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(5) 真・アンチエイジングのススメ (前編) /歯科医師・野地一成の「維持論」

アンチエイジングが盛り上がる今、「歯のアンチエイジング」にも注目が集まり、被せ物審美修復やインプラントなどを強力に勧めている歯科医院もたくさんあります。

しかし、老いという自然の摂理に逆らうアンチエイジングを、正しく理解し正しく判断できる人はどれぐらいいるのでしょうか?

どうしても身体は老いていくもの。そんな自分の年齢の変化の中で、私たちは歯にどのような意識を持っておかなければならないのでしょうか?

生涯をかけて何十年も付き合っていく歯に対して、どのように考えていくべきかを、東京都千代田区の野地デンタルクリニックの野地一成院長にお話し頂きます。

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 ▼野地 一成 (のじ いちなり)

野地デンタルクリニック院長。歯学博士。東京都出身。2007年に地元の神田小川町にて野地デンタルクリニックを開業。2010年より母校の日本大学松戸歯学部薬理学教室兼任講師。臨床歯周病学会、スタディグループ救歯会、臨床歯科を語る会所属。発表論文も多数。

野地デンタルクリニック

・公式ブログ「のじでんのひとりごと

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『ビジネス発想源 Special』の「各界発想源」にて2012年11月に連載され大好評を頂いた『歯科医師・野地一成の「維持論」』を、noteに再掲載することになりました。ご自身の歯の維持管理、身体の健康管理はもちろん、会社の設備や工具のメンテナンス、社員やお客様との長いお付き合い、良質な経営の維持など、お仕事にも活用できる多くのヒントが見つかると思います。ぜひご利用下さいませ。

※連載当時の、読者の皆さんの質問に野地一成先生がお答えする「Q&A」も掲載致しました!

※連載当時に同時掲載し好評を頂いた、『ビジネス発想源』筆者・弘中勝による便乗連載企画『弘中勝の「勝手に維持論」』も収録!

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●歯科医師・野地一成の「維持論」

  〜長く正しく付き合えば、長く愉しく幸せに。〜(全6回)

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【第5回】 真・アンチエイジングのススメ(前編)

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皆様こんにちは、

歯科医師の野地一成です。

いよいよこの連載「歯科医師・野地一成の維持論」も5回目、最終回を迎えました。

最終回は、歯科医師が歯とお口の健康の「維持」を総括してみたいと思います。


早速、皆さんにこんな質問をしてみます。

【Q1】

 大人の歯は、全部で何本あるでしょうか?

【Q2】

 そのうち何本を失うと、自力で食べれなくなるでしょうか?


答えられましたか?

これらの正解は、今回の本文中に出てきます。


<1>「歯の生涯図」

「歯の生涯図」というグラフがあります。

「歯科疾患実態調査」という、厚生労働省が数年に一度実施する調査を元に作られた図です。

縦軸は「歯の残り本数」で、横軸は「年齢」を表します。

7本の折れ線グラフの見方ですが、例えば、「50パーセンタイル」と書かれた折れ線を例にすると、

20歳、30歳、40歳…と各年齢の人がそれぞれ100人いて、歯の残り本数が多い順番に並んでもらって、50番目(50位)の人が手をつないだ様子を表わす線です。

「3パーセンタイル」の折れ線は各年齢の100人中3番目の人たち、「97パーセンタイル」の折れ線は各年齢の100人中97番目の人たちをつないた線、いうことですね。


このグラフを見ると、歯を失うということには幾つかの特徴があります。

(1)若い年齢の内に一本の歯を失った方ほど、次の一本を失うリスクが高まる

(2)若い方ほど一本の歯を失うと、容易に順位が下がってしまう。

(3)成績の良い人も悪い人も、少しずつ歯の本数が減っていく傾向がある。

(4)成績の悪い方に顕著に表れていますが、50歳を中央にする10年間に歯を失いやすい。

このような特徴です。


人間の歯は、全部で32本あります。

一本も失わずに一生涯を過ごせる方は実に少なく、どんなに歯の健康な方でも、統計上の平均の結果では、生涯で7、8本は失うようです。

現在40代で一本も歯を失っていない、という方は、今から30年後に、7、8本の歯が抜けているということを想像することができますか?


なくなる歯の位置にもよりますが、人間は8本の噛み合わせる歯牙を失うと、自力で食べれなくなるといわれています。

先ほど、大人の歯は全部で32本と述べましたが、そのうち親知らずの4本は機能しないことが多く、それを除外をすると28本です。

つまり、20本を割ると自分の歯だけでの食事が困難になるのです。

この8本を、何とかして抜けないようにしないといけない。

いつまで?…

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