見出し画像

いかに正鵠を得て象徴的かつキャッチーに伝えるか。ノジマステラ北野監督のハイパフォーマンスな言語的“射的能力”

いま第何波なのかもうわからなくなってきたほど新型コロナウイルスの勢いはとどまるところを知らず、明治安田Jリーグにも容赦なくその波は押し寄せていて、まあそれでも今回の7連戦もどうにかこうにか乗り切ったところです。日曜試合で月曜に大分に帰ってきてパタッと倒れ込んで、火曜は丸一日寝てました。また週末から今度は5連戦。タフすぎる。

そんな連戦中に、またまた『J論プレミアム』さんから北野さんへのインタビュー企画のお仕事をいただきました。これまでもさんざんお世話になっている北野誠監督。現在はプレシーズン真っ最中のWEリーグ・ノジマステラ神奈川相模原を率いていらっしゃいます。

北野監督との最初の大きな企画は、こちらの拙著。

その後『J論プレミアム』で何度か、あと『フットボール批評』でも書かせていただきましたね。そのたびにテーマは違うんだけど、毎回ほんとうに面白く、また収穫の多い仕事にさせてくださる監督です。

今回はこちら。前後編に分かれております。

インタビューのテーマ的にちょっと抽象的というか概念みたいな話が多めになったんだけど、そういう流れから出てくるものって、いかにそのひとが普段、ものごとの本質を捉えて生活しているかを感じさせるんですよね。

後編のタイトルにもなってるけど「弱いチームはDAZNの画面に映る選手の数が多い」。現地で観戦したりスカウティング映像見たり出来ればいいんだけど、いまはご時世的にも多くの人がDAZNやスカパー!やWOWOWでサッカーを観ているでしょう。そんなサッカー観戦初心者向けに、どうすればゲームをより深く面白く観てもらえるか、その手がかりをくださいとお願いしたときに出てきた“法則”でした。聞いた瞬間に思わずゲラゲラ笑ってしまったよ。「あーなんかわかる!感覚的にわかる!」みたいな。そこからじゃあ数的優位とは、とか考えていくとサッカーの本質の面白さへと広がっていく。あーサッカーってこういうものなんだ、とあらためてわかる。

そのキーとなるものの“パワーワード”的な提示が、北野監督はものすごく上手いと、取材するたびに思います。ものごとの本質を的確にとらえ、それをシンプルかつシンボリックに、キャッチーな表現で伝えることが出来る。なんというか、射的みたいな感じですよね。お祭りの縁日の。まずターゲットを観察して、どこを狙えば一発でクリティカルダメージを与えることが出来るかを見抜く力が前提としてあり、そこを正確に射抜く、みたいな。

だから試合解説もすごく面白いはず。5月9日、ラジオでJ2の相模原対町田の解説をされたそうで、わたしは大分の取材があったため視聴できなかったのですが、あとでSNSなどたどってみると、リスナーのみなさんからは大変好評だったようでした。

仕事柄、いろんなサッカー指導者にお話をうかがっていますが、そういうところがズバ抜けているのは北野さんと、元・大分高校サッカー部監督の朴英雄先生。朴先生とはこんな本も作りました。

本質をシンプルに伝える力、というのは、サッカー監督にとってはそれだけで大きなアドバンテージだと思います。Jリーグにもいろんなタイプの監督がいて、それぞれに得意分野やストロングポイントがありますが、伝えた相手に「おお!」と膝を打たせることが出来るのは、カリスマ性と言うのは大袈裟にしても、信頼を勝ち得るに有利なのではないでしょうか。

見えていないものや漠然としていたものを体系づけてみせるとか、良くない状態に無自覚に傾いたり陥ったりしていることに気づかせるとか。そういった力が、指導者やリーダーには不可欠な要素なのかなと思います。

北野さんからもいつもそんなことを学ばせていただいている気がする。わたしも言葉を使いながら本質をえぐり出す仕事に携わる者として、たくさんのヒントをいただけて感謝しています。

文章を書いて生計を立てています。楽しんでいただけましたらサポートお願いいたします♪