闘から一時離脱したソウカイヤは、ヨロシサン組と合流。優秀なエージェント同士の即席コンビがギスギスせず油をさしたみたいにスムーズに事態を回していく図は、ブイヨンを丁寧にとった澄んだスープのように栄養があり、蠅の恐怖で歪んだ読者の心身をやさしく整えてくれるのであった…

前方でスモトリを倒すガーランドは、ぐったりと動かぬインシネレイトを肩に担いでいる。クレッセントはそれを睨む。「ああされたいか」「自力で頑張ります!」

カワイイイイイーーーーーーーーーーーー!!!

しかもこのやりとりを手を引きながらやってるのがもう、カワイイ!!! 事態が切迫し始めたら結局抱えられちゃったのも可愛い。いいなあこの二人、生き延びてほしい。

サイダ3さんがここにきて大活躍なのもアツい! 赤外線解除偉すぎるでしょ、悲鳴を上げながらも冷静でちゃんと自分の仕事をして……すごい頑張ってる! ボーナス出してあげたい! クレッセントさんがここまで身を挺して彼を庇ってきた意味は確かにあったんだ……!

「寝ていろ」ガーランドは言いかけ、そして天井を見て眉根を寄せる。「いや違う、無理出来るか、貴様」ナムサン……天井付近の排気口から、光る霧が染み出してきていた。わあん……わあんわあん……わあんわあんわあん。「違うな。無理をしろ」肩を支え、インシネレイトをそちらに向ける。

ふあぁッ!? ってなってしま、あ、うわあわわ、ワァ、「寝てろ」「無理できるか」「無理をしろ(肩を支える)」の三段活用ヤバすぎる!!!授業で教えてくれ!!!!!!!!

ベルゼブブさん、蠅からも肉体を出現させられるんですか……何か思い出すと思ったら、シトカ編のカシマールさんに似てるんですね。影を介して移動し、影のあるところからなら出現できる……それの蠅バージョン……。

しかし強い。
ヨロシサン社のアップデートが完了しているのが唯一の希望ですが、クナイ・ウィップは折れちゃいましたし、クレッセントさんは気絶(あの状況下で割りこんで突き飛ばして彼女を救ったサイダ3グッジョブすぎて踊った)(追加で株券支給してあげてくれ!!)してしまいましたし、頼みの綱のインシネくんはガス欠ですし、勝てるビジョンが見えてきません。

とにかくなんとかしてクレッセントさんが動ける状況にしなければ、というところで……ようやくマスラダくんのエントリー! やったー!!!

「このくだらないビルが貴様のケチな隠れ家か。(略)」
「逃げ隠れておれを待っていた分際で、まだ狩人のつもりか?」ニンジャスレイヤーはかすかに首を傾けた。

性格が悪い! 確かに「狩人」を名乗りながら獲物の方から乗りこまれる形になってしまったのは事実だが、それを「逃げ隠れする卑怯者」という概念にまで引きずり下ろしてしまった!!(byカキオ

ガーランドさんの吐血、あまりにも珍しい光景で不安になります、死なないで……でもマスラダの一瞥には興奮しました。マスラダは根に持つタイプなのでかつて受けたスシ拷問のことはおそらくまだ覚えているでしょうし、ぜひ戦闘が終わったあかつきにはコトブキちゃんに持たされたお弁当の冷凍ピザを上から目線でガーランドさんに差しだし「それでは動けないだろう。ピザならある」と慈悲深く、スシを食べながら言ってほしいですね!

狩人単体だけじゃなく上位存在にも小まめに喧嘩を特売宣言していくマスラダ・スタイル、本当に元気な猫ちゃんだなぁと思いました。ベルゼブブさんの強さは圧倒的ですが、マスラダも炎使いですし、まだ出てきていない味方のコトブキちゃんも(「肉」じゃないので)培地にされないからこの場においては非常に強いですし。何よりクレッセントさんのアップデートが完了していますから、展開次第では一気に引っくり返すこともできるんじゃないでしょうか。

戦いも狩りもいよいよここからが本番! クライマックスに向けての展開が楽しみです!

では、本日はここまで!
また、次回の感想でお会いいたしましょう。

◇◇

おまけ

読みながら描いてた感想絵です。

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次の感想はこちら。


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