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鈴(すず)Ⓒ

露とびかかる

金子みすゞはいつ頃から世間に知られるようになったのだろうか、それは1984年以前か以後か?推測だが、橋本多佳子はみすゞを知らなかった気がする。その両者に共通するものは強い熱情だと思う。人を愛する想い。詩人であれば愛して当たり前、あなたはそう想われるかも知れないが、その想いは私にも強い。だったら詩人には弱音を吐いてほしくない。

わが行けば露とびかかる葛の花 橋本多佳子

性格までは分らないが、弱いモノに熱い熱情を注ぐふたりの詩人。この句の露は多佳子へ跳びかかっていく元気よさを具える。そうそう、その意気よ、叱咤激励する多佳子の心が見える。これは今の女性全般に通じるかも。いつも叱られてばかりだった私の心にもそう写ってみえる。恐いけれど恐くなくて温かい二人の詩人に違いない。私にはそう感じられる。

どこの地であっても顔色を窺がっておどおど過ごすしかない時代もあった。近世にあってみすゞは愛児を別れた夫に奪われている。みすゞより4年ほど先に生まれ育った多佳子の環境も決して良かった筈はない。そのふたりに共通するのは環境に打ちのめされず・弱い他者を想う目線を失わなかったこと。女は弱し、されど母は強しの時代を先駆けた詩人女性。

さあ、掛っていらっしゃい!そう呼びかけられた気がして力を得る人は多いかも。

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葛・くず・クズ⋯どう捉えるかで評価は分れると思う。何かに役立ちたい・いつか褒められたいと生きているかも知れません‥。(下画像:wikipedia) 

葛の花(wikipedia)

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