「戦略の有無が成否を分ける」ウィルゲートCOO吉岡が語る、成果に繋がるオウンドメディアの戦略や運用の秘訣とは?
企業の情報発信のために活用が進む「オウンドメディア」。しかしながら、情報が思うように届かず、結果的に自社の商品やサービスの顧客獲得につながっていない場合があります。
そこで今回は、SEOやWeb向けの記事制作など、コンテンツマーケティングを手がけるウィルゲートの専務取締役COOの吉岡 諒(@seoamigo)が、成果につながるオウンドメディアのSEO戦略や運用の秘訣をお伝えします。
【参加者からの声を一部ご紹介💁】
【登壇者プロフィール】
専務取締役COO 共同創業者 吉岡 諒(@seoamigo)
1986年岡山生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。代表取締役小島と共に2006年に株式会社ウィルゲートを設立。個人として累計で2,000社のWebマーケティングの課題解決提案を実施。2012年に記事作成「サグーワークス」、2014年にメディア「暮らしニスタ」、2018年にはSEOのAIツール「TACT SEO」、2019年にはオンラインで編集チームが作れる「エディトル」、2020年にはM&A仲介支援サービス「Willgate M&A」をリリース。COOとして全サービスの管掌役員を務める。
◯創業者2人が語るウィルゲート誕生秘話 経営危機を乗り越えた“理念”の力
https://note.com/willgate_inc/n/ne93c6a8d8993
※本稿は、弊社主催のオンラインセミナー「成果につながるオウンドメディアSEO戦略や運用の秘訣」の内容をまとめたものです。
マーケティング活動におけるオウンドメディアの位置づけ
ウィルゲートは、代表取締役の小島(梨揮)と私の2人で創業した学生ベンチャーから始まった会社です。小島は私の小学生時代からの幼なじみで、高校を卒業したあとに2人でパソコンを買ってウィルゲートを起業しました。創業当時は当然小島も私も何もわからない状態ですので、自らSEOの研究をし、営業、コンサルティングと、事業の上流から現場で使えることまで実践してきました。
創業以来、主力事業であるSEOを起点に、Webサイト集客のためのコンサル・設計・流通までワンストップでサポートするコンテンツマーケティング事業を展開し、述べ6,300社以上の企業を支援してきました。
今回はそんなウィルゲートのコンテンツマーケティング事業をCOOとして見てきた私より、オウンドメディア運営のポイントをお伝えできればと思っています。
オウンドメディアとは、広義では自社で所有するメディアです。現在、Webの情報発信が当たり前になっている中で、コーポレートサイト以外にも、自社サービスに関連した情報を発信する活動が活発となっています。商品やサービスの利用については、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」のフェーズがありますが、「認知」に関しては、広告やハウスリストからのメール配信が行われています。
その後のフェーズは、Webサイトに集客していきますのでオウンドメディアの出番となります。顧客が情報収拾するなかで比較検討に入っていくのですが、資料請求やプレゼントキャンペーンを行って、リード化(見込み客の連絡先を入手)していきます。
オウンドメディア運営でありがちな失敗例
ここで、いくつかのオウンドメディアの失敗事例をご紹介します。まずはBtoCの薄毛・育毛関連サロンの事例です。
このメディアの目的は、育毛や薄毛に関する検索での上位表示(SEO)です。サロンスタッフが空き時間にどんどん記事を書いていく取り組みをしていたのですが、残念ながらアクセスが増えませんでした。
原因は3つありまして、1つは戦略不足です。スタッフの方は育毛の施術など、専門領域の知識は当然プロなのですが、集客については専門知識を持っていません。書きたいことを書くだけとなっていましたので、なかなか集客につながりませんでした。
2つ目はノウハウ不足。SEO を目的とした場合、検索ボリュームや必要なキーワードの網羅性などが重要になります。記事中にどんなキーワードを含めるかが重要になるのですが、それができませんでした。
3つ目はリソース不足です。SEO の場合、記事1つだけで上位表示は難しく、サイト自体がそのテーマの領域について高い専門性をもつことが重要になりますので、多数の記事を書かなければならないのですが、これができていませんでした。
続いてBtoB の事例で EC サイトをコンサルティングしている企業様の事例です。見込み客の資料請求によってリード獲得する目的をもったサイトです。サイトへの流入は増えたものの、資料請求につながっていませんでした。
こちらの原因も、戦略不足があります。EC に関わるニュースや、ECに携わる人が気になる情報を提供していたのですが、資料請求を意識したコンテンツ作りができていませんでした。また狙ったキーワードで上位表示するノウハウもありませんでした。
施策の成否を左右する「ユーザー理解」
このような戦略不足、ノウハウ不足を解消するにはどうしたらいのでしょうか。
その鍵は、オウンドメディアのターゲットとなるユーザーにあります。
自社が出会いたいユーザーのニーズを明確にし、その上でどんなコンテンツを提供していくかがオウンドメディアの肝だと思っています。ユーザーが自社の商品やサービスと関わるプロセスを視覚化した、カスタマージャーニーマップをみて整理してみましょう。
「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」のフェーズの中で、さまざまなチャネルを使いながら、コンバージョンを目指します。顧客との接点となるチャネルは、広告や資料請求からのメールマーケティングなどがあります。フェーズごとに中間コンバージョンを設定します。例えば、認知フェーズではホワイトペーパーの提供、興味・関心も持った人にはセミナー参加、意思決定前の無料相談などが必要になります。
次に、カスタマージャーニーマップの具体例として、注文住宅を商材とするケースを見てみましょう。
認知の段階では、マイホームを持ちたいと思った人に、広告などで注文住宅というものがあることを知らせます。興味・関心のフェーズでは広告からオウンドメディアに誘導し、ユーザーが抱える課題を解消する情報を提供します。比較・検討のフェーズでは類似サービスの比較やローンに関する情報を提供します。このように、フェーズごとのユーザーの課題を想像し、情報提供を行っていくのです。
カスタマージャーニーマップを整理すると、フェーズごとにユーザーの課題が異なり、それに合わせた中間コンバージョンを用意していく必要があることが分かりました。認知のタイミングではホワイトペーパーを、購入手前では無料相談といった形です。認知の段階からいきなり無料相談をオファーしても「まだそんな状態ではないです」となり、コンバージョンにはつながりません。フェーズに合わせた中間コンバージョンを設計していくことが、Webマーケティングの成否に大きく関わります。
コンバージョンにつなげるには、より検討に近いユーザーにアプローチした方が効率がいいです。認知段階の1,000人よりは、比較・検討段階の10人にアプローチした方が、より少ない人数に対して、より大きなリターンが得られる見込みが大きいからです。マーケティング活動をする中で、見込み客がどのフェーズに何人いるかということを意識することが非常に重要になります。
ユーザーのフェーズと目的に応じたコンテンツ作成が重要
オウンドメディアのコンテンツを考える上でも、どのフェーズの人にどんな情報を提供するかという設計が重要になります。見込み客の課題を分析し、その心理に寄り添ったコンテンツ・チャネルを用意する必要があります。注文住宅の例を見てみましょう。
潜在層に対しては、Facebook や動画を通じて注文住宅の魅力を発信し、検索して情報を収集している準顕在層に対しては、注文住宅を比較するような記事を作ったり、住宅系の情報を配信するその領域の特化メディアへの露出をしたりすることが考えられます。注文住宅の購入意思がある顕在層へは、資料請求をしてもらった方へ定期的な情報発信をするなど、よりターゲットを絞った情報発信をしていくことになります。
当社の顧客でもあるフリーダムアーキテクツデザイン株式会社様は注文住宅の領域でも非常に多くの実績を持つ位のリーディングカンパニーです。検索キーワード「注文住宅」で上位に表示されるページ(「注文住宅とはどんな家なのか?メリットとデメリット」)があり、ここには中間コンバージョンとして注文住宅の設計例の資料ダウンロードページが設置されています。
住宅作品集の中身がイメージできるような資料ダウンロードページを設定され、また購入に近いユーザー向けには「家作り相談窓口」という無料の相談窓口を案内するコンテンツが用意されています。相談風景がイメージできるようなビジュアルを用意し、オリジナルの間取り図や、資金計画の作成、土地探しなども無料で行えるという利点もしっかり伝えています。各中間コンバージョンの成約率を高めるコンテンツが用意されているのです。
ウィルゲートが取り組んできた施策の成功事例
ウィルゲート自身でも、中間コンバージョンとしてウェビナーや資料ダウンロードを用意しています。テーマはSEOやオウンドメディアの活用法もあれば、自社だけでなく、ある領域の卓越したノウハウをお持ちの方に登壇いただくこともあります。
コンバージョンに近いお客様には顧客の成功事例の記事をご覧いただきます。弊社のSEO分析ツール「TACT SEO」を使って超難関キーワードで上位表示を実現した事例を紹介しています。
ウィルゲートではコロナ禍を経てオンラインのマーケティングを強化しています。コロナ禍以前は自社で対面のセミナーを開催して見込み客を獲得していたのですが、下のグラフにあります通り、2020年4月頃からオンラインでの見込み顧客の獲得が右肩上がりで増えています(赤い線)。
中間コンバージョンとして行なっているウェビナーを開始したのが2020年4月以降で、それまで月に100名前後だった参加者は一気に800名〜1,000名と増えました。集客チャネルは、ハウスリストへのメール配信経由が6割。SEO 経由が2割、私個人のFacebook, Twitter などのSNS 経由も13%あります。
ウェビナーの取り組み以外だと、ホワイトペーパーなど関連テーマのノウハウ資料のダウンロードやセミナー動画の配布も行っています。これまでの実績から、素敵なコンテンツが作れれば、それだけで年間400〜1,000リード獲得できるようになると考えています。SEOについても注力しておりまして、まさにSEO関連のキーワードでも上位表示を狙い、記事の公開2ヶ月で「SEO」という難関キーワードで3位の表示となり、関連する30個のキーワードにおいて10位以内の表示を獲得しています。
(詳しくはこちらの記事で解説しています👇)
ウィルゲートがこのような取り組みを素早く行なっていくにあたって大きな転機となったのが、2018年の6月に取締役の藤原(賢太)がジョインしてできたマーケティング組織の存在です。以前は2名しかいなかったマーケティング担当でしたが、チームを作って立ち上げた最初の3ヶ月でマーケティングROI(受注までにかかったコストと得られる粗利の割合)が4倍に跳ね上がりました。その後は10倍まで高めることができ、よりコストをかけられるようになったため、現在は十数名の組織になっています。
マーケティング組織には、マーケティングの素養があり、データやシステムに強く開発部門のコミュニケーションが取れるような人をGM(ゼネラルマネージャー)として立てています。そこに、オウンドメディア担当ではマーケターを立て、各種利用ツールの選定を行い、メディア運営とセミナー企画のスタッフで運営しています。インサイドセールスは営業とマネジメント担当経験者が責任者として、その下にセールス担当を配しています。この他、データ分析・活用を行う2名のスタッフがおり、フェーズごとの見込み顧客や営業情報が瞬時に分かるようにしています。
(セミナーの取り組むについてはこちらの記事でも解説しています👇)
私自身は、先ほども申し上げましたとおり、SNSでの活動を担っており、セミナーについて Facebook やTwitterでの告知活動をしています。
コンバージョンにつながるSEOキーワード戦略
続きまして、コンバージョンにつながるSEOキーワード戦略について説明しましょう。以下3つのステップに分けて解説していきます。
①キーワードの洗い出し
②キーワードの仕分け・グルーピング
③キーワードの優先度の決定
①キーワードの洗い出し
例えば「注文住宅」と検索する場合、検索候補や「他のキーワード」の欄に「注文住宅 予算」「注文住宅 メーカー」「注文住宅 おしゃれ」「注文住宅 間取り」などが表示されます。ユーザーのニーズに応えるキーワードですので、これらの組み合わせを満たすコンテンツを作ることが上位表示につながると考えられます。
検索候補やほかのキーワードに出てきたものをコピー、ペーストして集めるのもいいのですが、非効率なのでウィルゲートでは「TACT SEO」を提供しており、効率化できるようになっています。「注文住宅」なら関連ワードが447個あるといったことが分かりますし、検索ボリューム、検索広告の単価なども調べることができます。無料でもお使いいただけますので、ぜひご利用ください(無料登録はTACT SEOのページトップより確認できます)。
②キーワードの仕分け・グルーピング
キーワードを洗い出したら、次は検索意図が類似するテーマを1ページにまとめて作る、グルーピングを行います。以前のSEOでは、キーワードごとに1ページ作る風習もありましたが、現在は検索意図が近しいものに関してはそれを1つのページにまとめて作っていくことが非常に重要になっております。グルーピングは、検索結果をもとに行なっていきます。例えば、「注文住宅 選び方」「注文住宅 決め方」で表示される検査結果が同じようなものであった場合、1つのページにまとめます。
一方で、「注文住宅 こだわり」「注文住宅 内装」の場合、検索結果に1つしか共通記事がない場合は類似性がないということで、それぞれ別のページで展開する判断を行います。
しかし、447個あるキーワードの一致率を調査するのは大変ですよね。そこでTACT SEO なら無料で、自動的に仕分けをおこなってくれるので安心してください。
③キーワードの優先度の決定
キーワードの仕分けが終わったら、優先度を決定します。より検索ボリュームが多いキーワードは世の中のニーズが高いです。たとえ検索されてもコンバージョンにつながらなければ意味がありません。コンバージョンにつながりそうだけど、競合がひしめいているかもしれません。ですから、ボリュームとコンバージョン、そして競合優位性の面から優先度を決定していきます。
上の図の「優先度2-1」は、検索ボリュームが多いですが、申し込みから遠いもので情報を集めている段階にあたります。中間コンバージョンとしてはホワイトペーパーやセミナーに誘導します。「優先度2-2」は、ボリュームが少ないものの、申し込みに近いものになりますので、事例記事などを展開します。中間コンバージョンには無料相談をオファーします。適切なキーワードで記事を作っても、次のアクションが適切でなければ成果につながりません。
ウィルゲートが提供している、記事外注・記事作成代行を頼みたい人とWebライティングでお仕事をしたい人のための国内最大級の記事作成サービスの「サグーワークス」では、「こぶたの鉛筆」というオウンドメディアを展開しています。サグーワークスには現在27万人のライターさんが登録されているのですが、このオウンドメディアからもライターさんを集めています。
どんなコンテンツを提供しているかというと、「タイピングのコツ」や「てにをは」など、ライティングや在宅ワークに関するキーワードに関する記事を提供します。これらの記事から、ライター登録や、記事の発注ページへ遷移させています。なお、潜在層の読者にいきなりお問い合わせをしてもらうのは難しいので、潜在層の方は、次の準顕在層向けの記事に誘導して、その後に潜在層の記事に誘導するといった分類をしています。記事ごとに、カテゴリー、ターゲット、分類、誘導先を設定していくのです。
ページを作った後は、データ解析をして、コンバージョン率を高めるために各ページをメンテナンスしていきます。ここでは、アクセスが多いけれども直帰してしまうページや、離脱する率が高いページを見つけて改善していきます。流入する人が多いのでここを改善すれば成約率も高まるというわけです。
例えば、SEOを訴求するメディアに書いた、ExcelのVLOOKUP関数に関する記事への集客力が非常に高い場合、VLOOKUPはSEO とは直接関係ない場合もあるかもしれませんが、SEO のサービス資料へ誘導しています。「VLOOKUP」で検索してたどり着いた潜在層には、データ集計を行なっているマーケターもいると仮定して、そのニーズに応えられており、興味をあたためるためのページへの誘導を行っています。
出口の部分からのアプローチも有効
コンバージョンを高める方法には、トラフィックが多いページの改善というアプローチ以外に、出口の部分からのアプローチもあります。
記事の中身を、リード文、本文、クローズ文、CTA(Call To Actionの略。行動を促す部分のこと)に分けて考えます。リード文では、読者にとって記事が有益であるかが示されているか、本部においては十分な説明があり、図や文字の強調などで分かりやすくされているかが重要になります。クローズ文では問い合わせに自然につながる文章にします。そして、CTAでは記事の内容に沿ったものが必要になります。
ヒートマップやスクロール率の計測によって記事の中で離脱している箇所を特定できるといいでしょう。
また、問い合わせページまでは至るものの、そこで離脱してしまうような場合は、商品やサービスが必要な理由や利用することで得られる未来像などを提示するキラーページを用意して、好奇心を誘発するという手もあります。
また、問い合わせフォーム自体の設計も重要です。フォームが長くないか、必須項目が分かりやすいか、入力箇所は入力ミスを分かりやすく提示できるか、半角全角入力ルール、住所の自動入力、設問の意図がわかるかを確認します。フォームの入力開始から完了までの遷移率が80%を切っている場合は、フォームに何らかの問題がある可能性がありますので、アクセス解析で確認してみてください。
オウンドメディア運営のポイントについての本日のセミナーは以上になります。最後までお聞きいただきありがとうございました!
最後に、人材募集のご案内です。現在かつてないほどのご相談をいただいておりますので、営業やコンサルタント、開発者、バックオフィスなど、一緒に働く方々を募集しています!ぜひお気軽にFacebookやTwitterで私までご連絡ください(ぜひフォローもお願いします!🙏)。
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